すべてのおすすめ
ボックス席のような芝生に
投げ出された四本の裸足
滑って行く
青い単線
わたしたちを吸い込む
白い山々
爆破寸前の
たっぷりとした夏
見上げた
網棚の
麦わら帽子のなかは宇 ....
詩情は朽ち木のように
川を裁断し
それを橋と呼んで
水を渡る
わたしたちの足は
いつまでも渇いたまま
濡れた手のひらのうえ
小さな風車が幾つも咲いて
わたしたちの語彙は
かな ....
ベンチに腰かけた迷子は
それでも平気な顔をして
赤と黄のうずまきキャンディをなめていた
古ぼけた観覧車が
いくつかの嗚咽を乗せてまわっていて
美しい馬たちはまばたきもせず
ただ同じ無言 ....
田園は
青空の下で完結している
黄金の海の中
細い糸のように老いた
一人の農夫が稲を刈っているのを
私が妨げようとするとき
もう ....
ほんの少しよごされた
ガラスでできたコップに
最初の朝陽がまっすぐに注ぐのを
僕はじっと見つめている
....
粘土で
象をつくったら
「可愛いきりんね」って
誉められました
たこ風味の
おかしな生きものをつくったら
「足が多いよ」って
注意を受けました
気ままに
まるをみっつ並べ ....
ネットオークションで
小さな駅を買った
小さな駅には
小さな電車しか停まらなかった
小さな電車には
家族がいっしょに乗ることができない
いつのまにか一人ずつ
だまって家を出ていった
....
夜の図書館
しじまに俯く図書館の内省では
神田川の源流もナイルであります
不心得者の高校生が夕方
不品行に忍び笑いを殺していた
地下の障害者用トイレも森閑と
そばかすだらけの司書の死 ....
皆が繋ぎ目だと言うから
もうあれは、繋ぎ目にしか見えません。
(裏方の方から)
意味の息が長すぎれば
舞台が切れる前に
大抵、役者の息が先に切れてしまうのです。
使い古しの台本も
....
忙しそうな街を
60年代のジャズを聴きながら人波に乗る
風の無い街に人は似合わない
行き交いが生む風で人は活きる
その中で私達は生きている
風は吹いているか?
その中で ....
塩の寺院を映す川
流れの外に冬は来て
人のものではない足跡を描く
常に 既に
先をゆくもの
黒と緑
終わる午後
坂の曲がり角をのぼる影
だが誰も のぼっ ....
レジの長い列に並ぶ
列は進んでいるのに
なかなか順番は回ってこない
季節はいつしかすっかり秋となり
半袖のTシャツでは
肌寒く感じるようになった
小腹も空いた
トイレにも行き ....
火が
材木から
顔をだしたり
ひっこんだりする
勢いがつくと
赤い鬼のように
筋肉質の胸が
出てくる
鬼に熱い息をふきかけられて
からだの前半分は
服の下まで暖かくなる
....
今朝、半そでのまま外へ出る
肌は、少しの寒さを感じ
ひと風は秋の深まりを運ぶ
かすかな、
かすかなキンモクセイの香りに
街角を覗く
今朝、娘は派遣の仕事を始める
7時15分に起きて
....
降りつづく雨のせいで
部屋の空気が重く感じる
ポツリポツリと奏でる サティのピアノはけだるい
大きめのポットにダージリンティを入れて
ゆっくりと茶葉の広がる時を待つ
雨の匂いと紅茶の香り ....
午前二時が午前三時になる夜に
外から聞こえる虫の鳴き声なんかを肴にして
ジャックダニエルなんかでもあれば良いのだけれども
あれは人にあげてしまったから
古い漫画でも手にとって眠たくなったら布団 ....
わがままで
おろかだった
あの子のこと
ほんとうなら
愛したかったな。
でも
できなかったから
腕も
細すぎたし
すこし
まるくなって
遠くなった
あの子のこと
....
わたしが
波になるから
あなたは
なみうち際になって
いろんなものの
死骸が
流木のように
なめらかにうちよせる
そろそろ
語り合うのは
おしまいにして
あた ....
あさ
窓をあけると
庭が砂浜になっていた
知らない赤ん坊の小さな手から
さらさらと
砂がこぼれている
そこには昨日まで
たしかアサガオが咲いていた
そうか
もう秋だったんだ
お ....
武蔵小杉から目黒線で武蔵小山にむかった
販売機のうえの路線地図に武蔵小山をみつけると
すぐそのしたには旗の台という駅があった
フレーフレーコールが聞こえる
だれかが旗を振りなが ....
らんちゅうは不思議
盆栽の美意識を金魚に当てはめた姿
大きいような小さいような
硬いような柔らかいような
美しいような醜いような
初めてらんちゅうを見たとき
ざわざわ胸騒ぎがした
....
やんやんやんちゃに のこのこゆきぐも
すてりんころげた おなかは ぐーぐー
ちいさなつめたい おてて と おてて
ほしのしたに おちちゃった
みつけて ゆきだるまあん いたいの ゆきだるま ....
夕御飯は味噌汁にメザシ三匹ぐらいがちょうどいい
これは誰かが言ったこと
人生も此れくらいがちょうどいい 。
朝飯はパンにミルクコーヒーで仕事に向かう
物足りなさがちょうどいい ....
貝殻がそっと窓を開けた
午前四時の瑠璃
西の空見上げれば
遥か遠くから駆けてくる乙女たち
闇に燃えつきて
追いかければ風に消えた金の髪
凍りつくような蹄の音
(輝いた)視線に薄 ....
小さな小さな
無数の鳥の声がする
右手 左手
別々に回る泡のなかに立ち
別々の夕陽を見つめている
どこにでもある川が
見えたり見えなくなったりしながら
....
お嬢さんは入らない
永遠に入らない
けれど僕らは
いつまでも
なわを持った腕を
まわし続ける
四十肩の痛みを堪えて
ひたすらまわし続ける
声を嗄らして叫び続ける
「お嬢さん、お入んな ....
プラスチックの涙腺が
焦点をにじます
ミニマルな
からだのうえでは
チェスタアコオトが重みだけになっている
春よ、早めにきておくれ
フェンネルの香るさなかに
正直でやさしい小鳥を
....
週五日希望ですが
あとの二日こそが希望です
そんなもん
人を幸せにする幸せを
知っているあなたよ
ありがとう
あなたのおかげで
この社会はやさしい
それでも
しあわせな人生な ....
人は昔
山や森から旅立ち
平らな場所を更に平らにして
共同体を作り
田畑を作り
自然から借りたものから
自らの築き上げたものから
実りを得ていた
今もそれは続いている
しかし
....
昼下がりの人気の少ない公園のテーブルで
ノートを広げ
考え込んでいる様子
まさか遺書でないでしょうね
まだまだ若そうな女性の人差し指が
あごを支えて止まっている
見知らぬ人だか ....
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