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わずかばかりの乗客を乗せた
昼下がりの鈍行列車の
窓を少しだけ開いてみると
六月の薫風がそっと忍びこんできて
僕の睫毛を醒ますのだった


この車両は最後尾なので
終着駅に到着する
 ....
僕の一番深いところにある
尽きることない泉から
喜びや悲しみや
くすぐったい気持ちなんかが
湧きだしてきてとまらない


ありとあらゆる才能の中で
生きて死ぬのが一番の才能
そう言っ ....
ある冬晴れの日のその空と
同じ色の表紙をした
日記を買った
他に種類はたくさんあったのだが
それはひときわ僕の目を惹いて
一度手に取り
一度戻して
もう一度手に取り買ったのだった

 ....
水たまりに浮かべた
葉っぱの
軽さ


しゃぼん玉を泳がせる
そよ風の
軽さ


羽毛の軽さ
まつ毛の軽さ
この世でいちばん軽いものはなに?


飛んでいく風船
手放し ....
手に持った花だけが赤くて
微笑みは色づくことなく
そんな夢の残り香だけが
寝ぼけまなこに引っかかってる


言葉にした途端に取りこぼしてしまう
こころの音階
りんごをりんごと
恋を恋 ....
目に鮮やかな色たちの
間に間に空のかけらが見えて
深まる秋を吸い込めば
他の誰でもない僕がひとり


ああ こんな燃えるような色をして
今年もまた 瞳の奥に小さな手形を残していくのか
 ....
乾 加津也さんの八布さんおすすめリスト(6)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
車窓- 八布自由詩1114-6-15
深層水- 八布自由詩813-12-19
日記買う- 八布自由詩1213-11-27
軽さ- 八布自由詩612-6-23
印象- 八布自由詩712-5-26
もみじ- 八布自由詩311-11-25

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