歌舞伎町のプロントで
わたしは人を待っていた
雨が降っていた
隣に一人の男が座っていた
男は真っ青な顔をして
口をつぐんでいた
嫌だなあこいつ吐くんじゃないか
ふとそう思った
湿り気を ....
どのくらいの広さで降っている雨なのか
心は探りに行く
夜に出てゆく

けれど心は気持ちでしかないので
体の外のことは何も感じられない


雨の立てる匂いの遠さと近さ
水の滞空時間
 ....
夏の情熱の裏側に
すらっと伸びた少年少女の
腕がつかみそこねた{ルビ目差=まなざし}を
冷たく崩れてゆく陽炎

囚われた脈動は
透けていく意識となって
{ルビ中性花=ちゅうせいか}の宙吊 ....
たおれるって 
あきらめることでは なくて
おきあがれない こと

かよわなくなった こころ
暗く 憎しみばかりつのる時

灯は しずかに 病みを照らして

今は 夜
ただ ....
それぞれの空があり
それぞれの海があるように

それぞれが少しずつ違うからこそ
世界と呼ばれるものがある
ぼくらは

お互いを知るために
生まれてきたわけではないけれど
傷つ ....
私たちの存在に
もはや
無理があるのだろうか

この星の裏側で
鳴り止まぬサイレン

それは
夜をつたってこちらまで 来る

愛は
守るためでなく
殺めるためにそこにある、
 ....
わたし

椿の紅のビロウドのような

柔らかさに触れたくて



はなびらに少し

指先を這わせただけでした



椿は 紅を舞わせて地へと落ち

華の美しさを ....
水無月の海にあじさい色の傘の花

哀しみの膜に包まれていく予感

この哀しみの粒も海に飲み干され

輪廻する永遠の中に浮遊するようで


  ら
    ゆ
   ら
 ゆ
 ....
薄闇がやってきて
あなたを連れてきた
あなたはわたしを連れて
小さな部屋へ行った
小さなランプを灯し
小さなラジオのスイッチを入れると
ピッチの少しずれた音楽が流れて
わたしは
あなた ....
もともと性に合わないんだ

優しくされるのも
穏やかになるのも
まんざらではなかったけれど

もともと性に合わないんだ


じっと見つめてごらん
鉄塔のもっと上

じっと聞 ....
舐めて治す
生で食べる
裸だ
生殖のために交尾する
こどもを育てる
親の顔は知らない
生きるために殺す
悩まない
日陰で眠る
明け方の薄い空の下で
やわらかく湿った地面の上で
何か、いいものを見つけましたか

たとえばきれいな色の小石
たとえばいい匂いのする野草
星屑のなめらかさ、夢で出会っただれか

その眼 ....
かなしみもしあわせも似たようなもんだ
こころって難しいもんだ

バイトの連絡がはいった
面倒だけどはいといわなきゃならない
ミニスカートも好きじゃない
それでも渡されたら足を通すしかない
 ....
土曜日の夜ダンスフロアには見慣れた常連の男の子
何をやっている子なのかは知らないそんなことにはあまり興味ない
ビール片手にしばらく眺めてる今夜はどの子と遊ぼうかとぼんやり考える
一夜の恋人を探し ....
目を 吐き
草を 食べ
今生の 別れに今 抗うものがあれば


砂糖で できた林檎を
黒風呂敷で 包み
きびすを返そう

つかんだ者は やがて堕ち
つかまぬ者は 行ってさ ....
ぎゅっとしたいんだ
ぎゅっとされたいんだ
だれになんて言われようと
今ここでぎゅっとしたいんだ
今すぐにぎゅっとされたいんだ

セクハラ親父じゃないっ
ぎゅっと何かを引き換えにしない
 ....
私を大人にしたのは劇だった。
舞台だった。
10才の私を優しく撫でてくれたのは
人の視線という魔物。
言葉(台詞)に心をこめて発せられない子供だったのだろうか。
よく覚えていない。
ただ、 ....
誰もがみな
道の途中だった
そして誰もがみな
人に気づかれることなく歩いていた
人に見られていると
そう思うのはあさはかな傲慢であると
時の風が教えてくれた
深い
森の奥から道へ
わ ....
放課後
自転車置き場の
あのトタン屋根のしたで
さち子は
昨日のことをふり払うように
歌っていた。
その姿は
青いペンキがはがれ始め、下の褐色が見えてきたトタンよりも
3倍は
痛々 ....
無地のワンピースを着て
濃いめのカルピスを作った午後
汗の珠を額につくり
夏のにおいを、すこし思い出す

ベランダのコンクリートにできた
幼い模様に
ため息を吐いて
また高くなり始めた ....
ほほ、
雨上りの風が、
ほほをなぜてゆく
にわか雨の詩人は、
詩を吐いてまっかっか
死んじゃった

時は八月六日、
つるをのばしたつぼみの花は
夜空のかすみをうらめしげ
ええ、こと ....
ゆうらんせん に
ぼろぼろ つめあわされた

ちの かたまった
けあな が すっているのは

どすぐろい よだれ

くんしょう に にぎわう
きれいな まちに

ぺたり ぺた ....
手をのばしかけてやめた
あの日の、すこし歪んだ夕方を
ねんどをこねるようにまるめて
食べた
ひといきで飲みこんだ

だってどうにか、前にすすまないといけない
わたしは何に悩んで
わたし ....
もう死ぬしかないってあなたが言った
だから絶対にあなたは死なないと私は言った
あなたは死ななかった
そして絶望に負けず今新しい道を歩き始めている

頑張れ

心の底からそう思った
あな ....
なぜか怖いもの気色悪いものが見たくなり、グロ画像を探してまわった。でもあまり怖くない・・・気持ち悪くさえない・・・これはいけない。と思って楳図かずおの『漂流教室』を読みかえしたらやっぱりいつものように .... 僕の歌を聴いてくれよぅ!
出来れば歌詞のわからない洋楽を聴きながらさぁ!
僕の歌を聴いてくれよぅ!


夢の中で知らない女とベッドで寝ていた
その女の向こうに同級生がいた
真っ青なベッド ....
シーズン真ん中のトマトは甘い

冷たくしたそれを齧りながらわたしは日めくりカレンダーをめくる
すべての準備ができた後時間が経つのはとても遅い
やっと夕方の風が吹き始めお寺で貰ってきた風鈴が良い ....
台所の隅でゴキブリが
腹を天に向けて死んでいる


死骸にざまあみろって言ってやったんだ
その死骸さえ嫌悪感を抱かせる


何もしていない彼らを殺し
何もしていない彼らを罵り
彼ら ....
本当は、踏みにじれるよ。
泥だらけのスニーカーで、悪びれもせず。
揺れるたび
気がついて
明日を誘った夏の風
歩道に深まる僕の影


大空と
呼んでみる
ガードレールに腰掛けて
知らない翼は陽に透けて


身体気象情報をお知らせします
晴れ ....
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