1.
顔を洗って髭を剃ると
私の顔は鏡の中にあった
洗面所の窓
その外にはいつも外があって
夜がまだ薄っすらと残っている
貞淑なやす子は朝食の後片付けをしている
今までの毎朝 ....
地下鉄で
あなたは手首だけの幽霊と手をつないでいる。
もうさびしくないね、よかった。
あなたを慰めるためだけにこの世界に生えているてのひら。
それはまるで、
薔薇のよう。
雨音す記憶の裏の廃墟より
うすぐもにあなたをのせて追放す
がじゅまるの森よわれらを放逐せよ
がむらんや人なく冷たくゆーとぴあ
霧襖抜けて来しひと霧に消ゆ
くすみたる欄間の ....
暑さゆゑ眠れぬと生皮を剥ぐ
炎天や毒蛇暴るる腹の内
息づくよどみに足をとられた
君がやさしく手をのべれば滴る血
くすりゆびだけのびあがり霧の沼
首無しが首締めてゐる芒原
....
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