すべてのおすすめ
(日本は夜でも宇宙から見るとはっきりその形がわかる)
なんて思いながら
トイレに行く
その廊下で
隣から
義理の叔父と叔母の
喧嘩の音がする
わたしは舅のことを想う
嫁いで二年目
....
花弁を剥きだしの裸にして、白い水仙が咲いている、
その陽光で汗ばむ平らな道を這うように、
父を背負って歩く。
父はわたしのなかで、好物の東京庵の手打ち蕎麦が、
食べたい、食べたいと、まどろ ....
いつも駅まで歩く道
朝が早いので
その店はまだ閉まっている
どうやら花屋らしい
けれども
見るのは灰色のシャッターだけ
盲目的に一日を働いた
マニュアル通りに忠実に
終わりのない繰 ....
友達同士は
そのとき気分で
だなんて
なんだか寂しい気がするな
友達だと思っていても
困ったときには知らんぷり
お釈迦様の蜘蛛の糸。とっくに切れてしまったよう
ファイト・ ....
「もしもしかいちゃんいますか?」
かいちゃんは今日も
おもちゃの受話器を耳に押し当て
どこかへ電話をする
「もしもし もしもし」
まだ言葉にならない言葉で
一生懸命お話をす ....
暇潰しに入った近所の小さな図書館で 私は自費出版で出したある詩人の詩集を見つけた
この詩人は名も世間に知れ渡っておらず 芽の出ないまま死んでしまったらしい
春の日溜まりの中で読む詩集は 輝い ....
たましいは裁きをうけ
その烙印は
消えることがないのか
肉たちに
耳を澄ませば
海鳴りが
聞こえている
たましいは裁きをうけ
その烙印は
....
チョコ!チョコ!
寝言を言って泣く息子を抱いている妻
こないだスーパーでチョコはもうだめって言ったから
きっとその夢よ
夢の中のチョコはどこへ行ったのか
それは僕の夢にあらわれた
息子 ....
満員電車の中のつり革を
片腕を伸ばしたまま
必死になって握り締め
このつり革は自分ものだと
態度で主張する
そんなわずかな場所が
そんなに欲しいのかい
数分後にはみんな降りてしまうよ
....
年を重ねる度
少し背伸びをした
大人になったね
そんなふうに思われたかった
3年前にとまった身長と
手のひらサイズの心
変わらない自分に苛立ちと不安
変化という義務感に圧迫さ ....
心に溶ける美しいメロディー 空に広がるピアノの声
静かに揺れる繊細な指先 僕はゆっくり眼を閉じた
伝える君の気持ち 伝わる君の気持ち
ぼやけた夢の形 浮かべて見える装置
なにも変わ ....
“三歩下がって付いてゆきます”
いつだって女は
そう思っているの
紅差し指に光る
永遠の絆
永遠なんて
そんな簡単に掴めるものじゃない
わかっている
わかっているから
....
駅までは歩いて十数分
雨の日は五分も待てばバスが来る
車と人の道も分けられて
目的地までは
黙ってまっすぐ進めばよい
この道は
多くの人のために作られた
そしてこの道には
多くの人 ....
スキップらんらん
今日は晴れ
何か良い事ないかな
わくわくハラハラ
顔を触られ
頭をつけられる
ご機嫌斜めの君
コーヒーを出される
眠い5時間しか寝てない
目覚ましなしで起き ....
カーテンと
鉄骨の隙間から覗いた
スカートを捲る
そこに、秘密はない
白く染まった床と
天井の間で眠る
ストッキングを破る
そこにも、秘密は見当たらない
ステンレスの ....
2007/06/05
かりんとうを
長万部で買う
駅の待合室には
仕事にあぶれた人たちが
冷えた弁当をストーブに載せて
暖めている
ヤカンから湯気が出てい ....
青い部屋のバイオリン
天井に浮かぶ
水あめのプール
眠い青い部屋 グルグルと回る
足が暖かい
耳が暖かい
トロトロと眠い午後の部屋
心臓が遅くなる
時計が遅くなる ....
それはいつまで経っても明日にならない
俺は始まりからずっと遠くてもっとぶ厚くて
お前の衰弱しきった太陽が忘れられない
明ける夜に挿された首のひやっとした
どの空も拒んで傾いた
それは動く ....
誰に気づかれることもなく
蟻が風呂の排水溝に吸い込まれていった
死んでしまったかと思われた蟻は
翌日水道の蛇口から金魚になってあらわれた
金魚鉢でしばらく飼われた金魚はある日
誰に気づかれる ....
夜の飛行場には
サヨナラが点在する
携帯電話のキーのような
小さな光の形をして
滑走路を疾走するもの
引き離されるもの
雲に呑まれるもの
星になるもの
僕らの住む街 ....
山を見ろ
何かが聞こえてくるだろ
それが
ヤマトの歌だ
海を見ろ
何かが動いているだろ
それが
ヤマトの踊りだ
ヤマトは
自然という言葉を知らない
なぜならば
自然そのも ....
わすれまじ
ここに永遠(とわ)にはおらぬことを
はなびらがめくれて
むせかえる花粉が
風にまみえ
この夕方 君においつく
トンテンカンテン
ボクはおもちゃの工場長
トンカチひとつふりおろし
ボクがつくるブリキのおもちゃ
ヒトのまねしたブリキのおもちゃ
みんないつでもニコニコえがお
だけどコイツ ....
机に置かれた
ちいさな消しゴム一個
それで
僕の文字と一緒に
僕のこころも消してほしい
B5サイズの
白い印画紙になって
誰かが言葉をいれてくれたら
僕のこころにしよう
誰かが絵をい ....
お国のために いざ働こう
働く汗は美しい
家族のために いざ働こう
働けることは素晴らしい
他の人たちが 遊んでいても
....
お袋の本を貸したら
紙にペポ君へと書いて
蟻を10匹書いてあった。
子供だねと言ったら
子供だもん!
でも始めて貰った。と言ったら
お袋は喜んでいた。
足はほとんどが6本だけど
....
臆病な渓流の魚
生息の影 秘密めき
見上げる
木々の陰影
木漏れ日のわずかな流れ
遡行する 記憶の面影
二千五百年前 仏陀と
七百五十年前 日蓮と
この滝の巻き道をあが ....
雨が決して止まない学校の教室
曜日は無い暗い廊下の突き当たりに集まって怪談話をしている
この空間は永遠だ
無限に続く5分休み 僕らの後ろに先生はいない
教卓やテストのプリント用紙に暖 ....
新緑が濃くなると
アバの曲がかかると
なにかしら前向きな
人生への確信と影を与えられる
新緑とアバには
華麗なる哀しみがある
暗くてまぶしい
華麗なる哀し ....
未来に
あくびをさせるな
過去なんかに
囚われるな
高ぶる感情のまま音を紡ぎ上げ
楽器を演奏するジャズメンのように
その瞬間に熱狂しろ
目一杯着飾って
トランペットを持ち
....
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