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空を行く
風ほどに軽く満ちていたい
鳥の翼を
ささえ得るほどに
空に吹く
風ほどに軽く満ちていたい
様々な音を
伝え得るほどに
何かあるように見えなくて
それでいい
雲はた ....
失われた街が視界のなかを流れる。
忘れられた廃屋に寄り添う墓標の上で、
目覚めた透明な空が、
真昼の星座をたずさえて、
立ち上がる高踏な鳥瞰図に、赤い海辺をうち揚げる。
繰り返し、磨きあ ....
白く湧き出る夜霧が彩色の光度を埋める、
途切れた余白だけが、
寂しく横たわり、わたしを乗せている。
染め急ぐ硬いみちが流れるなかで、
滑るように乳白の色をやわらかく溶かして、
わたしは、あた ....
君の不慣れな指が
ここは
触れてもいい場所だろうかと
ぎこちなく髪を撫でるたび
私の躰をなぞるたび
電流のように
私に幸せを運び込んでくれる
海が仄かな火を抱いて流れる。
流れは、わたしの新しく柔らかな意匠を溶かして、
かわいた青い夏をひろげる。
みずを失くした海が流す、青い夏は、
白昼の街に横たわり、死者を語り、
練られた風 ....
ひたひたと打ち寄せる若い海が、
青い匂いに弄ばれて、言葉の果てで立ち尽くす、
夏に縛られながら。
波は立ち眩んで、一滴ごとに、ほころびる海の雫が
暑さに滲んでいく――。
散らばる熱が ....
打ち震える涙が、立ちならぶ
忘れられた街景の片隅に、十代の足音を揺らして、
失われた向日葵は、いまだ声を上げて、
古い風の臭いに浸り、
枯れた夏を首に巻いて、
届かない空の裂け目を編んで ....
{ルビ一歩=いっぽ}踏み出せばどこまでも
この季節が続いてゆきそうな気さえする
はやるきもち
紫陽花とひまわりの{ルビ間=あいだ}
入道雲の{ルビ構成=つくり}
光のつぶ
....
戯れる森の雫が、
ひとびとの拍手のなかで、静かに横たわる。
あなたの流れる姿が、
森の節目に、厳かに薫り立つ。
標高をあげている森は、
巧みに感度を敷きつめて、
わずかに彩色を動かしな ....
幾たびも、ひたむきに萌え上がる、
いにしえの稲穂の原景が、
小走りに薫りたって
遠き草創のまほろばの底流は
大和から飛鳥に、涼やかに下ってゆく。
万葉のけむりを煽り、
壬申の衛士の錐立 ....
ひかりをふところに浸す、
みどりのまるみが、いのちの数式を
一面につめこんだ、
萌え上がる、眠れる森に、鬱蒼と、
うすきみどりを染め上げて。
満たされた隙間を、みずいろの風が、繰り返し、
....
情報通の友人から
感情の食べ方を教わったので
早速今ある幸せをかき集め
ジックリコトコト煮込んでみたところ
これが何とも薄っぺらい味であった
アイスのフタを舐めているような
惨めったら ....
赤いくちびるの、艶かしい呼吸の高まりが、
耳元をかすめ過ぎて、
世慣れた顔のひろがりは、穏やかに浮かび上がり、
成熟した夏を秘めた、
落ち着く若い寡婦の頬をかしげて、
経験にさばかれた甘い水 ....
少しずつ 遠ざかった街で
午後の地下鉄に揺られながら
僕は いつかの頃を思い出している
目の前を
たくさんの人が
揺られ押され 通りすぎて
毎日決まった場所で
同じように吐き出さ ....
磨かれたノルマンの尖塔の硝子が、
ケルトのひかりを運び、
古都は、厚き信仰の素性を醸し出す。
北をめざした奥まった海流は、
度重なる落城のかなしみを刻んだ、
鉛の雨をもたらして、
午前の湿 ....
深い眼差しを、
赤く朝焼けした巨木におよがして、
動きだすふたりの直きせせらぎが、
ふくよかな森の奥行きを高めて。
始まりは、乾いた無音を燻らせる、
茫々とした朝霧を追い越して、
あさ ....
わたしは時々、石になりたい
そして夜の一番暗いところで
じっと丸くなり
わたしの冷え冷えとする体に
とても美しい夢を備え
いつかわたしを拾い上げる者に向かって ....
神様・・・
どうか僕を世界一の詩人にしてください
春の光を
夏の匂いを
秋の紅を
冬の粉雪を
すべてを色鮮やかに
言の葉に込めることが出来る
そんな詩人にしてください
そうなれたなら ....
沈む深海の星は
{ルビ蠢=うごめ}く
ただ{ルビ蠢=うごめ}く
お前も星ならば
夜の星たちと同じように
輝やこうとはしないのか
ぐにゃり
{ルビ海星=ヒトデ}は{ルビ蠢= ....
幼い妹の髪を結いながら
長い髪を結いながら
きっとこの髪は
風に{ルビ凪=な}がれて
哀しみを絡みつけているんだろうなぁ
なんて思う
それでもあんまり
真っ直ぐしているから
私には ....
+TATOOの悲しみ
水商売をもれなく売女と呼ぶ
その在庫表の端には
くたびれたドラえもんが描かれている
規則正しく働ける
抜け目ない線とスイッチの裏の
せわし ....
誰かに何かを解って貰う権利を放棄します
私のこと理解してよと もう言えません
全ての間違いは私にあり
全ての過ちも私にあり
全ての悪は私であり
全ての浅はかさは私である
人徳と信頼 ....
くらげはもう水みたくなって
やがて海になるだろう
溢れる 空想を両手にとって
きみは穴を掘っている
隣で海を耕しながら
私はそれらを見つめてあげる
....
重い、思いが
いくつも重なって
重奏を奏でた
扉がどぉーんと開いたように
僕はバッハに取り付かれた様に
必死で音を響かせている
聞こえるか、聞こえるか、聞こえるか
僕のサウンドにつ ....
電気、いらない
ガス、いらない
石油、掘るな
あたたかさなんて
必要ない
地球環境守る
これがぼくの温暖化防止条約
電車、止めろ
車、スクラップ
飛行機、撃墜
あたたか ....
いい加減教えて下さい、おかあさん
わたしは本当にあなたから生まれてきたのでしょうか?
わたしは本当にあなたとおとうさんの子供なのでしょうか?
いい加減本当のことを言って下さい、おかあさん ....
あねもねの花を持って
歩く、わたし
1月の風がごうごういって
わたしの身体を強ばらせる
こんな日に
アスファルトの上で転んだりすると
とても痛い
ここを
早足で通 ....
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
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