冬の詩
和泉 誠

今夜は雪が降ると思った日
君は寒さに震えていたから
僕の話に黙って耳を傾けた
二人して、ぬくもりが欲しかった

言葉を求めると
何故か君は他人行儀で
それでも二人はどこかで通じ合ってて
だからあえて何も言わなかった

今年は特別寒い冬だった
だからなおさら二人は側に寄り添って
まるで恋人同士みたいだねって
そんな恥ずかしい事を言うと
君は早足で先に行った

あの頃は
どこに向かっていたかなんて
大した問題じゃなかった
二人して、ぬくもりが欲しかっただけ

いつからか
行き先にこだわりだして
明日にはっきりした形を求めだした
永遠の終った瞬間

戸惑う君に手を差し出したあの日
「さあ、一緒に行こう」

離れるのが嫌だった
それなのに
どこか遠くへ行く道を選んだ
君を連れて行けない事を知ってたのに

明日が眩しかった
今掴まなきゃ逃げてしまう
そんな気がして訳もなく焦ってたんだ

いっそ無理やりその手を掴めばよかった
それをするには僕には勇気がとても足りなくて

一人で歩く冬の道は
とてもとても冷たくて切なくて
気が付けば何度も振り返ってしまうよ
君が今から追いかけてくるんじゃないかって


自由詩 冬の詩 Copyright 和泉 誠 2006-01-21 09:00:10
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