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まだぎらつきはしないけれど
充分に
強烈な熱を発散しはじめている
五月の太陽

日暮れがきて
それはすこしだけかげりはじめて
万緑は
急速に輝きを失ってゆく

気温が下がる
夜の ....
何も見えなくていいのだ
握りつぶしてきた虫の数を数えてみようったって
できない
地球の反対側の生き死にだって見えやしない
私は限りあるイキモノであって
書物だのインターネットだのが親切にも教 ....
きみの目がとりたてて好きだってことではないんだ
そんなこと言った覚えはない
きみだって
不意に
なんてことない仕草に
たとえばYシャツの袖をまくりあげたりする動作に
くらっとすることはある ....
お人形がほしかった
なんて時期が
このあたしにさえあったんだけど
いまはいらない
あなたはまさか勘違いしてないよね
女は
少なくともあたしは
「そうだわ」だなんて物言いをしない
「ねえ ....
ぼくが冷たい雨に濡れて走っていたとき
きみはあいつと酒を飲んでいた
ぼくが金策にかけずり回って
もう電話する相手もなくなって
ガス欠寸前の車内で携帯電話と格闘していたとき
きみはやっぱりあい ....
うちの最寄り駅は
大笑いなことに愛野というのだ
駅にほどちかい工場の連中は昔バンドを組んでいて
そのバンドの名は
大笑いなことにラブフィールドといったのだ
そいでもってうちの近所の
つまり ....
俺はあいつが嫌いだ
はらはら散る桜と同じくらい嫌いだ
もっとも俺は
ぼとんとみっともなく落ちる椿も嫌いだが
だって考えてくれ
生首に潔いもクソもあるか
ぼとんと落ちようが未練たらしく落ちよ ....
昨日と同じ言葉でわたしはおはようをいう
昨日と同じ声で
昨日と同じ表情で
昨日と同じ空に
昨日と同じ色合いの雲が浮かぶ
というのは嘘で
昨日と同じものはなにひとつなく
昨日と同じではあり ....
音を立ててブナの木は水を吸い上げる。
地下の滝は光を求めて上昇する。
森は暗く木々はみどり。
凡庸な言葉が指をすりぬける。

緻密な理論はブナの木に関わりがない。
ブナはただ立っ ....
夜だけひらくその店の
すこしよごれた扉をあける。
煙草のにおい。
ソーダ水。
チョコレートと紅茶。

「スピカちゃんは来てないの?」
「さっきちょこっと来て帰っちゃった」
「そっかー。 ....
 壱 うきしま

ねこやなぎ
あまごのせなの朱の星
春あさい湿原の灰色の水
地平線すれすれにみえる赤い月

鳥たちはいっせいに
北にむかって飛んでゆき

わたしは浮島にのって
 ....
あなたはわたしのものではない
わたしはあなたのものではない
うそぶく唇にくわえる煙草はバージニアスリム
煙草を吸うやつは口唇期から抜けてないんだぞと
嘲笑ってはみたが
おれも喫煙者だから薮蛇 ....
きみの首はしろくてほそくて
手折られるのを待ってる野菊の茎
だなんて
心底バカ丸出しな手紙を見つけて
真夜中にひとり
わたしはけらけらわらった
ああそうなのねそうなんだ
だからあのひとは ....
(1)

外では血の雨が降っている。誰が死んだわけでもなくて、ただ空が血の雨を降らせている。ねばねばと。あたしはなにがしたいのだろう、あのひとはなにがほしいのだろう、なぜここはこんなにも寒いのだろ ....
かつて高貴なひとびとは
憂き世離れた恋に身をやつし
夜空を見上げては月に思い寄せ
浜辺を見やっては海に思い投げ
紫の綺羅 星のごとく

そのころ私のご先祖さまは
きっと真っ黒けに日焼けし ....
明るい朝の日差しのなかで。
痙攣する手が手渡そうとする綿毛のたんぽぽ。
飛び立ってゆく綿毛、綿毛、
白いこどもたち。


白いのは綿毛ではなく世界ではなく私の視界でありより正しく言うならば ....
あかねさす紫野ゆき標野ゆき
そんな旅を胸に描いた{ルビ妾=わたし}は
愚かだったのでございましょうか
野守などはおりませんでしたのに
せめて手をお振りになってくださったら
それだけでも嬉しう ....
呑んだくれた父が
血まみれになって帰宅したことがある
前歯が三本折れていて
目の周りは真っ黒だった
何がおきたか怖くて聞けなかったが
父は喧嘩をするような人間ではなかった

呑んだくれた ....
白百合の季節ではないから
梅の枝を切ってきた
山の梅だから
きっと白い花が咲くだろう

ほんとのことをいえば
白い花はあんまり好きじゃない
私が好きな花は深紅の彼岸花で
それも墓地やな ....
LEOさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
- 佐々宝砂自由詩7+*07-5-5
初夏の森には秋の風- 佐々宝砂自由詩1807-5-3
瓶底眼鏡- 佐々宝砂自由詩8*07-4-24
Be_My_Baby_(Poor_Poet's_Love_S ...- 佐々宝砂自由詩607-4-24
Poor_Poet's_Love_Song- 佐々宝砂自由詩7+*07-4-23
愛野讃歌- 佐々宝砂自由詩6*07-4-23
葉桜の下、一度きりの。- 佐々宝砂自由詩6*07-4-22
そらいろ- 佐々宝砂自由詩9*07-4-22
森は暗く木々はみどり。- 佐々宝砂自由詩807-3-19
二十六夜- 佐々宝砂自由詩507-2-23
よもつしこめになるために- 佐々宝砂自由詩8*07-1-20
口唇期- 佐々宝砂自由詩8*06-12-3
創書日和。白_【ながい首】- 佐々宝砂自由詩12*06-11-27
これは詩ではない。- 佐々宝砂自由詩5*06-9-17
むらさきにほふ- 佐々宝砂自由詩14*06-7-15
震顫- 佐々宝砂自由詩1406-4-15
ものや思うと問わば問え- 佐々宝砂自由詩606-2-16
海に出るつもりじゃなかった- 佐々宝砂自由詩17*06-1-13
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