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朝雨に濡れたアスファルト黒々と
道端の蝉夢を観ている
砂浜にポツンと置かれたサイダーの
ビンから透けた夏が去りゆく
階段にカサリと落ちてる抜け殻を
ポッケにしまう夏の秘め事
....
ひかりのつくり方は だれも教えてくれない
水の配合を間違えたことで 白く霞む朝に
きみの浅い微睡みは
錆びたダイヤモンドのように 美しく堕ちていく
レースをまとった瞳の透過は
い ....
降る雨に憮然と私を晒しても
乾くまもなく次の通り雨
紅(くれない)の夕焼け空に見えるのは
積み重なった寂しさの雲
羽ばたきを知らずに堕ちたさなぎでも
夢のまにまに大空 ....
夜明け
窓を開けると
薄暗い空に、明星が瞬いている
テーブルに零した、煙草の灰を
手で、掬いとっている
うちに
夜が、終わっていく
春先の
暖かい雨は、降り止み
朝日が、微か ....
弛緩する、心臓
春の
そよ風に身を任せ 、立ち泳ぐ
辺りには、蠢動が満ちていて
指先から
徐々に、芽吹いていく
あらゆる感情を司る
脳内シナプスが
緩やかに伸び、繋がり
未来を
....
今日が、微睡んだ瞳の奥で
希釈されていく
感情は、乾いた風に吹かれ、干からびて
身体の襞に折り畳まれる
けれど、記憶はいつかまた蘇る
あなたが必要としているものは
全て ....
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな接続詞を
あてがい 続ける
たくさんの繊細な 傷を
指でなぞり 再生して
....
1.蝉の脱け殻
階段を登っていると、カサリ と音がした
足もとに目をやると、蝉の脱け殻が潰れていた
私はそれが、崩れてしまわないように、
そっと、ポケットに仕舞った
2.虫籠 ....
夜が、急行列車のように
時を、間引いて、過ぎていくから
夢と現実の境界線は、いつも
曖昧に、滲んでいる
抱き締めあう行為は、
波のようなリズムを、刻みながら
深い海に沈んでいく ....