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入道雲は
青蜻蛉がみる白蜻蛉
さっきの雨が焦がしたフィルム
こぼれたひとつのいきを
つまさきまで吸いこんで
両手を背中で結んで
夜風を独り占めする様に
一歩先を進む君
結んだ指は祈りにも似て
君は無邪気に何かを願っているようで
君は気付いているかい
「これって運命かな」って真顔になったり ....
ぎっくり腰は正式には
急性腰痛症という
背中に杭を打ち込まれたか
どうやって立つのか分からなくなった
東司へ行く恐怖
行かねばならぬのに
近くて果てしなく遠い ....
月曜日
月の銀の光に包まれ
しずかに始まる今週
そろりと人生も始まる
火曜日
火のように赤い情熱に
エネルギー零れ落ちる日
熱い自分に火傷しそう
水曜日
水の滑ら ....
鞄の紐が千切れた
それは長財布と数珠を入れたら
もう手一杯になるくらいの
小さな黒い鞄
仕方ないので
それを胸に抱えて歩く
ごめんね
ごめんね
人波に逆らって
死んだ仔猫を胸に抱 ....
{引用=
夏、相変わらず
碌でもない 夏
ことしの夏は
ニューオーリンズで
スノーボードしてる
ゆめをみていた
ことしの夏は
アラスカで
熊狩りをしていた
夏 ことしの夏は ....
心の跳ねとぶような白に
目を見張る
おおよそ神秘な所で
香り咲いた月下美人
一夜、月の輝きのなかへ
身をなげだし
実もつけない花の
湧きあがる純白は何故
そんな ....
新横浜駅を降りてから
どうやって そこに辿り着いたやら
彼が教えてくれた家の間取りは
手紙に描かれた図の通り
他愛も無い話は ビールを飲みながら
お互い 何を考えているか ....
落ち葉を拾うように
拾ったことはないし
腰が痛いだろうけど
わたしは手を伸ばし
やっぱり落ち葉を拾うように
わたしのやり方で
宇宙で星を拾いながら
考えるのです
随分 ....
こおろぎの歌を
聴く
合掌
この魂といういのちと共に
生きている
私の
体は
いずれどの道
死ねる
その日まで
生きる
小さく小さく
満足しながら
この道を
歩いてゆく
....
この夏は海に呼ばれた。
思っている以上に癒しが必要だった。
波の音のピアスは砂浜に落ちていて、
夏色に輝く蝶は深呼吸を担っていた。
この海は幾星霜波と風が象った
遊び心と神秘に満ちたメッ ....
〇
トウモロコシ畑が黄金色にキラキラと輝いている。一粒一粒の実から潜望鏡がのぞいている。死んだ者たちが小人の幽霊となって、一粒一粒の実のなかから潜望鏡でのぞいているのだ。百億と千億の ....
その神殿の石柱は見上げれば雲まで届くらしい
見上げたら脊骨が折れそうに曲がって私は魚になる
そのまま神殿の在る洞窟の足下の水たまりを
魚の私は泳ぐ
そのすぐ横を大きな踝が通り過ぎた
大きな神 ....
七億をすぎる人の
文字への想い
親の願いを込めた
自分の名前すら書けずに
字を読むことすらできない、少女は
母からの手紙を読んでもらいました
詩はいつも文字や言葉を媒介す ....
月と太陽ではどちらが、海思いだろうか?
水面に映る我と我が身を見て、戯れに酔うナルシス
カモメとジェット機では、どちらが空思いだろうか?
飛翔飛躍を遊泳のように愉しむ、陽気とスリル
ウクレレと ....
明日はいつも私をどこかへ連れて行く
どこまでも私の手を引いて
毎日近い所や遠い場所まで一緒にいたね
やがて歳をとり身体が動かなくなった
毎日一緒にいた明日はもう来ないみたい
私は何処へ行けば ....
何も始まっていないし何も終わっていない。
炎天下を歩いている。
なんでもない。
今日がまだ日曜日でよかった。
どれほど空が抜けるように青くても
君は優しく微笑んでくれたけど、僕は
いまだ精米されていない人々を見て
階段の上の方
ポケットに手を入れて
にやにや笑っていた
本当はもうどうしようもなく
....
いつもの食べるペースを
ゆっくり、ゆったり、スローに
味わい深く
身に染みるこのうまさ
いつものシャワーを
ゆっくり、ゆったり、スローに
湯船に浸かり
芯を解きほぐす
いつもの ....
昨日産まれたばかりの吾子は
わたしの横で寝ている
なんてかわいいのだろう
産毛のような髪の毛
耳も口も鼻も小さいけれど
とても精巧に作られていて魅入ってしまう
閉じられたまぶたの中でどんな ....
築年数四十年を過ぎた中古マンションで
今夏暫くの間、我が家でも玄関ドアの脇に
宅配弁当業社の貸出しボックスが
配置されるようになった
すると挨拶を交わすご近所さんから
「 ....
月がゆれる
星がゆれる
短夜の
せつなくゆれる
まにまに
あらゆる意味を
ほどいてゆく
溶かしてゆく
....
退勤を押す
瀝青が泡沫を吐き出す湿度をまといながら
誰もが楽園を見つけだせなかった旅人のように
骨格を曲げている
さびしい さびしい さびしい さびしい
柔軟さを失いながら猫は歩いて ....
四萬
それチーね。
雀卓を囲めば深夜放送から流れてくる埠頭の風
東雲の左手には北の兄貴が居座り考え込んでいる
兄貴はいつも遅くて牌をなかなか手放さない
結果的にはカモ ....
あなたの上で羽ばたく
それがあなたへ与える効果は
あなたがどこかで
誰かに影響を与える
そうやって次々と伝播する
地球の裏側まで
だから今夜飛ぼうよ
遥か遠くを目指して
but ....
夏、街は
もぬけの殻になった
開け放たれた窓
ラジオから流れる雑音
駅前からも公園からも坂道からも
人はいなくなった
がらんどうの街路を歩く
私もまた空っぽになっていく
視 ....
墨透海の南にはもう海はない
あのつまらない大きな大陸があるだけ
だからほとんどの人が折り返す
それでも大陸に行こうかどうか迷う
やめようと決断するのが
大抵午前三時だそうだ…
昼間の墨 ....
Ⅰ.
夢はすべからくすべすべとしたまるい顔
ひとよんでのっぺらぼうという名の妖怪
さそわれて、肩たたかれて、ふりむけば
人まちがいだろうけれど「なんかようかい」
夜空は月の目玉を ....
いつの間にか
遊ばなくなった
あの子
何しているだろう
かくれんぼして
見つけないまま
帰ってしまって
そのまま
会わなくなった
あの時あの子が鬼だったら
まだ今でも遊べた ....
湧水
ハグロトンボが舞う
エメラルドの躯を伸ばして
瞼のリズムで
翅がはためく
鐘は
教会を思わせる
夭折した作り手を
悼んでいるのかのように
石膏像の白
信州の山々に
....
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