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静かに狂う
私を
認めつつ詩を
書いていたのであった
私は昔
こころの底に
流れていた
川の音を
ずっと聴いていた
生まれることが出来なかった私の子は
愛を知ることもなく
や ....
僕のさみしい夢を
獏は食べててくれたのかな
獏のさみしい夢を
僕は食べてたのかな
今日
どうしてここにいるのかな
猫が液体なら
花は気体だ
空が固体なら
あなたは液体だ
あなたは卵を茹でながら
何処へ行こうか考える
アンドロメダは遠いけど
映画館ならすぐ行ける
あなたは景色で映画を選ぶ
....
いくつもの
物語の
すべてが語られて
ひとりの人として集められて
終わるころには
陽の光から逃げるような
細く長い影が
やっぱりひとつ
薄く 揺れるだろう
生まれてからは
笑い ....
花がいつせいに咲いたので
風もなかなかお洒落なもので
埃つぽい老婆や街の子たちも
きやすく四月のあどけない挨拶にしたしむのだらう
さはやかなハ調の音階がきこえてくると
....
特別に悲しいという訳でもない日
行きつけのショッピングビルの喫茶店で
夜のムードなソフトジャズが
無機質に聞こえる 寂しさ
スプーンで掬って 舐める
ウインナーコーヒーの ....
謎の荷車を引いて
着飾った馬がやってくる
出来立ての{ルビ宇宙=ビスケット}は、
遠く遥々夢の続きから
そよぐ秋風に
ミルクの匂いを薫らせて
村から村へと
せつなく甘い{ルビ宇宙=ビスケ ....
真夜中、夜に目が覚めた。
水の滴り落ちる音がしている。
入り口近くの洗面台からだ。
足をおろして、スリッパをひっかけた。
亜麻色の弱い光のなか、
わたしの目は
(鏡に映った)わ ....
いま生きながら埋葬されている
あなた
血の滲んだ手で墓掘りのスコップを握ってる
それもあなた
あなたのお葬式は
だれも知らないうちに行われる
正しい名が呼ばれることもなく
墓標もない ....
雪のように白くても白は色で尻にはなれない
どれほど尻にしかれようと色は椅子ではない
白の住まう城が尻であっても尻の穴はくろい
とはいえ尻の家が白かといえばいいえだろう
白は色であり家にしろとは ....
水槽のところで約束をした
真昼のすん、とした感じ
色違いの飲み物を二人で飲み
明日も天気はあるのだと
なんとなく思えた
歩く速度で歩くように
わたしたちは笑う速度で笑う
許したこ ....
精神の国をぶんどった
瞳に映るのは町並み
一生で作り上げたはずの美しき景色
分け合うことができるだろうか
私の国と同じになってよ
あなたと歩きたい道
純白に覆われた道
時には草陰に花も咲 ....
エロ可愛いソルジャーたちが拉致目的で追いかけて来る。ついさっきは、あわやオバサン・ソルジャーに噛みつかれて死ぬところだった。ソルジャーたちの背後に見える太々しい顔があまりにも巨大なのでボクはそいつのこ ....
ゆたかな木
夏の雲みたいにわきおこる
しずかに立っているようで
たくさんの声をもつ
ゆたかな木
鳥たちの翼を夜からまもり
どんな風も受けとめ
星のひかりに運ば ....
優しい崩壊がはじまっていた
あまりにも優しいので
感じるべき痛みを
感じることができない
あまりにも無垢な幻想が
あまりにも無垢なまま
此処を通りすぎることはできず
幾重にも折り畳ん ....
砂、で
こどもは城をつくる
世界に果てはなく
時間は無限にあり
はやくとしをとりたい、とすら願う
十年後に彼等はすべてが有限だとしるが
いまは有限という言葉の意味すらしらない
こども ....
開けてはいけない蓋
開かない蓋
開きそうで開かない蓋
固い蓋
瓶の中身は歪んで見える
瓶の外のわたしは歪んで映る
正常な精神と
健康な肉体と
よくわからない瓶の中身
綺麗 ....
樹にもたれて、手のひらをひらいた。
死んだ鳥の上に、木洩れ陽がちらちらと踊る。
陽の光がちらちらと踊る。
鳥の死骸が、骨となりました。
白い、小さな、骨と、なり、ました。
....
病院が白いということ
全ての記憶に
カルテのような
置き場があること
始まる命と終わる命が
手を振りながら
点滴よりも静かに
空を見上げてしまう
誰かいないか
何か聴こえるか ....
ワルツ
青のつぶが昨日より
すこしだけ小さい
明日になれば 目に見えなくなって
ひろく つめたく降るだろう
そして
濡れた道ばたで
セミとコオロギ ....
人生 80年だとすると 私 40歳だから
もう 人生半分生きちゃってるわけでしょ
だから 毎日焦りに焦ってる
大学生時代 遊びも勉強もやらなかった
本当に 何もしてこなかった
そ ....
眠るように死にたい
そう願うのは人間だけじゃない
夜行性の雀蛾や鼬鼠
僕と私
昼寝する象海豹だって同じこと
真夜中に他人目(よそめ)を避けて歩く人々に万歩計は要らな ....
山賊を職業にした
この
AI普及真っ只中の世の中で
恥ずかしい話だが
いや、だからこそかもしれない
AIは追い剥ぎなんて
まさかしないだろうし
極めて人間的な職業といえよう
着物を着崩 ....
長い裳裾をひいて
夏が去り
あとに
秋がひっそりとやってくる
土間のすみで
地虫が鳴いている
つづれさせ やぶれさせ
背戸から
背中を押され
たどり着いた
土間で
地 ....
お楽しみを一杯
詰め込んで
一つ一つそれに火を付けて
花火のようにきれいに燃えると
期待していたけれど
どれもこれも
真っ黒い煙を出して
灰になってしまった
もう残りは少ない
お ....
命の果ての地平線で
百億の虹がいっせいに開く
真っ白な光の裏側で
音が凍りついて花みたいに燃える
わたしはアンドロメダの踊り子
わたしは約束された期限付きの祝福
わたしは届けられること ....
爪を剥がす
わたしの指は二十本あるので
二十回できる
それはやさしさの残機
不安に駆られるゆうべは
脳を取り出して洗う
ホームセンターで売ってた一番強い漂白剤に浸けて
洗面台でじ ....
心配は本物?
自分以外を心配するとき
優しさはあるのだろうか
わずかに胸が捻れている
そこに痛みはある
痛みがあったら本物だろうか
優しくなりたい
それだけなのに
何を冷静 ....
心のつらぬきは今は
冴え冴えと他人をつらぬいている
よくわからないように
うまく散りばめた鍵盤を
叩き散らかして封じ込める
ひんやりとさわる指に似て
どこかでふうと吹く風の音が耳をかす ....
京急のな
平和島あたりぃ
富士山が見える時があんねん
ほいたら何でんない車内で
あぁってじんわり沁みてくん
それが沁みてくんねん
朝はもう乗っとるだけで
鬱になりそうなところ ....
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