すべてのおすすめ
子供の頃の習い事は
どれも壁が出現した時
手折ってしまった
しまった
諦めが早すぎた
選択肢が多かった時期に
自ら摘んだ芽の根っこは
まだ生きていて
芽吹けない土壌を
地底か ....
龍だった体はゴワゴワと
一年分の出来事に塗れて
空を飛ぶには重くなった
カレンダーを新しくして
つるんと剥けてスルスルと
元気に走れよ 僕
大きな蛙は呑み込んで
栄養にしてしまえ
蛇行 ....
UMAがゆらりゆうらりと
こちらへ向かっている
新月がその姿を曖昧にする
心の中に抱いている
あんなことやこんなことを結びつけ
その姿を見ようと頭の中を巡らせた
心に浮かびあがる月とU ....
君の鼻歌を引き出すために
何を話したらいいだろう
緊張を含んで発した言葉は
白々しい空気となって
沈黙の中に霧散してしまう
きっと些細で単純なことと思うのは
僕だけなのかな
意思を感じる ....
いつもと同じ道を歩くと
強い向かい風が押し返してきた
風に負けて逆方向へ行くと
風が背中を押してくれた
いつもじゃない道を歩いて
知らなかった景色を見る
背中の風を失わぬよう
流れるよう ....
ブラックコーヒーをもらう
飲めば喜ばれる
その代わり自分の時間はなくなる
油断すれば尊厳さえも
わかっていながら
最初はチビチビと
やがてゴクゴク飲み干す
今では自らブラックコーヒー ....
公園の池の際に母子がいる
母は子供にパンを渡し
子供にパンクズを池に投げさせた
池の鯉は競って大きな口をパクパクした
傍には鯉に餌を与えないで下さいの看板がある
通り過ぎる人々の視線が母子を ....
青白い顔
まだ魂はそこにある気がした
らしさと共に
だんだん土気色に変わると
らしさから白い鳥が飛び立ち
魂を持っていった
すっかり深い土色となったらしさは
白い花々で埋め尽くさ ....
声をかけようとして躊躇った
鬱蒼としているその背中は
家事の音を大きく立てながら
部屋中に電気柵を張り巡らせていた
薬缶のお湯が沸騰し湯気を吹いている
まだついていない嘘のシミュレー ....
ずいぶん長いこと静かだった
道路の舗装工事をしても
気づかれることなく
死んだように眠っていた
それが突然起きてマジギレして
大地に穴を開けた
近くに人がいたら殺していただろう
忘れかけ ....
君に走り寄ろうとして
転んで思い切り擦り切った
泣いて湿り気で覆えば
傷の治りは早くて
綺麗だったかもしれない
けれど泣かなかった
血小板の力を借りて
乾いて固まっていく体液
新しい皮 ....
女は役割に疲れ果て
横たわり目を瞑った
瞼の裏
いつか失くした鯨のオルゴールが
雲型のメロディを吹きながら
子供の頃の記憶を雲に映し出し
女は少女に戻り鯨に呑まれる
やがてメロディが ....
胸に火炎の種を宿して産まれてきた
赤子の時は泣いて火の粉を散らし
成長するにつれて自分で消火し
胸の印を隠して生きてきた
あなたに出会った時
胸が疼いた
忽ち火炎が咲いて
私が私に目 ....
昨夜の嘘はあなたには通用しなかった
思考の引き出しにある秘密が小さく震えるのを抑えきれず
あなたの唇が弱いところに触れると思わずこぼした
照準は1ミリの狂いもなく急所をとらえ逃すことなく
脳天 ....
誰かの作った世界で
見ざる言わざる聞かざる
飼い慣らされて
俯いて取りこぼした夢
言われるままに行進する
息を殺したまま
三猿たちの断末魔の足音
かつて某猿が摘んだ花だけが
上を向 ....
理不尽に叫びたかった日
拳を握りしめながら目を瞑ると
瞼の裏は草間彌生
体内の粒子が猛スピードで蠢いている
顰の素顔を塗りつぶし
呼吸をゆっくり
数を数えて
瞼の裏のざわめきが
....
今日もおばあちゃんと折り紙で鶴を折る
最初に三角に折るところから
おばあちゃんは折り方を忘れてつまづいてしまう
だからまた折り方を教える
だめだねえ
弱々しく笑うおばあちゃん
毎日 ....
きつい今現在
全部投げ捨てたくなる
消えてなくなりたい
あゝ
嗚呼
苦しい
夕日は沈む
朝日は昇る
それを繰り返し
いつか景色は変わる
かもしれない
それを信じながら
今日を生 ....
精霊馬に乗って来い来い
鬼灯提灯こっちだよ
魂つないで出かけよう
太鼓も鳴るよ
ドドーンドーン
響け響け
BONE BONE BONE
巡れ巡れ
BORN BORN BORN
....
顔を洗い
今日一日の作り顔を落とす
引き攣った笑い顔
怒りを抑えた澄まし顔
泡となって流れていく
素の顔になると
のっぺりとして
それはそれでガッカリする
何者でもない自分
本心 ....
石が焼ける臭いがした
八月
原爆ドームや資料館
鼓動が早くなる
平和の鐘を鳴らすと
ずっと胸に響く
夕暮れドームの見える河原で
言葉にならない気持ちを
何度も何度も巡らせていた
薄暗 ....
残酷な絵だからと
もう誰も教えてくれない
焼け爛れた日の記憶
キノコ雲に被われた
町にいた人々のことを
スクールバスはどこへ行く
地球は机上で分断され
核の傘という見事な絵空事
地 ....
太陽色した巫女たちが
羽の弾丸飛ばし舞う
歓声の裏側で
誰かが暗殺された
防弾パネルが必要な
世間の景気を占う
さりげないニュース
スマホに気を取られ聞き逃す
IT授業の机には ....
喉が渇いて目覚める
遮光カーテンの隅から
朝焼けの光が忍び込む
逃れたくても
太陽はやってきて
月を跨いだ
変化に弱い僕は
静かに絶望しながら
カレンダーをめくる
八月という一日の始 ....
雨の降り始めに
雨の匂いがする
君の傘がだんだん小さくなる
追いかけられずに
鼻の先ツンとする
肺の中が雨の匂いで満ちて
辺りは水溜りだらけ
一人立ち尽くす
影となり
....
羊水の中は温かく
世界を知らない
夢見る神の子
トンネルを抜けて
肺に空気が突入する衝撃
重力の宙ぶらりん
世界の始まり
胎内の記憶は引き剥がされ
あらゆる感覚器官に
ジャンクが ....
帯の背中に団扇を挿して
下駄を鳴らす
屋台が並ぶ道は
人が溢れて賑やか
すみません、
ぶつかった人を見上げて
耳の先まで熱くなる
先輩、
よぉ、と言って
和かな所作で ....
夕暮れ
道を失った
木々の間を歩く
コンパスは狂い
足はもつれ
命の行方も危うい
計画も装備もなく
闇雲に動いて
葉先で皮膚を切り
悲鳴をあげる
闇が迫り
足音だけが響く ....
電車に揺られ
意識はスマホの向こう
ふと周りを見渡せば
殆どの人は抜け殻のよう
みんなどこにいるのだろう
僕は仮想世界にいる時
ポジティブになれて
生きてる感じがする
肉体 ....
あなたの夢はと聞かれ
答えられない自分
無の衝撃が胸に広がり
日常の空模様が怪しくなる
どこかで雷が鳴り
風が吹き雲が追いかけてくる
あっという間に激しい雨に打ちつけられる
....
1 2