すべてのおすすめ
背中に 暖かな朝の陽射しを感じながら、
君の隣に座っていたのは なぜだったろう。
僕は君に触れてしまわぬように、
万が一にも触れて 傷つけてしまわぬように、
身体を折りたたんで 縮こまった ....
君を思い出したくないんだ。
「寒いんだから良いじゃん」
腕を絡ませて、もたれるように歩く。
寝返りも打てない距離で眠る。
散髪(美容院?)に行って、
髪がないと騒いだり、
風呂場の ....
誰かの暮らしが灯る
中途半端な暗闇を眺めていた。
それは突然眩むほどの灯りをたたえて
あっという間に通り過ぎた。
一瞬見えた、ただ白さだけが広がる空間。
崩れていく風景の中で、浮かび上が ....
終末に、荷物はいらない。
僕も、君も、後悔もーー
わずかに残した喜びさえも。
すべてが消え、
漂う自己さえ認識できないその世界で、
すべてが混じって、黒になる。
ケンケンパー、ケンケンパ!
意味もわからないまま、
飛び跳ねて、着地するを繰り返した。
何が面白いのかは、わからなかったけど、
あの子の笑顔のために跳んだ。
そうして誰かを模倣して、 ....
雨が降るのを予見したら、
僕らは準備を進めなければならない。
僕らは濡れることで、自分を確認するから。
彼等は作戦を立案しなければならない。
彼らは一粒の雨でさえ死に至る。
屋根から一歩 ....
二人ベットで退屈なニュースを見てる。
「腕枕した手が痺れるのは、
ハネムーン症候群っていうんだぜ。」
君はそっけない返事、頭をどける気配もない。
ニュースは温暖化現象の話題。
コメン ....
自分でも信じられないけど、
もう家には帰りたくないんだよ。
君には信じられないかも知れないけど。
この狭くて汚い部屋が、
君が帰ってくる場所だと信じてるんだ。
惨めたらしくね。
今 ....
君が食べたいと言ったから、
近所のスーパーでスモークサーモンを買った。
298円──破格の値段だ。
「皮がついてる……刺身の切れ端?」
ほとんど文句に聞こえるコメントを呟きながら、
オリ ....
一番恐ろしいのは、己の弱さ。
そいつが囁く、言い訳という名の誘惑。
夜半過ぎ、映らないテレビに自らを写して、
滲む爪先を凝視した。
奇妙な雨音だけに耳を傾け、
ただ、逃避した。
そ ....
幸せは此処には無い。
何時も過去と未来に点在するだけ。
傍らにあるのは空き缶、吸殻、コンドーム。
それと誰かの笑い声。
彼女は激怒した
「私は貴方を理解できない。
貴方がそれを拒否するからだ。」
きょう未明、彼女はそう言って部屋を出た。
大凡36度の熱源を失った部屋で、
僕は寒さに震えて結末を考える。
....
啄まれた左手首は
どこに還元されたのだろうか
硬い表皮に囲まれた何かを踏みつけた少年は
内股で
どこに向かっているんだろう
引越しのトラックが運ぶシリコンの人形は
父親の形見によく ....
積まれた缶ビールを弔って
食器の過去を洗い流し
灰になった溜息に埋もれて眠った
寝不足を冷たい水で隠してみても
鏡には疲れた昨日の俺が写る
「電車とお客様が接触し…電車が遅延して…
....
人間になり損なったピノッキオは
流されて海へ出た
潮の流れにぐるぐると頭の向きを変えられ
漂う彼を波が見つけて粉々に打ち砕いた
コ
ナゴ
ナニ ウ ....