しろいノートに
さびしさを
書きつけてゆく
ちいさな
ほほ笑みの気配
忘れた喜びに
さようならと またねを
贈る
ささやかな
手のひらの温度
青空へ 千切れる
雲
風に ....
繰り返す季節とともに変わる「空」
目的を失ったころからの定点観測
どんな人生が良かったのかも忘れてしまい
日々あわない人達のことも忘れていき
自分を確認することだけは忘れずに
長 ....
どうして『ネギよりもキャベツなのか
という問題を論じあって居たキュウリたちのうちの哀れな一つは
熱心に考えすぎて周りから意識がそれるほどだったので
気がつくと食卓への梯子は ....
万霊節の夜
名残りの夏の 季節の扉をしめる今宵
ここはいずこも
森の精霊の異形の獣たちに
あふれ
さまよう
Trick or treat
Trick or t ....
友達の死体を探している
死臭に耐えながら蝋燭をかざして
権力が被った正義の仮面に
喉を掻き切られたらしいんだ
血を流した空
明けそうにない明日
無邪気の死体が積み上がり
燃やされて天 ....
青く発光する塊が、
美しい水で鎮められる
影のない真昼、
明るい夢の瓦礫から
神々の失敗のかけらを拾う
穢れた土を、
いくども水で洗い流す
その水がふたたび海へ還る
....
時を刻んでいることも忘れて
落ちてゆく砂の流れを見つめてしまう
上から覗けば蟻地獄だ
むかしむかし縁側の下に蟻地獄を発見
アリンコを落として遊んでいた記憶が甦る
ある時ある瞬 ....
故郷に帰るも
人も町も変わり果て
あの頃の故郷は今はない
あの田んぼ
あの空き地
あの店
あのクラスメイト
あの空気
あの関係性
もはや記憶の片隅にしかない故郷
なんだかよ ....
雨が降るのを予見したら、
僕らは準備を進めなければならない。
僕らは濡れることで、自分を確認するから。
彼等は作戦を立案しなければならない。
彼らは一粒の雨でさえ死に至る。
屋根から一歩 ....
感触の変わらない物ばかり見せられて
満足を刷り込まれている
見てもいない物を滑らかな舌触りで
「それはフェイクだよ」と得意げに
いつからだろう
ポーカーフェイスな言葉で
ベイビ ....
出会ったのは公園の芝生だった
不思議な笑顔で空を指差し
無は確かにあるだろう?と話しかけてきた
晴れたある日には
降り注ぐ陽射しの中で
いつも持っているトランクの
小物類を少し広げて
....
茜音に滲む今日のうた
滲む私の今日
さよならの藍で覆い隠し
灯す明かりの 作る
心許なさにまたは手に迫ることも
なしに船内と悟るばかりの
星のみ売る 宙に浮かぶ水 ....
どの人にも
一途な恋ボコろを抱けないままに
私の心を占めイェ来たのは往時の少女だった生きる糧であり源泉であり
何もかもの全てだったと
今振り返って見ても
私は少女にとってあるべき私で ....
それはぼくの口をついて出たけれど、そのたびにまぎれもない呪いとしてできるだけ離れたところへ遠ざけ、忘れようとした。もっとも不当な予感だったし、書きつけることによって、それが現実のものになるのを恐れた ....
生まれて初めて見た
こんなにも沢山のチマチョゴリ
京都で暮らしていた頃
頼まれ仕事で
結婚式場へお弁当を届けにゆく
式場は由緒ある場所
黄緑の木々が繁る、厳かな静けさの中
黒光り ....
新聞という情報ツールに
改めて、心底感心させられる
新聞配達をしていた十代の頃
それは重くて辛い紙束
それはただの新聞紙
日曜日の午後、夫の髪を染める
風呂場へ行く夫を見送り
足 ....
しばれた
しぐれ煮
かじかんで
つかめない箸
きざはしのくま
どんぐりあけびさるなしこけもも
ハチミツたべたいなあ、
くりすとふぁー
東の海
三月もまだ
やがて/光
訪れる 明日の
その故郷に
私の椅子はありますか
それは幼い子供用の
やがて
私花を怯えますか
戴けて 悟る ....
めいめい
そんなちんけな捉え方を
こぎつねな甘さでどうしろと
意味をもらったよ
走り疲れたあんた
まだわかりまへんの
不器用ですから
いや、不気味ですから
司法 ....
{引用=
白のなかの白、のなかの白。のなかの 白、白。白という色彩。 白、光線と あわい影、と白、のなかの白、白。白色光のなか、白と 風と、光と、白と、砂のなか。白。淡い色彩 白色の塗料。白、のなか ....
黒に青が混じって 紺
夜に空が混じって 海
髪と瞳が混じって 睫
うちの眠った 場所はどこ
約束のトンネルに咲く花の色
ちいさな嘘を薄めたら もっと哀しい
泣いた朝を薄めたら もっと止ま ....
道を間違えて迷い込んだ学生街
近隣でもっともお安かったから入ったのだ
その店の名は「クマリマー」
大きな窓辺にガネーシャが並ぶ
とてもすいているカレー屋さんだ
最近の学生は裕福なのだろうか( ....
そらの水槽を
ゆっくりと魚たちが滑空してゆく
僕たちの教室は
まるでへばりついた岩影みたい
どこにも行けない窮屈さで
ぶつかり合う金魚たち
尾鰭や背鰭がひらひら
揺れ惑う
こころだけ狂 ....
あなたが今 見ているのは何?
きっと続いているはず
空だといいな
こちらは酢講師グレイッシュ
思いが重なることはない
知ってる 生きてきたぶんだけ
....
自分の弱さを隠したくない夜がある
誰かのせいにして誰かを求めている
そうやって明日のパズルを組み立てながら
崩れそうな不安を積み上げている
ガードレール越しで携帯を覗く子
....
キスをしたい。どんな。夜の水滴のような。
短い呼吸と音楽。それは部屋かな。
きっと部屋だろう。個人的で親密な部屋。
わたしはきみと初めてだ。初めての夜。
窓は薄く部屋の明かりを消したら ....
日を左右に反転させても
日
日を上下に反転させても
日
日を裏から見ても
日
日はどこから見ても
日
日はすべてで
時空間ととも
自遊自 ....
やさしい詩を
夜に編みたい
たとえば
晩ごはんのポトフが
美味しくできて
舌を火傷したこと
たとえば
昨日は晴れてたのに
朝、洗濯をし忘れて
また晴れの日を待っていること
たと ....
突然の電話で私の詩を褒めちぎる
たまたま同人誌への掲載作品を読んで
ここがこう素晴らしくて感動しましたと
その批評は見事で褒められて嬉しくて
こちらもデレッとしてしたところで
この詩を多 ....
裸の枝に実る柿
菊西 夕座
季節が頭をめぐらせて仰ぐ空へと囁くたびに
懐かしさは生まれた日の ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84