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師走がすまぬという
みんな居なくなってすまぬという
やさしい言葉をかけるのを躊躇う
やさしい言葉が渦を巻いて襲ってくるのを躊躇う
助手席に乗せては苛々が募り
飽きもせず ....
{引用=
白い吐息に、
深山は十六夜の雪明り
影を踏む音も 粉雪にすわれ、
人の気配など
ありようもない午の刻
新雪に足跡を残しては、
森をさまよい
さまよい
....
散歩の帰り道
ガス会社のフェンスに
ひとさし指先ほどの
緑のサナギ
アゲハの類か
細い指先で畳まれた
葉っぱのようで、
その美しさを観察する
雨風を凌げるものなど
周りに ....
愛してる
愛してみる
愛さずにいられない
愛しすぎてる
どの愛を感じて
どの愛を伝えたいの
あなたはどの愛を求めていますか
会えない夜
会える夜
会っている夜
会った夜 ....
意中の牌を掴んだときの感触
こみ上げてくる興奮に震えることも
対面のオジサンの手が一瞬震えた
右をみて頷いて
左を見て眉間にシワを寄せた
正面に向いたとき
視線を避けるよ ....
ヘミングウェイが入ってきた。
(レイモンド・チャンドラー『さらば愛しき女よ』32、清水俊二訳)
元気そうじゃないか。
(チャールズ・ウェッブ『卒業』1、佐和 誠訳、句点加筆)
プルース ....
(なかには森と同化している人もいるのでしょうが)
ぼんやりと
ほんらい人は
森に住んではだめなのではないのだろうか
最近なんとなく、思ってみたりしています
....
赤信号
ここの信号は
変わるまで長い
運転席から見やる舗道は
眩しいくらい明るい
紅葉した連なる木々が
夕日に照らされて輝く
ひらひら
赤、黄、茶の葉が
人々の上を舞う ....
悲しみを悲しみ
苦しみを苦しみ
喜びを喜ぶ
さまざまな気持ちを感じる
これらが生きている証
命の命が
生きるために生きる
命に従い生きるんだ
味わおう命を
目標は
生き尽くすこ ....
星をくるむ透明な血
理由は内側から外側から
結節点にて陵辱しながら
からからなんだ
助けるって戻すってことなのか
俺は僕に踵を返し
料金を払って
なかったことにする
そろそろ羊水を拭き ....
生まれたくなかったかもしれない世界に
大きな泣き声で
生まれてきたのだから
つらいことがあったら
思い切り泣けばいい
そんなことを
普段忘れて固まってしまう
ツボに思い切り指を食い込ませ ....
スマホを置いて散歩へ
私達は便利の奴隷
人工知能もやって来て
共存してもしなくても
使っても使われても
私達は便利の奴隷
スマホとの距離感を
7オクターブ離し ....
カーテンの隙間から
漏れる、鉄状のもの
汗や痛みなどの
混濁した
私たちの怒り、は
私たちの表情、は
私たちの時代、は
安価な口笛のために
無意味なものへと
分類されてい ....
君はいつも
爛漫に羽ばたきたかった
拵えたかごの中での日常と
生活から差し込む思いやりでは
あと少し満足できなかった
行き急ぐのは
眠りを忘れた 太陽の咲く遠くまで
飛んでいきそうな予感 ....
ぬけられます
と、
白い戒律の剥がれた板に
赤錆びた日本語が
合法を装ってしがみついている
飢えと寒さのために、
大勢の煌めくことばが死んだ
ただ夢を叶えるために、
「嘘だ」
....
{引用=
心を鞭打つ海風を欲する日
波音もきびしく鳴り
冬が眠りにつくまえに
海をめざす
息を荒げ 山の稜線を進みます
遠く人知れぬ
潮騒がむかえ
曇天の 色を ....
私が髪を切るとき
羊羹を包丁で
切るみたいであってほしい
髪型を変えても
大抵、夫は気づかない
それでいい
なぜか
それがいい
髪を切るのは
飽き性の私の
ささやか ....
ひらがなはいい
たいようがゆっくりおりていくときのやさしげなあかるさと
ものうげなのすたるじっく
わけへだてのないおおらかさが
ひらがなのこすもす(ちつじょ)だから
えいえんにこども ....
その日レマン湖畔の夕暮れは
満月を覆い隠していた
暗い鬱蒼とした雲の翳りが
静かな湖面を映し出していた
「みんなで1つずつ怪奇譚を書きましょうよ」
11月の侘しい夜
メアリーシュリ ....
呼吸を置くことで騙されたふりして。そのうち内面すら分からなくなって。だんだんとなだらかさはもりもりのもりになって。しまう。蹲れたらまだ楽なのかもしれない。立ち止まって居たはず。だった。時計の針が今どこ ....
観覧車
メリーゴーランド
どっちもまわってるのに
どっちもとまれば困ってしまうけど
天災と人災の区別なんか
わからないから
おんなじタオルで包んで
大丈夫だよって
タオルがなくなら ....
あめに うたえば
ゆきどけの おと
もれえ いつか
たどおり めぶく
ひなたの ふきは
あすを しってる
雲を乗せたレールがひとりぼっちをすぎさり
ちいさな水たまりに気づけば一枚 ....
有精卵と無精卵が
いななく
犬の春
春の犬
大きな空の
単純なオペラ
舌の廊下
けれども
憂鬱は
膝の上に先行しない
少しだけ
風が消えて欲しくなる
放浪
濃霧のような
青 ....
月の仄かな銀の輝きに
火のような赤い情熱と
水の流れのような滑らかな心
木の幹のような芯が真っ直ぐ
金ような眩しくも輝く
土のように全てを育て養う
日々好日、良 ....
目のような桜の蕾のなか
卒園式は終わろうとする
まばらに拍手がわき起こり
卒園児はふたりずつ手をつなぎ
どんぐりの出口へと向かう
ひとりの児が
「いやだ いやだ」
と言って床に寝転ぶ
....
窓の半分下を光が洗っている
照らし終わった上半分には
今日の空がもう咲いている
窓の外ではみんなの記憶と記録が
絡み始めてる
僕の今日はまだ名簿にも載っていない
温かいコーヒーをカ ....
背中に 暖かな朝の陽射しを感じながら、
君の隣に座っていたのは なぜだったろう。
僕は君に触れてしまわぬように、
万が一にも触れて 傷つけてしまわぬように、
身体を折りたたんで 縮こまった ....
○
猿を動かすベンチを動かす舌を動かす指を動かす庭を動かす顔を動かす部屋を動かす地図を動かす幸福を動かす音楽を動かす間違いを動かす虚無を動かす数式を動かす偶然を動かす歌を動かす海岸を動かす意 ....
心を
傷つけられても
これは心の問題だ
心があるから苦しくなる
でもね
心が無ければ死んだようだ
いいえ
私には魂という命がある
この魂の ひみつには
誰もさわることはできない
こ ....
すこし悲しみのある朝
昨夜に知ったこと
少し期待していたこと
そんな想いはもう無いと思っていたけれど
朝目覚めて
胸にじわじわと広がる
少し滞る朝ごはんの支度
....
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