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雨の声は小さくて
耳をそばだてた僕をカラスが笑った
どんな時を過ごしたの
小川に溶け
また上昇し降りる
雨の声は
雨音ではない
雨音は
ごま粒のような擦れ音
雨の死骸のすれきれる匂い ....
窓の開かない部屋で
空調の風
思い立ちこんな真昼に髪だけ洗う
尚更に、心地よくなる
ソーダを切らしていてトマトジュース
神様はいる、改めて 思う
ドライヤーはあと少し乾いてから ....
夜が優しく唄うから
目蓋を縫うように
眠りが訪れる
金の雫
銀風鈴の涼やかな音
木々の聲
いずれも影を纏って沈んでゆく
不確かさは予定調和を破り
Aの調律を繰り返す
斜め60度の逆上 ....
窓の外には
まだ黄緑のイチョウ
西日に照らされて キラキラ光る
その光を受け
陰影をまとい輝く
窓辺に並べられた白い陶器たち
ほとんど目が見えなくても
こんな繊細な作品を生み ....
賑やかな一日の終わり お別れと共に北風が吹いた
胸がつかえる寒さが 私に寂しさをおびき寄せた
喧騒がじわじわと何よりも羨ましい代物になる
街灯は暴く 私の弱々しい足取りを
ああ これを無く ....
北東の風強い中
つかの間の憩いに出逢う
てらてらとした羽根のついた赤唐辛子
影に貼り付いているルビーの小枝
手を伸ばせばほどけていく
振り返れない、振り返らない
寄り道してくれてありがとう ....
ケンケンパー、ケンケンパ!
意味もわからないまま、
飛び跳ねて、着地するを繰り返した。
何が面白いのかは、わからなかったけど、
あの子の笑顔のために跳んだ。
そうして誰かを模倣して、 ....
終着駅までの全ての往路が足し算の暦なのだと
信じきっていた頃も確かにあったことを思い出す
アネモネの蕾を見て安堵したように降り始める雪がある
事はまだ知らなかった
降りつつ、積もる雪で ....
心が震えたのは
勝ち越しホームランのときでも
世界一を決めた
ダブルプレーの瞬間でもない
ブルペンで
投球練習を始めた
そのときだった
まさか行くとは
思わずに見ていた
....
久しぶりの神戸
妹と二人で往く
生田神社は朝から多くの参拝者
ほっそり引き締まった狛犬を眺め
お詣りしてから坂を上る
異人館通りを右に曲がって
ハンター坂を横切り
賑わう北野 ....
短い秋みつけた
ふだん飲んでいるペットボトルのお茶。
冷蔵庫で冷やしたりレンジで温めたり
冷たくても熱くてもおいしいのだけど、
短くなったにせよ行楽シーズンのこの
季節は常温のままでもお ....
漏れてる
あっ、漏れてる
あっ、あっ、漏れてる漏れてる
漏れてるってば
もーれーてーるーぞー
どうして漏れてるか知らんけど
何が漏れてるか知らんけど
漏れてるという事実は如何とも ....
明日はどこいこう 夢見たいな夢
動かぬ心 走れぬ足がいて
痺れる指が ものを落として
それでも笑う 自分を笑う
未来はどこよ 明日はどこよ
寝床を動けぬ朝 それは今日 ....
秋になりました
昼がどんどん短くなって
夜がどんどん長くなって
つまりは太陽が
月に追いやられているということなのです
つまりは太陽が秋分の日の決戦で
月に敗れたということを意味し ....
このコートのポケットにはまだ
約束をたくさん残しているの
果たすべきありがとうたち
それは深呼吸の幸せ
狗尾草の季節に立って
金の風の漣を聴く
東京の空は世界一のあおさ ....
新しい住居は
川のほとりだ
川と言っても濁ったドブ川の色をしている
生き物の気配はなく
夏は悪臭を放たないか心配だ
近所のスーパーまで2キロある
コンビニと薬局が側にあるだけましか
....
しろいノートに
さびしさを
書きつけてゆく
ちいさな
ほほ笑みの気配
忘れた喜びに
さようならと またねを
贈る
ささやかな
手のひらの温度
青空へ 千切れる
雲
風に ....
心の中の煮立つ赤いマグマ
地獄のように熱い心
燃えたぎる炎は
大爆音とともに 噴火ととも
文字という溶岩を吹き散らす
白い紙には燃えたぎる心が散らされてる
繰り返す季節とともに変わる「空」
目的を失ったころからの定点観測
どんな人生が良かったのかも忘れてしまい
日々あわない人達のことも忘れていき
自分を確認することだけは忘れずに
長 ....
どうして『ネギよりもキャベツなのか
という問題を論じあって居たキュウリたちのうちの哀れな一つは
熱心に考えすぎて周りから意識がそれるほどだったので
気がつくと食卓への梯子は ....
万霊節の夜
名残りの夏の 季節の扉をしめる今宵
ここはいずこも
森の精霊の異形の獣たちに
あふれ
さまよう
Trick or treat
Trick or t ....
友達の死体を探している
死臭に耐えながら蝋燭をかざして
権力が被った正義の仮面に
喉を掻き切られたらしいんだ
血を流した空
明けそうにない明日
無邪気の死体が積み上がり
燃やされて天 ....
青く発光する塊が、
美しい水で鎮められる
影のない真昼、
明るい夢の瓦礫から
神々の失敗のかけらを拾う
穢れた土を、
いくども水で洗い流す
その水がふたたび海へ還る
....
時を刻んでいることも忘れて
落ちてゆく砂の流れを見つめてしまう
上から覗けば蟻地獄だ
むかしむかし縁側の下に蟻地獄を発見
アリンコを落として遊んでいた記憶が甦る
ある時ある瞬 ....
故郷に帰るも
人も町も変わり果て
あの頃の故郷は今はない
あの田んぼ
あの空き地
あの店
あのクラスメイト
あの空気
あの関係性
もはや記憶の片隅にしかない故郷
なんだかよ ....
雨が降るのを予見したら、
僕らは準備を進めなければならない。
僕らは濡れることで、自分を確認するから。
彼等は作戦を立案しなければならない。
彼らは一粒の雨でさえ死に至る。
屋根から一歩 ....
感触の変わらない物ばかり見せられて
満足を刷り込まれている
見てもいない物を滑らかな舌触りで
「それはフェイクだよ」と得意げに
いつからだろう
ポーカーフェイスな言葉で
ベイビ ....
出会ったのは公園の芝生だった
不思議な笑顔で空を指差し
無は確かにあるだろう?と話しかけてきた
晴れたある日には
降り注ぐ陽射しの中で
いつも持っているトランクの
小物類を少し広げて
....
茜音に滲む今日のうた
滲む私の今日
さよならの藍で覆い隠し
灯す明かりの 作る
心許なさにまたは手に迫ることも
なしに船内と悟るばかりの
星のみ売る 宙に浮かぶ水 ....
どの人にも
一途な恋ボコろを抱けないままに
私の心を占めイェ来たのは往時の少女だった生きる糧であり源泉であり
何もかもの全てだったと
今振り返って見ても
私は少女にとってあるべき私で ....
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