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日の光の血痕
かさなった眼が ここにない
熱い空 道すじをかすれて
私たちの歌は時間の
壁の裏におちた
庭にいるのはだれか。 (エステル記六・四)
妹よ、来て、わたしと寝なさい。 (サムエル記下一三・一一)
箪笥を開けると、
──雨が降つてゐた。
眼を落とすと、 ....
#ながすぎる夢
たくさんためて
あらためて
新たなうたを
うたいます
あなたのために
無知な私の闇に
月がてらてら光っていて
青白い私の横顔の
青白い縁は冴えかえり
ひとつの魂
ふるふるとふるえ
人のこころも分からない
故に
人のこころを思うが
ふるふるふるえるばかり ....
倒したかったんじゃない 触れたかっただけ
侵したかったんじゃない 去りたかっただけ
避けたかったんじゃない通したかった
透けたかったのでもない助けたかった
思ったと思っても
ことばになる ....
優しい
闇に
月一輪
聴こえて
魂はふるえる
・
自分
勝手
な
自分
月一輪めぐる
・
月一輪は
地上を
見ている
にこにこほほ笑み
私もにこにこ
あちら向き
こちら向き
淡いピンクのささめきは あなたと私の様
うす曇りな心に 寄せて消えゆく
秋桜のうた
....
僕らの夜をめぐる熟れた遊星
僕らの夜に降りそそぐ甘やかな流星
僕らはいつか来る終わりを
待ち望む気持ちを
ひそかに淡く抱きながら
今ひとときを寄りそう
銀の小さなフレームの中の
....
開いたままのネバーエンディングストーリーを閉じた日
新卒面談のための歩き方から座る仕草、
表情から目の輝きまで
徹底的に叩き込まれて
やってきたというのに
残念ながら俳優には勝てなかった ....
生きるたびに怖いところがふえていくねって
きみがうつむいて
コーヒーカップをなぞりながら、
震える指で、
伏せたまつげを揺らしながら、
他人の「すみません」に肩を震わせる
「音楽をきいてな ....
寂れた町の匂いのする
季節外れの席でビールを飲む
砂粒だらけの赤い足で、
板張りの床を踏んでいた
濡れた髪の女の子が
ハンバーガーとポテトを運んだ
台風が去った跡の景色が、
そのままこの ....
ありがとう
空よ
私の至らない部分が
人のこころを傷つけてしまうのは
私が至らないからです。すると
みんなが至らないよ、と
空は
青ざめてくれる
空よ
ありがとう
いくつかの雲は ....
苦悩というものについては、ぼくは、よく知っているつもりだった。しかし、じつはよく知らなかったことに気がついた。ささいなことが、すべてのはじまりであったり、すべてを終わらせるものであったりするのだ。た ....
〇
玩具のミニカーに乗りたい、と
息子が言うので
助手席に乗せてあげた
エンジンが無いと動かない仕組みを
なるべくわかりやすく伝えた
息子は勉学に励み
大人になって
ミニカーに ....
膣は穴じゃない
日頃、閉じている扉の向こうにあるものは
それは穴じゃない
迷いこんだ樹林の枝を入れるべき穴はない
天空に唾するとき岩の戸は閉ざされ空が落ちる
雷鳴 豪雨の闇の中
あれは穴 ....
ピントを甘くして
眉を和らげて
眺める
風ブレを気にしないで
意味を追い駆けないで
眺める
昨日までのわだかまりを
水鳥が曳いていく
明日からの気がかりが
湖畔の欅を越え ....
生まれる前は死んでいた
その間も歴史というものは存在し、
偶然に生を受けなければ
私のいない世界がずっと続いていた
なのに何故死を恐れるのか
何十年前と同じように
ただ私のいない世界に戻る ....
床で起き雨を見
首をくくらなくてもいいと感じた
またまぶたを閉じ
網戸にわかたれた空
や
半開きの窓についた水滴、
つめたいにおいのフローリング
そういうものを荘厳したくて
お ....
観葉植物に餌をやり忘れて
餌はやらなくていいんだよ、と
言葉で教えてくれた人がいた
階段のよく晴れた踊り場のあたりにも
エタノールの匂いがしていて
その間、何本かの準急列車に
乗り ....
「まだ私を抱いていて」
貴方の部屋に響いた声は
既に誰の声でも無くなっていた
ベッドの傍らのサングラスに映る
エンドロールが滲んで消えた
「貴方の傍にいたかった」
....
十人十色の精神は
宇宙を模倣した様な神秘的な歪さ
振り返ってやっとわかった一期一会
十人十色のベクトルで
初めまして
そして
さようなら
唯一無二のアイデンティティ
永遠と思ったことが
後悔でしかない
春先の霞が澄み渡る風に飛ばされ
蒼然と光が落ちる
青さを一層増す丘陵地帯
あ、あの、あのね
ね、その
それ、 おきて
居ないものを見た
居 ....
海と山に挟まれた街の
湾を照らす黄金色の夕日
風の流れる音が聞こえる
鳶の群れが警告を与えている
世界の底にその街はある
虹の彩りが世界を縁取る
空は人の脆さを ....
試着をし続けている間に
ぼくらはすっかり
年を取ってしまった
兄は定年退職を迎え
父と腹違いの叔父は
ベッドから起き上がれなくなった
会津に帰ると言って聞かないのよ
叔母が愚痴を ....
からっぽの手紙が積まれてゆく
借りてきた言葉ならまだしも
狩られているものは人の心じゃないのか
彼との間さえも誤魔化し
軽んずるためだけの言葉が連なる
綺麗なつもりでいて
嫌いとい ....
これは骨
これは皮膚
血もある肉も内臓もある
食べたことはないけど
食べたら美味しいかもしれない
これはぶよぶよ
これはどろどろ
よくわからない生き物で始まった
すぐに名前がつけら ....
さやかなこまかなことばさきとどかぬのならそまず散るだけ
おとしぶみおとした文の子守唄
せきをしてもひとりよりすこしふかい秋はひとり
焼きいも売りの声すこしたかく
石黒くなりショパン ....
川を越えて
戻ってこなかった
砂利になった言葉ならば
ひとつかみにして 気のすむまで
玩んでいられるのだが
駅の屋根に
ふる雪のかなしさ 静かさ ....
洗濯物は洗濯機が創る。
噂は風が創る。噂話は君が創る。
伝わる。沈黙が伝わる。宇宙は大騒ぎだ。
技術は待っている。手探りを。
呪縛。
人生はproject。Mission。何処に産まれようが ....
火山が好きよ、と言ったら
火山をプレゼントしてくれたあの人
もっと僕を怒らせてくれたら
もっと凄いのあげるって
だから悪口これでもかって
言ってあげた
余りの怒りで真っ赤に燃えるあの人 ....
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