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根底にあるものは確かにあるのに。表現するまでにとてつもなく時間が必要なのに対して。いつまでも付きまとう札。レッテルでもいいし名札でもいい。私にはまだまだかけそうにない、題材が山のようにある。自分にとっ ....
風が
季節を閉じようとしている
冷たい唇を噛んで
もどかしさを押し止めた
何も語らなかったから
世界は濁った
足跡もつかない
綺麗なコンコースの下では
臭い泥水が蠢いている
....
冬を編む音が聴こえてくると
祈りが近い
夕暮れが愛おしい
(行かないで)
熊ノ森のはずれにあった
馴染みの毛糸屋は
廃業してしまったらしい
けれど
絶望するにはまだ早い
めぐりめ ....
昨日の末から断続的に
小さな一年間があり
天気の名前を作って
折り畳んでいく
優しい、誰かのために
二言三言の伝言と
朝用の傘を残しておいた
雨の中身が水になる瞬間の
映し出さ ....
毎日を毎週を毎月を毎年をつつがなく暮らしてきた私たち日本の人
きっと全宇宙の知的生命体のほとんど全て私たちのことを知らない
とても幸せな朝
まだ真っ暗な四時の宇宙を切り裂いて自転車 ....
忘れたものだけ
見ることができた
床に張った
埃 夕日の格子型
蛇口に残る 唇のような水
言うことができた
言い尽くしたことだけを
....
ハイヒールの足許が
男の鼻先を嘲笑う
「欲しければ
尾を振って ついておいで。」
街の角で
ふと女の姿が消えた
「欲しければ
そこで 涙を ....
コン ト ロール ケーキ ケン スギル アイツは、ロッカー
どこからともなく
黒い帽子、
黒いコートの
陰謀論者がやってくる
はじめ電信柱の影にいたが
子供たちが騒ぐと、
わざとコートの前を開いて
●ン出しをして追いかけて来る
不気味な ....
寒さが冬のにおいを連れてやってきていた
葉はそれぞれに、その存在を主張することもなく
いたずらに冬待ちの時間を費やしていた
そしてそれら樹々や草、虫ですらも
冬が来るということを知っていた ....
なんだか気分が晴れない日や
落ち込む日があってもいいのさ
そんな時は
その、息のできない苦しさを味わい尽くして
一層のこと
沈みきってやればいい
グーーっと 沈みきった人だけが
....
Mmmmm.
Whip!
Mmmmm.
Whip!
子よ、
(創世記二七・八)
わが子よ、蜜を食べよ、
(箴言二四・一三)
tuum est.
....
詩をさがしても必シになることはない
糸をたらして蜘蛛のようにおりてくる
視点と蜘蛛の交差点の上に支点がある
蜘蛛を息でゆらしても支点はぶれない
背と腹を交互にむけながらまわる蜘蛛
あたか ....
部屋に椅子がある
隣に体育座りをした母がある
雲が青さを通り越して
手をとり椅子に導く、空は久しぶりね
玄関に並んだ靴
妻は夕食を作り、息子はトミカに夢中
1のつぎの靴 ....
詩を忘れ始めることで
支度を始める
長い冬に備え、委ねる先を探す
靴は有り合わせでいいか
上着は派手過ぎないか
待つ人はいるか
誰か先に行かないか
詩を忘れ始めたら
お腹いっぱ ....
笑っているの?
橋に見えるもののところで
食べているの?
空に見えるもののところで
ぜんぶ君のまぼろしだから
ぜんぶ人のまぼろしだから
強く洗わないで
ふるえる箱から覗く 両眼を ....
どの恋人だったか
アヲハタのサイトがかわいいと
ポインタ空に漂わせ
無心にクリックしたあの頃
やり直せないかな
目が覚めて
自分を嫌いになるまでの
ほんのわずかな時間帯を
まき戻せ ....
あまりにも
自分の呼吸が穏やかなものでしたから
なんだか
生きてるのか死んでるのかさえもわからなくなりまして
そうだ! と
パチンと手のひらを鳴らしながら
頭の裏側で埃被った宝箱をひっ ....
桁をひとつ増やして
みんなの注目を浴びて
正義のような気がしちゃって
愛されているような気がしちゃって
真理のような気がしちゃって
もう一桁増やして
みんなのことが疑わしくなって
正 ....
追い詰められた枝先で
黙り込んだまま
幾つかの季節を
背中を丸めて受け流した
独り言を蹴飛ばして歩いた冬と
味のない言葉を噛み続けた春と
溶けた爪先で帰ろうとした夏を越えて
束の ....
吐く息の白さで
秒針が溶けてしまいそうな朝
そうなったら
きっと今よりもゆっくりと
呼吸が出来るはず
窓の外を眺めながら
あなたのことを考えたり
意識だけなら
高く飛べるから
....
今日も やつれた神経が
のびのび している
僕のやつれ やせた感情が
のびのび鳴いている
あぁ、昔好きだったあの子は
いつも校舎の屋上から 空を見てたっけな
しずんで ....
あまりにも純粋で
故に{ルビ果敢=はか}なく捉えがたく
けれど
強く深く
轟きでもあり
静寂でもあり
満ちあふれ
けれど虚ろで
鋭く
けれどやわらかく
かぎりなく甘 ....
ちょっと悲しくなった
ちょっとだけだと思った
作りかけの粘土が乾かなくて
まだ柔らかいから
まだ自由
今なら行っておいでと
いくらでも言えるのに
何処へでも行っておいでと
どうして言っ ....
投函された手紙のような
つつましい
アメージンググレイスは
手紙それ自身が読まれるまで封をされ
言葉ありき、a、α
胎の中でなくしたまま産まれ
ここが家だと、わかる
教えてくれたもの、人 ....
イノチガ フト
オモタクテ
窓ヲ アケルト
ヒトツ フタツ ミッツ
カゾエテミタラ
ココロガ カルクナッタ
アカイノ
ホントニ アカイノ
イマニ コガラシガ ....
約束の時間にすこし遅れて
寂しさの続きのような場面が始まる
駅舎の街灯に羽虫が 丸く 集る
高架下 ラーメン屋に入る
やがて感情は数枚の貨幣に似てくる
....
({ルビ天=てん}{ルビ使=し}の、{ルビ骨=ほね}の、{ルビ化=か}{ルビ石=せき}、じつと、{ルビ坑道=かうだう}の、{ルビ天盤=てんばん}を、{ルビ見下=みお}ろして、ゐた、……)
({ル ....
お前と私の くされ縁
ペンとノートで膝つき合わせて
何の進歩がなくたって
へっちゃら
お前の いじの悪さを思う
私の頑固さを お前は笑い
諦めてしまえば
お空 ....
船場汁っちゅうのは
塩鯖のアラを使い、
その塩気と、
だしだけで食べるもんや
汁の具は鰭と目玉、
鯖の骨やらのアラのほかに
大根の薄切りをつかう
そんだけでもう十分やろ
板張り ....
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