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初詣が済んだのでおみくじを引く
小さな地域の小さな氏神さまが静かに祀られている小さな神社は
この日ばかりは少しの間だけ人混みで溢れている
ぼくはおみくじを引く順番の列に並ぶ
ぼくの並ぶ列はどう ....
──韻律と、それを破壊するもの/詩歌の技法と、私詩史を通して
ころげよといへば裸の子どもらは波うちぎはをころがるころがる
相馬御風の歌である。それにしても、「この音は何だ」( ....
雲はモクモクとして軽く柔らかく見える
時として重く見える
だが、固そうだと思った事はない
何故だろう
虹は綺麗だ
スッと天に立つ姿は自然が造りしアート
ゆっくり消えてしまうのに
柔ら ....
虹の国
ヒバリは高く飛び
庭で虹を作って
笑いあったひかりの季節は過ぎた
あの虹は
偽物だったのかもしれないし
本物だったのかもしれない
空に虹が架かるたび
そこへ行ける気がして ....
まだ生きていたいような
もう果ててしまいたいような
狭間をゆらゆら
ベタの尻尾のように揺れて
布団にダイブ
ぬいぐるみは可愛いが
しゃべりかけてくれないし
ぬいぐるみの台詞を自分 ....
きみの王國と、ぼくの王國を秤に載せてみようよ。
新しい王國のために、頭の上に亀をのっけて
哲学者たちが車座になって議論している。
百の議論よりも、百の戦の方が正しいと
将軍たちは、哲学者たちに ....
大晦日の夜から元旦にかけて
年神さまが誰も知らない山から降りてきて
健やかな子どもの足裏に
ひと粒の種を植えてゆく
今年はせいちゃんの番かもしれんねえ
そう言って祖母は細い目をいっそう細くし ....
子供の頃の習い事は
どれも壁が出現した時
手折ってしまった
しまった
諦めが早すぎた
選択肢が多かった時期に
自ら摘んだ芽の根っこは
まだ生きていて
芽吹けない土壌を
地底か ....
きみは下膨れのたをやめではない
かと云つてきりつと潮に焼けた
漁村の娘の顔もしてゐない
何かと何かの
ミックスなのだ;
僕の顔も他人事ではなく
遠い大分と秋田
その混淆に
造り出された ....
妻との決着は穏やかに着いた
様々な想い出が走馬灯のように通り過ぎてゆく
長いと言えば長く
短いと言えば短かった
二人は別々の路を選び
晩秋を待って別れることになった
互いに別々の白い路 ....
龍だった体はゴワゴワと
一年分の出来事に塗れて
空を飛ぶには重くなった
カレンダーを新しくして
つるんと剥けてスルスルと
元気に走れよ 僕
大きな蛙は呑み込んで
栄養にしてしまえ
蛇行 ....
○「光と影」
年老いたときに わかる
青春の輝きが
入院したときに わかる
健康の有り難さが
就職したときに わかる
稼ぐ苦労が
子どもをもったときに わかる
親の愛情 ....
新年のはじめての夕焼け
久々に会う家族とこたつで雑煮などを食べ
あるいはふだん遠方に住む同窓と旧交をあたためていた
あの日
それは突然に来て
なにがなんだかわからないうちに
時間がひび ....
地図も時計も捨てた時
人間が現れた
日が暮れる
人がどうなろうが
宇宙には関係ない
葉っぱは叫んだ 葉っぱの言葉で
一杯のグレープフルーツ・ジュースで蘇る
甘みも包含するそのほろ苦さ
アメリカ資本の傀儡なのだ僕は
それは「お化けだざう」と
シーツを被つて子供を嚇す
そんな男の
だうしても
と云ふ氣分
....
枯れ葉が、自分のいた場所を見上げていた。
木馬は、ぼくか、ぼくは、頭でないところで考えた。
切なくって、さびしくって、
わたしたちは、傷つくことでしか
深くなれないのかもしれない。
あれは、 ....
父はギャンブルと女に金を使い果たし
家に給料を入れることは殆どなかった
幾度となく踏切りの前で躊躇したことか
カンカン カンカン ゴォーッ ゴォー
母は嗚咽を押さえてぼくの手を ....
外を見る
檻を見る
歩いている
虎が歩いている
あくびをした虎だ
私、とは
檻の中にいるのだっけ
幽玄に消えた霞を
食らって生きている
退屈そうな受付係は頬杖をついて紙を寄越した
....
大根を千切りにする
人参を少々千切りにする
合わせて塩にしておく
サバ節と昆布で出汁をとっておく
塩と砂糖と酢と出汁を
あわせてかき混ぜる
砂糖が溶けたら大根と人参にかけて
混ぜ合わ ....
UMAがゆらりゆうらりと
こちらへ向かっている
新月がその姿を曖昧にする
心の中に抱いている
あんなことやこんなことを結びつけ
その姿を見ようと頭の中を巡らせた
心に浮かびあがる月とU ....
真っ赤な毒で満たされた盃を
一息に飲み干した
人生の不遇も悲しみも
すべて人のせいにして
生きてきた贖いとして
置き去りにしてきた不義理の数々
あなたは思い出すだろう
人の優 ....
日平均残業三時間の男で惣菜売り場がごった
返する午後9時。たまには、という連中が鮮
魚コーナーでうろうろする。帰りの電車でグ
ルメ漫画を読んでたりなんかすると。
白い袋の中には、 ....
豊かさにすがる人々が挙って生贄を捧げる
まぶしい海の街に聳え立つ女神の像が淫らに、
そして聖母のように微笑んでいる
見よ、彼女が踏み荒らした諸国の苦しみを
アフリカの中央部、西部、そして ....
○「イキテイルことへの感謝を込めて」
イキテイル イキテイル
今日もイキテイル
「オギャア!」とこの世へ送り出されてから
ずうっとイキテイル
病死 事故死 事件死 災害死もなくイキテイル
....
死神、画商
藝術家の死はカネになる
死に際に何點か繪を買つて置く
やがて没年の後何年かすると
画家の許容され得る時代が來るかも知れず
愛情を以て愛を語るより
Money honeyを以て語 ....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
こんなことがあった
神奈川県鎌倉市手広のあたりを
自転車で走っていたら
宅地の一角に建つ物置のような家から
おばあちゃんが丼鉢にラップをかけて突然出てきた
なんですかそれ?
厚揚げと大根の ....
夢は別の世界で
自由なのに束縛されて
真夜中の街に出た
街はもうひとつの世界で
お金がなくても
歩いているだけ でも
楽しかったはずなのに
休まる場所が見つからない
暗い歩道に ....
冒頭に流れる陽気なラジオ
今年一年を振り返ってる
あてもなく車を走らせながら
あなたとの結末を思い出してる
ねえ、気付いたかい?
クレジットの旋律が物語全体と同じなんだ
側 ....
ぼく、うしどし。
おれは、いのししで
おれの方が〝し〟が多いよ。
あらら、ほんとね。
ほかの〝えと〟では、どうかしら?
たしか、国語辞典の後ろにのってたよね。
調べてみましょ。
うう ....
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