羽虫の夕暮れ
あみ

ぽつぽつと飛び交う
耳障りな羽音
乾き損ねたコールタールに
再び水を打つ

門をくぐれば
生臭い土の香り
産まれ朽ち
吸い上げられる

老いた桜の木は切られ
残った切り株から
若葉の孫娘達が
我先に枝を広げる

庭には
君が朽ちている
羽虫は
君を循環させる音になる
騒ぎ出す
雨になる
君が降り注ぐ


自由詩 羽虫の夕暮れ Copyright あみ 2004-07-20 23:31:31
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