ヒカリ
ゼロ

光りをみたんだ
彼はきっと
憎悪と懺悔と悔恨
光りがそれを包んで
ただ真っ白な情熱の世界だけが
彼の眼を眩ませて
時には深い溝に落ちて
時には人に優しくなって
時には野良猫にえさをあげて
時には自分を傷つけて
誰かに気付いて欲しかった
これから起こる未来を
些末な欲望の吹き溜りを
自分の手の届かないところで
不快な音が鳴っていることを
修正が利かなくなったハンドルで
彼はみんなから少しずれて
関係を繋ぐ笑顔だけを保ちながら
ずっと遠くに進んでやがて落ちた
誰も気付かないところに落ちた
最後に光りを放って落ちた
僕はその光りを見届けた



自由詩 ヒカリ Copyright ゼロ 2004-07-19 10:53:19
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