まぼろし
こむ

本当を言うと 
おまえは 少し こわかった
祈るように欲得なく 
好きというだけで 
なにもかもほうりだして
入り込んでゆく おまえに
私が 壊されそうで 
少し こわかった

それでも 
おまえがいなくなってみると
ちぎられた肉 欠けた骨
切り取られた手足のように
まぼろしのおまえが 痛くてしかたがない

私が好きで 見ているのだ聞いているのだ
読んでいるのだ書いているのだ欲しいのだ と
次から次へ 手に入れた全てに
いつの間にか 
あちこちおまえが入り込んでいて
きれいだおもしろいほしいうつくしい と
こころうごくたびに
まぼろしのおまえが 痛くてしかたないのだ


自由詩 まぼろし Copyright こむ 2004-07-21 23:27:40
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