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深夜の冷たい台所で
古くなった冷蔵庫が自分で自分を解体していた
もう冷蔵庫であることに
いたたまれなくなったのだ
時々痛そうにはずしたりしながら
それでも手際よく仕事を進めていっ ....
どこかの外れのような野原に
ひっそりとメリーゴーランドはあった
白い馬にまたがると
むかし死んだ友だちが背中を押してくれる
メリーゴーランドがきれいな音楽とともに
ゆっくりと回り ....
電話回線の中をひとり歩く
途中、水溜りのような海がある
工事のためしばらく混線する恐れがあります、と
電話会社から通知書が届いたばかりだった
仕方なく簡単な水遊びをする
ふやけた体 ....
午前、すべての音を忘れ
掌からこぼれていく
ものがある
極東と呼ばれる
工業地帯のある街で
あなたは忘れられない
いくつかの日付をもち
数えながら折る指に
僕は気づいてはい ....
エアー、夏のように
薄い服を着たあなたが
少し口を開けて
世界とつながっている
あなたの唇も手も皺に慣れましたね
前より縮んで
それでもまだ懐かしい
エアー、吸えるものは
たくさん ....
飛べないから
ビブラートがかかった
針金の先
ステンレスの廊下
突き当りを見失った
憤死している僕の恋人
片付けられることのない夕食
まだ支度されてないリビングで
共同の指先が
光源 ....
メスシリンダーはすべて
叩き割って構いません
まちは季節によってその色を変えるのに
案内図の中には
風一つ吹かないのですから
傘は売れましたか
そのことが一番気がかりです
という嘘はいつ ....