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『お客様は神様です』が口癖の歌手を
ずっとぼくは揶揄もし馬鹿にもしていた
しかし彼がシベリア抑留者だと知ったとき
餓死・凍死・狂死・刑死・自死で亡くなった同胞と
同じにならず瀕死の想いで
....
二十五年前のある日
おとうとの幼稚園の授業参観に行った母が
苦笑いしながら帰ってきたことがあった
なんでも恥をかかされたらしい
その日のテーマは
「お友達に手紙を書く」というものだったのだけ ....
白熊 パンダの夢見てる
ぎこちない科白
きれぎれの言葉
不恰好にしかこなせなかった
それを悔やんではいないけど
空は高く陽は眩しく
気温はうなぎのぼり
夏
言葉を交わしながら苦しくなる
必 ....
大海原の真ん中で
立ち泳ぎ
途方に暮れて日も暮れて
せめて目指すべき陸地が見えたなら
それが遥かに遠くても
そこに向って進もうと
いのちの限り泳ぐだろう
だが今 四方八方
....
何の気なしに言われた 褒め言葉
自分を呼ぶ 名前
それが嬉しくて
微笑む代わりに 聞こえない風が吹く
その 空気管は ちょっとだけ くすぐったい
感動する瞬間ばかりを集めたなら 兵器 ....
インベーダーゲームみたい。bang、それからshoot、戦うことしかでき
ないので自滅の最終章。これはきっと運命なのって、ブロックひとつ
壊して、はねかえるビームにやられた。コンティニュー ....
道を極めると書いて
極道とはね
笑わしよんな
わたしがこの世に生まれた
次の瞬間
ご注文はお決まりですかと聞かれた
わたしはニシン蕎麦を注文した
ニシンも蕎麦も
食べるのははじめてだったのに
へいお待ち、と言われて
ニシ ....
台風何号かの接近を数えているうちに
夕暮れの窓から入り込んでくる
それはいつの間にかやってきた
秋の気配をはらむ風
誰かが、もう夏も終わりねと呟く前に
静かに後退してゆく日々を
僕は前 ....
重ね合わせた掌に のせる想いは煙り
ろうそくと線香の火に 日常が遮断される
目を閉じ 心の奥に目を落とすと
闇の中にかすかに
小さな子が 手を合わせている
幾人いるかは 暗くてみえない
....
セラファン と言う言葉を眺めると
セラミック・ファンヒーターなんて言葉が 浮かんでくる
そんなもの 本当に 有るのか無いのかも 分からないけれど
ずっと 悩んでる
悩み過ぎても 脳みそ ....
夏、それは
裏とおもてのある季節
裏道はどこへも
繋がってはいない
向日葵、それは
追いかけていた肩甲骨の高さで咲いて
自転車で踏んでしまった蝉の音で枯れた
波、それは
壊れた ....
愛するほどに遠くなる
貴方は私をやさしく傷付けて
飛ぶ鳥は振り向かないからと言って
背中だけ向けて私の知らない世界へ歩き出す
あの花束は
もう枯れたでしょ ....
きっかけは女の子がいれた一杯のコーヒーだった
「エスプレッソが苦いって誰が決めたの?」
その余韻は記憶となり小生意気な声で
私を侵食して何かを変えた
その時感じたフルーツのような新鮮な酸味 ....
筋肉痛に薬をぬりこむと
段々 痛みが薄くなる
不思議だ
そういうものだから買ったのに
神経が感じなくなる痛みに
漠然とした不安がひろがる
しかし 不安より生活だ
とにかく痛まなければ ....
ねえ 何か 見える
断定系に見えるのは
クエスチョンマークが
足りない性
そんな所為にして
何でもないと笑うことにも
慣れた頃
塔が 引っくり返った
そして
悪魔が 笑った
....
いつもの朝食 いつものテレビ
そして、いつもの一日
いつもの幸せ
指から少し離れた宙から
水が こぼれおちてゆく
紙を三つに切り
ひとつ あまる
ところどころ 穴のあいた肉から
音が抜け落ちてゆく
鬼の子が二人
....
山のあなたに辿り着き
人生全部吸い込んで
空に向かって叫んでみたら
先っぽ なぜか膨らんだ
どういう訳か膨らんだ
いつまで経っても捌け口は
見えぬ病のその先に
空に向かって叫んだら
....
いつまでたっても電信柱のようにたっています
恋は百万遍すどうりしてほかの誰かをむすんでます
それでもけっこう嬉しかったりするのですが
もうちょっといい脇役にもなりたかったりして
ギ ....
山ぶどうに覆われた丘陵地沿いに車を止め
アキアカネの静止
止みきらない雨
昼から夕へ傾むいてゆく
キリギリスたちの単調なコーラスに
ヒヨドリの絞り出すような歌声が響いていた
この辺りの ....
蟻だ
物凄い数の蟻だ
僕は
涎を垂らしながら
テレビのニュース映像に
釘付けになっている
パレードだ
角砂糖の数珠繋ぎだ
僕は
指をくわえながら
熱狂と陶酔の蟻の行 ....
大吉さん 二年続けて やって来た
北向けば 洗濯途中の 枕有り
相談を ヘラで返して 見上げた空の 夕暮れは
藍色の帯 海は亡きかな
ピリ辛の ゆず胡椒を ふりかけて 炒めました
....
読んだふりして投げ出した恨みも捨てにブックオフ
いまさら人生の意味なんてと言いながら尾崎豊を聴いている
じゃんけんに勝ったら寝るよと言った娘のおそだしのズルを言えなかった夜
恋人にな ....
{引用=
海のむこうは
まだ 昨日という夜のやすらぎのなか
夏の 陽をすった赤い顔の子が眠る
男の顔をしはじめた お前の
ベッドのはしに座れば 薄暗がりのそこは、
青い ....
まるでぱっとしない南のそらの彫刻室座
でもそれは深宇宙への小窓でもあるらしい
かつてない鮮明さの神の領域が
彫刻家の仄暗い室内に展開されてゆく
ひかりと闇の融合が
可視光の色調の変化 ....
あたしに咲く
ムラサキノハナ
いいかげんなやさしさと
今だけのしあわせと
信じることはいいことです
だけど
不安だらけの穴ポコだらけの
ほんとのあたしのこころ ....
熱射を吐き出してしまった夏は
老いて死んでいく
鎮魂歌を捧げられながら
あれは一時のめまい
傾斜する意識が
さらに勢いを増して
海の底に沈もうとしている
戦場に散った無名戦士 ....
ハローワークに行ったふりをした帰りに
そうえいばキムからの着信があったなと
スリーエフの交差点で電話したら
おばさんが出て
ミキくん、ブログの作り方を教えてというので
一体あのババアが何をイ ....
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