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傷つく準備
傷つかない準備
私は傷つく準備のほうをとる
一人では生きてゆけないから
なんども分かったことだから
傷つく準備のほうをとるのだ
傷つく準備
傷つか ....
台風の目の中で
りんごの皮をむく
なすがままに
つらつらと
*
わたしの水筒は
風邪をこじらせて
夏がくる前に
しんでしまった
(ヒマワリのたねを四粒入れて
からからと振ってやる)
からん
からん
からん
からん
(あっけないほどのあ ....
君に会ってから空が青い
酷い話だ
身内が横たわっていても
涙一つ出やしない
酷い話だ
悲しくならなければいけない
と自分で言い聞かせても
涙一つ出やしない
酷い話だ
死に顔をじっくり見ても
とて ....
黄昏の街を駆けて行く影法師
眩暈にも似た既視感に
いつまでも立ち竦んでいた
きっと夜はまだ遠い
*
退屈な雨の午後
迷宮のような街を眺めていた
陰鬱な気持ちを弄ぶように
霧雨が ....
とある日曜の昼下がり
窓から白手袋の羽根を伸ばした選挙カーが
殺菌消毒された笑みをひるがえしながら通りを優雅に舞っていた
背後に見えるファーストフード店では
ドライブスルーのマイク越しに女が香 ....
無償の愛でひとつずつ
指を切り落とされていく
私も逃げないから逃げないでと彼女が言う
これが一度きりの人生なんて
信じられない
寝息を立てる
わが子に思う
一生、そのまま
かわいい赤ちゃんのまま
わたしのそばを離れず
わたしを一番ひつようとし
憎まれ口もたたかず
ただ、ひたすらに
一生懸命たべ
一生懸命あそび ....
平和な殺戮は淡々と行われる
青臭い血の匂い 寡黙な絶叫
ゆるやかな風は心地良く運ぶ
住居を追われ逃げ惑う虫たち
ピンポイントで狙いを定める
鳥たちは戦闘ヘリ
うららかな陽射しの ....
「はい」その一
はい!はい!はい!はい!はい!
はいは一回!
{引用=はい}
「はい」その二
はい、はい、
はいは一回!
{引 ....
父は修行中らしい
はじめての経験だから
父も大変なのだ
だから みんなで助けて
供養して下さいと
和尚様が言う
およばずながら
いちの子分 長女 私
そのに 長男 次男
そのつれ ....
ふーふ てなことばは好きではないから
とりあえずの選択肢でお互いよきパートナーでいよう
なんて真面目な顔して言ったら笑われてしまった
どっちだっていいよ 本質は変わらない
というような ....
不規則に配置された
文字間から
いつも僕は
君の世界に忍び込んでいた
大雑把な地図しか
持っていないから
いつも僕は
君の世界の迷い人のひとりだった
草原の向こうから
手 ....
私は根腐れした薔薇を愛する。
雨にずぶ濡れてなお獲物を探す野良猫を愛する。
休日の窓辺に腰掛けて憂鬱の週明けに悩む友を愛する。
自然と人間を愛する。
私は時代にその名を刻み込んできた先 ....
日比谷線はいう、秋葉原、小伝馬町、人形町、人形とは「ひとがた」、エレキテルな水平移動の装置から視神経に憑りつく駅名は、脳のどこかの襞裏で痺れ、角砂糖のように崩れ、蟻の行進に流れてゆく、投げ返してくる、 ....
{引用=
谷の戸に
雨景の万華鏡をのぞけば 幾何学の
狂い咲く色のはざまに
あのときのアマガエルが いました
肩をはじく雨の
その中を走るのが、好きだと
狂人のように喜びな ....
一筋の糸のように
あとからあとから
繋がっている
連れてくるのだ
思いだせない何かたちを
そんな蜘蛛 ....
路地裏を通り抜ける豆腐屋のラッパは
夕暮れによくにあう
かくれんぼの時間が削り取られて
ひとり帰り ふたり帰り
隠れたまま鬼から取り残さて
気がつけば夕闇につかまっていた
どこ ....
そうだ アフリカへ行こう!!
そう言って父が
長年勤めていた会社を依願退職したのは
定年への秒読みが開始された
梅雨の明けきれない
じめじめした蒸し暑い日だった
それ以来
キッチンに ....
圧縮された白い時間が
空に取り付けられた
タイマー仕掛けで吹き出した
入道雲
あなたが使うシェービングクリームみたいだ
毎日せっせと伸びるヒゲ
剃っても剃っても
誤作動せずに
めげ ....
コーヒーを飲んでいると
窓に伝書鳩が降りてきた
うん? 私に宛てて?
指にパン屑を乗せて差し出すと
小さな嘴でせわしく啄ばんでくる
ふふ 可愛いやつ
光沢のある胸を撫でてやると
クク ....
栃木県に告ぐ
抵抗するのは
止めなさい
おまえは
新潟県
長野県
福島県
群馬県に
完全に包囲されている
いつまでも
関東にしがみついていたって
無駄だ
今すぐ
出ていきなさ ....
ウハって
穴をのぞいて
エって
みあげたら空
「夕凪」
遠い昔
粉々になった水平線が
白い海鳥に姿をかえました
白い海鳥の
さいごの羽ばたきで
のばされた夕凪で
ひきよせられる
白い骨
「内緒」
わたし ....
竜骨座の主星カノープス 大小のマゼラン星雲 月に遊ぶ人魚 南天の星々は僕を魅惑する
散文的な日常 それも嫌いではないのだが 僕はほんらい空の生き物らしい
ただ地上では羽をもがれたバッタのよ ....
夏の香りをコバルトに立ち 足跡はどこへ辿る
慕う人の鮮明な記憶なしに 足跡はどこへ辿る
これからは通り過ぎる 切なさえ 斬る 泣きながら前へ突き落とす 護衛
これからが貫き過ぎ 安堵 ....
ひたひたと
ありったけの水を吸い上げ
あおく
あかく
丸く
咲く
装飾花は結実しない
ただ
水をひたらせる
小雨
大雨
さみだれ
にわか雨
夕立ち
根拠のない憂鬱 ....
僕の小さな幸福論
TSUTAYAでアランの幸福論を探した もちろんヒルティの幸福論でも良いのだ
幸福な気分になりたかったんだ しばらく味わっていないような気がするんだ
幸福は乾いた日 ....
谷中ぎんざの通りには
石段に腰を下ろした
紫の髪のお婆さんが
せんべいを割り
群がる鳩に蒔いていた。
向かいの屋台は
木の玩具屋で、おじさんは
「ほれっ」とベーゴマを ....
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