すべてのおすすめ
地中深くに根差した
大きな球根のような欲望と
その真上の中空に漂う
ふわふわふわふわした
空中クラゲのような希望
地上に生えた剥き出しの古木の幹に
粘菌のようにへばり付いた渇望が
すべて ....
写真とは
干乾びた
製造工場の正門の
錆びたポストに居つく手紙の重さで
天を劈く煙突の
かたちを得たけむりが笑っているようなもの
めくれば
白い鍵穴もかすむ季節に
「どこにもいけない」 ....
い 色恋は風の道
ろ ロケットは落とすもの
は 恥知らず有頂天
に 妊婦忍耐 産んでも忍耐
ほ 星の数よりヘボ詩人
へ へカテ元アフロディテ
と トイレはシステムの始まり
ち 痴漢の ....
近頃どうよって悪友に尋ねられ
思わず恥骨の膨らみなんか押さえてしまう
去年は処女同然だったしね
あれって使わないと塞がっちゃうのかな
そんなことないのだろうけど
こころの窓ってやつは ....
忘れられないものを抱きしめると
思いのほかウェットで
涙まみれに崩れて僕の服を濡らした
夕日の差し込む児童公園と
ブランコの作る影が
混じりあって溶けて
瞳からあふれ出す
ジョバンニ ....
早朝の河原で
かすかに首を動かし
じっと横たえる獣がおりました
わたしはそっと抱き上げ
セーターにくるみましたが
手袋を噛んで
小さく鳴きました
カラスにやられたのか
鼻先に赤いも ....
くたびれ、ふと気付く。
眼下に電車。
此所は歩道橋。
西を眺める。
あぁ、太陽が沈んで行く。
オレンジ、黄色。
微かな緑の入った青のグラデーション。
目線を上げる。
も ....
天国にいってしまったら
天国から手紙は来ないから
せめてできることだけを
おぼえないとなあ
せいかつは強弱のヴォリュームでいきること
ときには手をぬく
つんのめるほど減り込まないよ ....
水のない水槽の中で
ただじっと空を見ていた
泳ぎ方を忘れた魚たちには
青の区別がつかない
水のない水槽の中は
水がない分だけ騒がしい
自分の鱗のはげ落ちる音にすら
耳を塞ぎたくなるほ ....
言葉を持って
大人になって
みんな忘れてしまっているが
赤ん坊には小さな合図がある
小さな両手を差し出して
結んで 開いて
ママ! おっぱい!
切なそうな声で
「ふ〜ん」と ....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に
湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと
関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
下り坂を歩いているとどうやら
駆け出す事を自制している事に気付く
しばらく考えたがその抵抗に意味はなく
停滞よりも前進を望む解放の欲求が最後には勝る
久々の加速度
肉体もさながら運動 ....
1.
まだ小さな姉妹たちが
夜明けの色をした色鉛筆で
たくさんの羊の絵を描きながら
うとうとしていたら
一匹目の雄羊が
夏の部屋の小さな黒い空を
食べ始めました
たいへんお腹が減っ ....
詩が生まれた
あなたはどこから来たのでしょう
あなたに辿り着くまでに、
どれだけの根を共にしてきたのでしょう
たくさんの親指に包まれながら
あなたは産声を揚げたのです
この世に生まれた ....
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