季節の証
相田 九龍

零れそうな雫に
思わず伸ばした手を引けず
しとり、と潤った手の平が
少しくすぐったい

いずれ
ひたひたと満ちる朝に
夢の始まりと終わりが
分からなくなる
君の夢の終わりが
僕の夢の続きに繋がる

大丈夫だよと言う
僕の心は震えている
僕がいなくなった朝に
君はいた
いなくならないでいて

君に似合う髪飾りを探そう
季節の証をささやかに残そう
潮時を待った船出に
きっと心残りもあるけど


自由詩 季節の証 Copyright 相田 九龍 2017-04-30 18:21:39
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