それは僕の幼い頃の話
言っておくけど実話だ
とある雪の降りしきる一日
冴えない平屋に住んでいた頃の出来事
こたつにくるまって遊んでいたら
僕は母に叱られた
理由は分からない
....
林檎をむいて
皮をむいて
木陰をむいて
こっちをむいて
河をむいて
小波をむいて
さぁ むいて
君は流れてゆくね
むきながら
こぎながら
なきながら
ここで いいのだよ
おもい ....
くだらない詩(うた)を唄えば思い出す
あの日の私 君から遠く
よく泣く友達がいた
映画を観ては泣き、本を読んでは泣き、泣いた話をしては泣いた
夕陽を見ては泣き、空を仰いでは泣き、泣いて泣いてまた泣いた
なぜそんなにも泣くのかと訊いたら、こう答えた
....
恋をしていた
たぶん
していたんだと思う
バラ色の生活を
夢見ていた
幼い想像で
こんな
冷蔵庫の奥で干からびた漬物を
片付ける為ではなく
マドレーヌなんか焼く為に
台所に ....
夜よ明けないで
いつまでも隠していて
この汚れた体を二つの影がいつまでも重なっていられるように
半月よ静かに照らしていて
二人の存在がうっすらと見えるくらいに
邪魔なものまでもが浮かび上 ....
硝子を強く
打ち合わせたら
どちらも割れて
無くなりました
光る欠片は
綺麗に見えて
僕の素肌を切りつけます
硝子は
君と僕でしょうか
光る欠片は ....
ふた
そう、
プラスチックの あじがするから、
って
ヘンリーボーンのスカート
さくらがいのゆびさき そろえて
ふた
とって
本日のコーヒー を のむ
ふた を
する
....
パスタ屋で
蟹スパに憧れていると
ななめ後ろ カップルの男が
こちらを見ている
さっきからわかっていましたよ
こちらを見ているのは
やだ
恋人がいるのに
目の前の彼女を見なきゃ ....
街でついつい男の人を
宝石に
変換する
裾に 白衣ののぞくメガネは
傷のついたオパール石
チャイナ帽 歩きタバコの初老は
家のないラピスラズリ
梯子に登りたそうな ボーダー2 ....
月に散った桜に
銀の雨が降る
うまく眠れず
見あげてみれば
落としてきた
私がそこに
思いをこらえて唄うその儚き詩は
わたしを締め付けます
優しさをくれたあなたの前では
何も語らず佇むでしょう
ただ、泣きます
鼻水をすすりながら
泣き顔はもちろん普段より増しブサイク ....
音の波
音の波
かきわけて
想いの波
想いの波
ひろがる
深いところから
わきあがり
目の前にひろがる
流れるようなリズムに合わせ
言葉にならない想いが
ふくらみ
....
時計 − 針 = 休日
車 × 湾岸線 = 風
マグカップ + 海水 = 地球
夕方から恋人と会うが
今は一人昼過ぎ
なにやらイマイチ
気持ちがボーッとしている
恋人に物を買ってあげる日でもないから?
外は三寒四温中だから?
好きな音楽のCDが転がり過ぎているから ....
悲しみの色を塗り合わせ
暗く淡いシミを作る
溺れる二人を救えるものは
微かに震えるガラスの夜だけ
愛しさの色を塗り合わせ
深く甘いシミを作る
切なく互いを求める夜に
{ルビ理由=わけ ....
少しでもあなたの力になれるなら
空っぽになってもいい。
単純で流されやすい私だけど、
あなた色に染まる、
誰よりも
まっしろな自信
は、あるんだから。
いらっしゃいませ
ここではルールにしたがっていただきます。
いたって簡単。
オレが気になる行為。
気になるしぐさ。
かわいい動作。
そして
オレの話を聞いてく ....
夕日を見た私は
きれいね
と、つぶやく
すこし眉をよせ
物憂げな表情をする
目からぽろりと
塩化ナトリウム水溶液を零す
そうプログラムされた
アンドロイドだから
....
空寒み ぽっぽとこぼれる 白い息 春への汽車が 出発進行
木の芽ぶく 枝の指さす 春の雲 ほんのり花に 染められピンク
君はいつだって春風のよう
ふわっと頬を撫でて
振り向けば消えてしまう
この両手に掴まえようと
もがいてみるけど
ほら
もう違うところを渡ってゆく
春風に涙は似合わない
いつも笑 ....
墓地へ駆けてゆく
姉を二階の窓から見た
学校の制服を隠したのを
姉の埃臭い制服
血の付いた便器にしゃがんだ
汗のにじむ掌で鈍く赤い
姉の隠し持つ勾玉
汗のにじむ掌で鈍く赤い
血の付いた ....
兄は無口になる
暗さが増してくるこの頃
筋肉を持て余し
内部の膨張を持て余し
彼岸花の咲く川縁は
自転車を押して入る
鷺が落ちるように飛ぶ濡れた地帯
自転車を押して入る
彼岸花の咲く川 ....
こんなにちっぽけなものでも
ここにある と 静かに語る
ただ黙って積もり
その日の風に 明日の模様を描く
その日の波に 昨日の夢を揺らす
永い永い時間を抱いて
ここにある と 静か ....
目をつむって
楽になりたい
でもあの娘の涙を
すくいたい
だから
カラカラに乾いたこの目を
閉じたくない
人は気付かないうちに破片を作ってる
大きな破片もあれば小さな破片もある
でも、どれだけ大きな破片を作っても人はそれを気にしない
だって自分が砕いた夢なのだから
たとえ気にしても ....
賭けた
恋のゆくえ
書けた
ため息インクの
メッセージ
欠けた
鉢に水をやり
掛けた
シャツに袖をとおす
翔けた
はだしのまま
駈けた
鼓動が歌う
駆けた ....
まえむき に いきると
こっち を みて いうな
まえ を むけ
もう こっち を むくな
もう
そこには
とっくに わたしは いない の に
どうにか起きた
朝5時前
闇には 冬がまだ居座る
動きたくない
温もっていたい
そんな心を 叱りとばして
私の今日が始まる
辛いなあ
眠いなあ
だ ....
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