通り過ぎてゆく急行列車だけが
一瞬
地下室に心地よい涼風をつれてくる
急行通過。
不快指数はこの夏最高
顔面からだれかに霧吹きを吹きつけられているような
蒸 ....
戻れないものとわかってはいても、
何故か振り返ってみたくなる。
わたしの歩いてきた線路の脇に
また他の誰かの足跡か
わたしの軌跡の足跡か
勝手に育った草花なんかが 咲いててくれた ....
ひとしれず
くさかげのはいいろに
ある男女のすがたあり
わたくしと
しねる?
ああ
それがさいごの会話だった
涼やかな目
はいいろが 濃くなる
しなやかでとげとげしい ....
あなたにどうして欲しいのか
私はどうしても言えません
こんなふうにして と
言ってしまえたら気持ちがいいのに
そうゆうのは嫌 と
そのまま言えたら楽しいのに
本当はそんな服
....
白い筒をひらき
こぼれる光を受けて微笑って
わたしは今 あなたの葉のように
しなやかで不安定です
明日もし区切りがついたなら
こぼれる涙を受けて微笑って
わたしはきちんと咲いていま ....
瞳の中でしか広がれない青空は
手を差し伸べてもらえないその悲しさを
今日も涙にしてしまった
良き友よ
お前の肩を
叩かせてくれないか
軽く 一度だけ
そして
良き友よ
おれの肩を
叩いてはくれないか
軽く 一度だけ
渾身の力を注がない分だけ
渾身の ....
君は言う
「あいしている」と
彼女に向かって 君は言う
彼女は言う
「あいしている」と
彼に向かって 彼女は言う
彼は言う
「あいしている」と
私に向かって 彼は言う
私 ....
新しい惑星に
私はなりたい
あなたの
楕円軌道で追いかけて
あなたの日常を
照らすこともない
私は
小さな氷のかけら
それでも
見つめる
くらいはいいだろう
....
人との距離は
危うく計りにくい
器用が良いわけでなく
不器用が良心的でもない
礼をつくすばかりでは面白みもなく
愛を語るばかりでは生ぬるいだけだ
道に迷って
迷って迷って
辿り ....
全ての人に大切な愛だって
手に入らないこともあるじゃない
適当に感動して一日を潰した私
何もないのに無理やり泣いて
声が枯れたら
また日が暮れた
同じように過ぎていく時は
数 ....
夏の図書館には、みんなが置いていくものが、ひたひたと満ちている
カップルも
受験生も
おじいちゃんも
みんな
置いていってしまう
夏の図書館に
外にはきらきらのひまわりが咲いて
....
あなたの名前も
あなたの素性も
何もいらないのよ
そんな必死こいて説明する必要ないの
あなたの生い立ちや
あなたの前科なんて
関係ないのよ
何も弁解する必要なんてないの
このボ ....
干乾びたのだろうか 私は静かに干乾びていくのだろうか
風の強い静かな午後 ほら、耳の裏側で
ガラスの器 丸く並ぶ石粒 揺れる水
指を離す ゆびをはなす 知っているのに・・・
鳴る音は飛沫 ....
青白い蛍光灯 壁はなおさら真っ白で
音は何も聞こえてこない 聞こえない
この部屋に体二つ 呼吸は一つ
とても不思議 とても不思議
線香の香りは 僕の吸ってる煙草の匂いを消せない ....
君は僕に笑顔をくれる
君は僕に愛情をくれる
君は僕に幸せをくれる
ごめんね
僕は何もお返しすることが できないよ
だから
せめて今は
君の隣で 唄を歌う
降り立った駅のホームには
潮の匂いの風が吹いていた
タクシー乗り場では
タオルを首に巻いた運転手が
ワイシャツには不釣り合いなほど
日焼けした顔で機嫌よくドアを開けた
エア ....
私の
家の裏には
杉林があって
その向こうには
すこしばかりの空があって
夏になれば
蝉時雨が満面に鳴り響いているのです
しばらくそれを
みつめていると蝉の声が深く
静かに命を説いて ....
カタカタと軋んだ音をたてて 五線譜の上に
吐き出されていくのは あの夏のことでした
紙杓子で掬ったあかい金魚を手放したのは僕
とっぷりと暮れた空にあめが降りつづいている
何処かに傘を忘 ....
キミを大切に思いたいはずなのに
自分の我侭ばかり言ってしまう
気付いているのに直せなくて
そんな自分が大嫌いで
いつの頃からだろう
こんなに歪んだ心を抱いたのは
怒りを堪えようとするけ ....
生活習慣よりも、性格習慣を変えましょう!。
月が白く染まるころに 君に会いに行こう
月が白く染まるころに 君に約束の電話をしよう
受話器をとって ダイヤルを回して 呼び出し音に息を潜めて
君を待つ
「なぁに?」
白く染 ....
待っている間はいろんなことを考える
{引用=笑ってるあの子供はかわいいな
今通った恋人同士の彼は好みだったな
さっきのおばちゃんはじっとこっちを見てた}
いつの間にか人間観察になってしまう
....
ボクは君を
幸せにしないでしょう
それと
逢いたい気持ちとは
別
小さなパラソルに
寄り添って歩く
少しだけ
雨が降って
海辺で佇む僕の背後から声
透き通るような澄んだトーンの
潮風に乗って耳に流れ込んできた
何がそんなに悲しいの?
そんな瞳で僕に囁かないで
そうだ僕は空になり
キミは海になるだけの未 ....
{ルビ理由=ワケ}もなく泣いた 空の{ルビ下=モト}
見あげればとどかない青い空
手をのばしせつなさ鮮やかに弾けた
絶望の声 咲く花
切望の音 行く風
流れる時をつなぎとめていたい
螺 ....
シャボン玉の中に失われた人魚の声が
詰まっているような気がして
割れる瞬間耳を塞いだ
自らの意志で泡と消えた彼女が
恨み言なんて残すはずがないのに
詰まっているのはきっと
虹色の鞠を膨らま ....
失う事が怖いのではなく
失う故が解らぬのが怖い
流れがときと別れても
滞らなければまた続いていく
自分の場をしっかり保てば
何かを見つける事も
何かに見つけられる事も
容易くなる ....
何年かぶりに
虫歯がひどく痛む夜
でも
この感覚っていい感じって
生まれて初めて考える
ズキズキ歯痛に
全神経が集中するから
今夜は
久しぶりに
心の芯が痛まない
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
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