この町の
坂を登り切った
いつもの場所へ
僕と君が一緒の週末も
この町を眼下に
何回めだろう
夜になると微かに靄が漂う
簡素で静かな町
僕達はこの町の中身を飲み
そして町の中 ....
ベッドに寝転びながら真っ暗な天井を見上げる
次第に浮かび上がる伸ばした手のかたち
疲れた貴方をこの手で抱きしめたくなる
言葉だけが遠く離れたあなたに届く
言葉というものの良さを ....
ここは
風が強い
遮るものは何も無いから
私もざわざわと揺らいでしまうのです
花に昔の恋を重ねるのは
いつまでたっても抜けそうになく
風に揺らぐ花びらに
褪せた写真の中の誰かさん ....
君は僕無しでも生きられるかもしんない。
僕も君無しでも生きられるかもしんない。
でもね
君は君無しでは生きられないし
僕も僕無しではいきられない。
君の君には、僕がいた時間が含まれていて
....
眠りから覚めたばかりの目で
カーテン越しの空を見つめる
青空も
太陽も
何だか他人の顔で
戦線離脱したあの日から
自分の未来は
カーテン越しの光のようだと
溜息ひとつ
煙草の煙く ....
起き抜けの
一杯の珈琲と一本の煙草
まだ寝惚けた頭には
今日が昨日で
昨日が今日で
起き抜けの
一杯の珈琲と一本の煙草
ボサノバなんて聴きながら
一日に一度しか味わえない
その味 ....
昨日まで俺といた人間は
たしかに俺といた人間は
親しい人の心の中で一人
現実の雪崩にのまれた
彼を探しに行かなければ
俺という行方不明者を
俺という生き方を失した人間
信頼をなくす
過 ....
うそつき
うそつきと囁きながら
言葉が逃げてゆく
夜と朝の狭間で身悶えする
眠れぬ夜に熱るこころで
言葉が逃げてゆく
うそつきはだあれ
うそをついているのはだあれ
みんなほ ....
悲しみてぇもんは
大きかろうが
小さかろうが
とんでもなく重たい荷物
持主にしかどんなに重いかわからない
かわりに持ってやる事もできない
置いていこうにも手からはなれない
とんでもな ....
風だって
そんなふうに流れていくので
今日はバランスがいい
青いだけの空よりも
白が適度にちりばめられて
そんなふうな一日だから
通い慣れたこの道に
懐かしさを辿ってしまうほ ....
いつもそこに見えている すぐ目の前にだ
共同幻想でもあるぞ 南無阿弥陀仏
現実の世間でも至極あたりまえの
他動説 信じて生きてきた果報者
石の上にも三年 その三年間
近づくと逃げてゆ ....
心地いいくらいの
暖かな日差しに
桜の花びらを連れた
春の風
そんな
よく晴れた日には
陽だまりの中
嫌なことなんて
忘れ去ってしまうくらいに
走り回って
疲れ果ててしまっ ....
あんまりいつもの事だから
誰も泣いたりしないが
昨日のお前はどこへ行ったのか
死んだのか
それともそこの隅でひっそり泣いているのか
行って帰れば別の人
どうしてこうも
行って ....
きゃらめる 6
ねじ
1
まいばん
ねむるまえに
もうひとつだけ
からだのねじを
はずしてみる
おそるおそる
....
私は
友達とか他人に
モノとか
何かして
あげるのが大好き
相手の
喜んだ姿とか
心から笑った笑顔を見ると
こっちまで
嬉しくなってしまうから
相手にもらうことばかりを
....
あいつの笑い声が
みぞおちのあたりを
握り潰す
きのう フラれたのに
今日も 同じ教室
dolce lusingand
やっとのぼった太陽のように
朝日のように眩しく優しい笑顔の君を
力一杯抱きしめて思い切り泣いた
暖かさに溶かされるように
やがて腕の力が抜けていき
全部 ....
春の夜の淡雪は消え残り
白と紫に染め分けた山が
灰色の空のなかで静謐に光っている
午後の暖かな日差しが雲を溶かし
日陰に水路のながれる町で
冷たく甘いチャイを飲んだ
開け放った窓は ....
キミの瞳の中をのぞいて
その中に僕が入っていないとき
僕は
すごく僕は淋しくなる
僕だけを
だから僕だけを見て欲しいのに
どうしても僕は
キミのコーヒーカップからでる
湯気という名のカ ....
溢れる涙を抑えるのは得意じゃないの
むしろ、逆、あたしは涙を流すの
流せるときに流せるだけ
いつか涙が溢れなくなった時
それはあたしが死んだときよ
泣かないなんて心に言い聞かせる ....
鳥のように生きたいと言っても
鳥の悲しみなど
知らないで
薔薇の花のようになりたいと言っても
薔薇の苦しみなど
知らないで
知らず 知らず
ひどい仕打ちをしていることを思って
....
久し振りの雨音で目が覚めた
六畳一間がしとしと濡れる音
しずくのざわめきが障子から
淡暗い午後の光に溶けている
繰り返し寝直しても浅い眠り
一人だけだから広過ぎるのか
持て余す ....
誰も罪を認めない
誰も罰を受け入れない
そんな世界に僕は生まれた
自由気ままに
その日のままに
皆がそうして生きていた
自由が一番!!
そんな誘い文句の世界
そして彼らは恐 ....
やわらかな
ふあんは
やわらかな
やみに
つつまれて
しばらく
そこを
うごこうとは
しなかった
やみのなかは
めがなれてきても
やっぱり
やみのなかで
きみのこと
こ ....
かわいいウェイトレスが
おれの投げだした脚につまずき
仔犬のような目で「もうしわけありません」をくり返す
こんなところにまで
潜在的な暴力の根がはびこっていたのか
びくびくしちゃいけ ....
強くなる
今よりもきっと
強くなる
だから
それまで
待っててくれる?
今はまだ
逃げ出すことしか
出来ないけれど
強くなる
今よりきっと
強くなる
だから
....
何もわからなくなってしまった
一緒にならんでいたんだ
同じ方角を見ていたんだ
いつも真直ぐに前を見つめていたんだ
右から左へ太陽や月が移っていくのを眺めながら
冷たい風のやってき ....
僕のポッケの
なないろキャンディ
君の手の上でころがって
ほら、ごらん
君色に染まってゆくよ
ねぇ、こんなにも綺麗な光が
君の心に宿ってるんだよ
だか ....
夜の街を回送電車が走る
まぶしいほどの明かりを点けて
中には誰も乗っていない
中には誰も乗っていない
遮断機の内側を
回送電車が走り抜ける
ごうごうと音をたてて
中には誰も乗っていな ....
檸檬は今にも飛んでいきそうな色と
形をしているけれど
決して空を飛ぶことはない
朝、テーブルの滑走路で
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45