ぱらぱら降って
ころころ転がる
小さな白い粒々はあらあられ
掌すうっと冷たくて
口に傾け含んだら
なんだかお菓子のようで
甘くはないんだけれど
いつかの記憶がつまった氷菓子
淡くぼやけ ....
部屋にあった服のいくつかは
わたしに合わないものでした
一番うえの兄のことを
二番目の兄が幾度も
同じように語るのを
わたしたちは
雪の音をききながら
気にしました ....
飲み屋の座敷で
一人酒の盃を傾け
いつしかこの頬は赤らみ
脳みそは何処までも歪み
おぼろなる意識の内で
{ルビ転寝=うたたね}にかくんっと首の抜ける時
夢の夜空にたった一つ ....
部屋の東側にある窓の向こうから
そろりそろりと気配を感じた
冷たい空気にかき回されて
輪郭はひどくぼんやりとしている
わからないけど
生え際にだって届きそうな気がした
ベランダで育 ....
無性に活字の大きい本を読みたくなつた。老眼だから。出来れば薄つぺらい本がよい。根気が続かないから。一五〇頁位が手頃だ。しかも中身が空疎なものがよい。血の巡りが悪くなつて頭まで血が行かないからだ。重要 ....
ぼくはもう新しいRockが聴けない
聴くのは60年代から70年代の音楽
新しいRockは音楽ではなく騒音だ
JAZZも同じ50年代か60年代だけ
診察を受けたとき何気に医師に訊いた
....
凍るかぜのなかでこの半島はぼくのなまえを呼んでいる
いとしいひびきでね
ぼくは北の国からやってきたまあほんとはプランクトンしかたべれないのだけれど
ことばの魚を追ってきたのだよ
....
月がない
言葉がない
居場所がない
いたたまれない
それはまやかし
時は熟した
歩み始めよう
恐れと共に
いつまでも
しゃがみ込んでいられない
きしむ体を動作させよう
ギ ....
さらりとした湿気
2月なのに春の匂いがする
懐かしいアイスクリンのような砂浜を
僕の手ですくって歩いた
空と海の境目なんて
とっくにきえている
僕はきみと少し
距離をとってあるい ....
にしのそらに
ばくげききがしずんでいく
まちによるを
のこして
ちきゅうのうらがわを
やきつくして
あすもまた
ばくげききが
やってくる
ねぇきみ大人なんだから
うまくかわして
うまくこなして
生きていかなきゃ
そこに甘さは
必要ない
そうだね
僕は大人になったから
つつかれないように
正しさを身につけ
食べ ....
われをわすれて
あそんでる
こどもが
こどものまま
われにかえる
どうして
あそんでるんだろう
ぼくはどこから
きたんだろう
長い夜
君が眠れぬ長い夜
君が寝るまでお話し聴くよ
そうなんだ わかるよ君は悪くない 君の夢なら叶えてあげたい
娘子に生まれていたらすんなりと女子会行けた惜しくも男子
ひとり ....
散在する
おと、おと、おと、おと、
らせんれんさになり
からみついてくる
どんな祈りや鍵さえもねじまげて ....
ひらひらと、あたしのうろこがひかる
海の光と、空のひかりに
ひとつづつとしをとってゆくと
かたくかたくなってゆく
こころをまもってゆくんだよ
こわれないようにね
ぎ ....
左手はご不浄らしいけど
わたしって左利き
どうしよう(笑
歯を磨くのも
お箸を持つのも
字を書くのも左なんですけど
小学校のお習字の時間
せんせいから右手で書くよう指導さ ....
見えない塔のてっぺんから
見えない鐘の鳴る音がする
見えない塔には見えない人が住んでおり
少しのふこうと
少しのしあわせを
味わった
見えない塔には見えない鳥が飛んできて
よい声 ....
短歌を超える詩が、あってもいい
詩を超える短歌が、あってもいい
詩人も、歌人も夜はおなじ寝床で肌をよせあって
眠るのだとおもう
今日はもうなにも書けなくて
はやくお風呂にはいってあし ....
私が
こうして
文字を綴るのは
この
鉛筆の芯がなくなるまでのこと
あれ
もう芯がないや、と
気づいてしまうその時を
想像すると
やはり切なくなくなるけれど
きっとその朝は
....
羅針盤のない船はどこを目指しているのだろうね
まさかハッブル望遠鏡でしか覗けない120億万光年のむこうかな
たぶん神様だって行けないところだよ
でもね昨日のあの娘の笑顔が宇宙に満 ....
チョコレートを渡して
告白が出来る日が
あることを知ったのは
中学二年の時だった
愛の言葉を探しながら
一晩かけて手紙を書いて
お年玉で
14日の朝、お菓子屋さんで
高そうに見える ....
これからの時代は
中卒だけでは
仕事に就けないと
頑固で怖かった親父に諭され
反抗することもできず
集団就職の夢を
敢え無く断念した
フォークシンガーになったのは
世の中に拗ねてた ....
王国に
オカリナの音が響き
それを合図に
門が開かれました
死者にはもう悲しみはないのです
先に逝ってしまったことも
とりたてて
悲しいことではないのです
それはこの世に生きるもの ....
猛々しい
雲の峰々をぬってながれるその川に見覚えがあった
なぜか
その子に見覚えがあった
林の奥の僻地の村へは行ったことないのに
そのおさない者の笑顔に
....
いつの間にか
閉じ込められた
白い球体の中で
ごろんごろんと転がってみる
球体も一緒にくるりと回り
なんだか無性に楽しくなる
ごろん ごろん ごろーん
ごろん ごろん ごろーん
目が回 ....
夜中に目が覚めて散歩に行った
黒の画用紙に太めの半月が貼ってある
彼女はふっくらした横顔を向けてこう言った
忘れちゃだめよ あの娘はお嬢様育ちだということを
そうだった 彼女は両親からたっ ....
今日は 誕生日
浮き浮き気分で 草を抜く
誰ですか?
おばちゃんチックだって
笑うのは
耳元に 響くは
ツクツク ファイヤー
あなたが 言ったんだ
どうしたって
つくつく ....
たねは
ねむっている
どんなゆめをみているのだろう
たねが
かぜにとばされた
すこしふあんになってふりかえる
たねのきおくは
らせんのようにつながっている
たねは
たびを ....
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せるほど
ぼくは澄んではいない
吹き消されない光の源
その物真似をしている
ふたりで見た海を通る
消したい記憶を消せる ....
私の頭に
時々帽子がぷらりと帰ってくるよ
遠い昔
だれかが
私の髪の毛をくしゃくしゃっと
した時の
あの切ないような感触を
私の頭は覚えているよ
みんな
自分のことだけで精一 ....
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