あなたの眼差しを入り口にして抱かれる
薄青色の抱擁はとても温かい
奥へと進めば進むほど
現世は力強い鼓動の音に打ち消され
忘我の境地へと潜り込む

何も食べず、何も必要としなくていい
あ ....
死語の道徳を囀る一羽の小鳥が
超高層ビルからヒラリと飛んだ
喪失した記憶 飛び方を思い出すための荒療治
ところが思い出したのは
自分が本当は魚だったということ
《しまった早まった! 》
だ ....
道ばたに
若いビジネスマンが
うずくまっている

心配して声をかけると
苦しそうな顔をして
ほとんど象になりかけていた

大丈夫です
と、忙しそうに立ち上がり
がんばっ ....
  開き箪笥の蝶番がこわれたの

そう言えば10年前にもこわれたな
  
  今度は違う蝶番

貧しかった頃に買った
安価な開き箪笥の蝶番は
僕たち家族の生活を
ささやかながら支えて ....
いい夫婦の日に別れている 隣の家の目覚まし時計に起こされた 社交辞令の「大丈夫?」もない 沼のほとりにあなたは立って
覗き込む
濁る水底
揺らぐ藻の影
素早くよぎる魚の気配に
煌めく泡が
まっすぐに
昇ってくるのを待ちながら

言葉の淵にあなたは立って
覗き込む
尾び ....
あの草原のうえに浮かんだ雲はいまもかわらない
風はやわらかな吐息とともに春をはこんでくる

春待ち鳥は歌声を整えてこぼれる季節にそなえる
翻弄されながらもまた花びらとなって流れてゆく
ひとの ....
左腕に
浮き出た内出血の痣
八年前に受けた
ハーセプチンの点滴は
あたしの血管までもぼろぼろにして
以来 採血は
看護士泣かせの儀式となった
その痕を
老いた母は
かわいそうにと
 ....
片方の手を取って
九十歳のきくさんと
介護の青年は
デイサービスの廊下を
ゆっくり、歩く。

きくさんは、皺の寄った右の拳で
くしゃくしゃなちり紙を
握り締めている。  

「それ ....
炬燵の上にはみかんの入ったざるが置いて在る
あたりまえのように炬燵に入り蜜柑の皮を剥く
子供の頃は至極あたりまえに蜜柑を食べたもの

蜜柑やりんごはいつも一箱ごとに八百屋さんが
届けてくれて ....
春兆す左舷に見えたフラミンゴ 赤ちゃん言葉がしゃがれている 交響曲第一番「亀戸」を作曲しようと思ったが
口笛も吹けないので断念し
リーマン予想を証明しようとしたが
9の段が苦手だし
素数はブルドッグしか知らないので諦めた
4回捻りに挑戦しようとも考え ....

あちこちゆらゆらゆれるしろがね
原っぱで ぽつんとひとりそよぐ
手の中のまるみをおびた小石が
ほんのりあたたかい
地面の土は黒く底はなく
白い息 宙へ解ける明滅
山脈の稜線の縁は ....
西側の二脚の椅子に
座っていた
子らは
ふくふくと育ち
ようようと三月へと出かけていった

つながったひとつのベンチに
結果 残されたようになった
夫婦は
横に座って
同じ景色を眺 ....
 瞳


二月の白い雨の中
何もかもが凍りついた冬日
畦の匂いさへ凍りついたまま
も吉は冷たい闇の中で
いつもの道を見失ってしまった
今日はどうしても
まっすぐ歩けない

も吉を ....
{引用=

「カスタネットを叩く小さな手が、乾いた音を空間に弾かせて赤と青のあわいにある星を見つけようとする。白眼は青みがかっていて世界中の秘密を引き連れてまだ秘密を作ろうとしてい ....
出来るでしょうか
目に見えない心を磨くことなど
出来るでしょうか
形のないものを磨くことが

かつてある食品会社が
「水を磨く」と言いました
大河の水は汚れています
池の水も汚れて ....
闘牛やパコ・デ・ルシアの薬指 月が昇らぬ夜もドカドカ歩く 寒すぎるサーバー室で眠った彼は
真冬に新月で小指を切る夢を見た
次の朝になって彼が目覚めると
世界の半分が失われていた

空腹の彼はコードで繋がったまま
駅前まで歩いて喫茶店に入った
注 ....
野辺に咲く花は彩りささやかな風に揺れていた
太陽の光を浴びたその場所は緑の芝生が敷かれ
青い空と白い雲が浮かび眩い光景に満ち溢れる

花園と小鳥と蝶と蜜蜂が飛びかい猫や犬と戯れ
時には小 ....
0が1を
たべつくして
朝になっても
明るくない

うすく凍りついた水たまりを割ると
世界の底で
あなたがスープみたいに眠っている
都合の悪いことや
不快なことは
予め伏字にするという
配慮が
いつからかこの国では
行きとどいているので
よほど気をつけていなければ
事実は見えない
まして
事実を都合よく見誤ろうと ....
【人間】
初めてのアルバイトは中学1年の冬休みだった。
親戚の雑貨店でのレジ打ちの仕事だった。
年末のある日、事件は起きた。
その日の昼食後、レジに戻ろうとしたら、おばあさんが
お茶碗を買い ....
吸えないタバコ 吸うフリして
煙に隠れて 涙する
いつも一人で 泣いていた
路地の裏の 小さな空き地
マンホールの蓋には ぺんぺん草が
天を仰いで 風にそよぐ
いつでも 一人僕が
見上げ ....
いのちの素描 
躍動の結晶を背景に
白い天啓の不規則性
欺くように舞って

――つめたい耳たぶに腰をかける
   そとには沈黙が降り積み
   うちには言の葉降り積む

  
   ....
通ってたカフェのマスターが
産直の宅配してるって

輸入雑貨店のオーナーは
いま中古レコードのお店をやってる

わたしが詩を書いてることを
知ってるひとが少しいて

わたしのお父さん ....
壮佑さんのおすすめリスト(5210)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
回帰- 由木名緒 ...自由詩5*14-3-1
歴史の礫- ただのみ ...自由詩14+*14-2-28
象さん- 小川 葉自由詩814-2-28
蝶番- ichirou自由詩10*14-2-28
いい夫婦の日に別れている- 北大路京 ...自由詩314-2-28
隣の家の目覚まし時計に起こされた- 北大路京 ...自由詩714-2-28
社交辞令の「大丈夫?」もない- 北大路京 ...自由詩514-2-28
沼のほとり- Lucy自由詩19*14-2-28
流れる- 梅昆布茶自由詩1314-2-28
【紫の華】_詩人サークル「群青」二月のお題「紫」への提出作品- そらの珊 ...自由詩13*14-2-28
白いちり紙- 服部 剛自由詩1014-2-27
炬燵・・・- tamami自由詩1114-2-27
春兆す左舷に見えたフラミンゴ- 北大路京 ...俳句214-2-27
赤ちゃん言葉がしゃがれている- 北大路京 ...自由詩514-2-27
夢を見るバカ- 花形新次自由詩414-2-27
芒野原- こしごえ自由詩3*14-2-27
二月は未来を調整します- そらの珊 ...自由詩17*14-2-27
北の亡者/Again_2014如月〜皐月- たま自由詩25*14-2-27
星野屑子の冒険- 手乗川文 ...自由詩8*14-2-27
磨く- イナエ自由詩22*14-2-26
闘牛やパコ・デ・ルシアの薬指- 北大路京 ...俳句314-2-26
月が昇らぬ夜もドカドカ歩く- 北大路京 ...自由詩614-2-26
ある朝- 自由詩1214-2-26
花園・・・- tamami自由詩1014-2-26
スープ- はるな自由詩1114-2-26
配慮- Lucy自由詩24+*14-2-25
アルバイトの備忘録- ichirou自由詩19*14-2-25
泣きたい日の味- 武富諒太自由詩414-2-25
二月・北国では- ただのみ ...自由詩16*14-2-25
ニュースたち- もっぷ自由詩814-2-25

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