すべてのおすすめ
死んでみてわかった
あの世の消費税は
100%なんだよと
父が逃げるようにこの世に帰ってきた
それが私の息子だ
あの世でも
何かを消費しなければ
生きていけないら ....
今日は昼過ぎ、らーめん萬亀まで散歩に行ったら、いつもは行列なのに余裕で座れた。もしかしたら、昨日の夜、土崎のつけ麺店がテレビで紹介されていたので、そちらに流れたのかもしれない。
それはそ ....
秋田に来てはや二年。気がつけば、すっかり美人慣れしてしまった私がいる。逆に言えば、美人慣れするには、二年も要するということである。これはたいへんな試練である。
美人を見ても動じない。読者 ....
道ばたに
若いビジネスマンが
うずくまっている
心配して声をかけると
苦しそうな顔をして
ほとんど象になりかけていた
大丈夫です
と、忙しそうに立ち上がり
がんばっ ....
人は殺しあった
動物も殺しあった
植物もまた
日向と日陰に生まれ
殺しあうつもりもなく
日陰の植物は死に
日向の植物は育った
人は人を殺すために
生まれてきたの ....
こどもが
しょくばにやってきた
こんにちはといって
やってきた
このくつのひといますかと
しょくばのひとにきいた
おこさんきてるよと
しょくばのひとがいった
....
生まれた家よりも
外での暮らしが長くなると
前世のことのように思えてくる
たしかに今
それはあるんだけど
幻に見えてくる
今度のお盆は
最後の帰省になる
これで ....
ペットショップで
赤ちゃんを買ってきた
うまく育てれば二十年生きますと
ペットショップの人に言われた
赤ちゃんはかわいかった
けど次第におとなになって
すねたりして
おとなし ....
こどもとさんぽしてると
へんなところでそだってるよ
とおしえてくれる
おとなにみえないものが
みえるんだね
きになって
しかたがないんだね
おとなにみえないもの
それはみえないのではなく ....
息子もいつか
フルーツパフェに登りたい
などと
わけのわからないことを言って
この家を出ていくんだろう
わたしもかつて
プリンアラモードに登りたい
と言って家を出たけれど ....
不意に、息子がおれの手を握った。
思い返すと、おれが父の手に触れたのは、三回、その時を、今でも鮮明に覚えている。
はじめて父に、釣りに連れて行ってもらった時、土を掘って、ミミズ ....
十年後のことばかり
考えないで
今日のことを
考えよう
なぜそんな簡単なこと
できないんだろう
十年後にも
今日はあるのに
茎を切り取ると
キャベツは息を引き取った
葬儀は
スーパーかコンビニ
あるいは古風に
八百屋で
買ってきた
キャベツを刻むと
青虫の
お坊さんが出てきた
....
蝉のプラモデルを買った
部品をよく確かめながら
組み立て方を見て作った
完成した蝉は
少し違う形の虫だった
説明書に完成したら
ボタン電池を入れ
冷暗所に保管
と書かれてあ ....
空気が冷えると
葡萄の匂いがする
秋でもないのに
葡萄の実も
成ってないのに
初夏のある日
雷が鳴ると
秋の匂いがした
勘違いした
お天道様が
初夏なの ....
裏庭に大都会
スクランブルされた
スクランブル交差点
虫が自由に行き来してる
信号は守らない
みな生きる意志を守りながら
なにひとつ守らずに
なにかを大切そうに運んでる
....
ものに手を触れると、匂いを嗅ぐ癖がある。小学校低学年の頃からだろうか、今、小学二年生の息子も、最近、同じことをするようになった。
からかうように言うと、きっとあの頃の私みたいに、気にする ....
鮭缶が
海を泳いでいる
よく見ると
泣いている
帰りたいのだ
ラベルを見ると
知らない国
川を遡上するといい
と教えても
遡上の意味さえ
鮭缶は忘れていた
身振り手振 ....
海老フライが網にかかる
隣の船では大トロが大漁だ
赤身は人気がないので海に離す
いつか大トロになることを願って
畑にハンバーガーの実がなっている
産地に行けば生産者のスマイル ....
真夜中
犬が鳴く
私も鳴く
犬ではないものも
私ではないものも
裏木戸が
閉じたり開いたりする
風が行ったり来たりする
風ではないものも
老婆は
うるさくて眠れ ....
たうえがはじまると
どろのにおいがしてくる
すがすがしい
どろのにおいがする
わたしのさいぼうも
にわかに
ぶんれつしはじめて
はだがかぜに
すきとおっていく
....
なかまとあそんでると
かぞくが
たいせつになる
かぞくとすごしてると
なかまが
たいせつになる
ひとりでいきてると
どちらも
たいせつになる
まようなあ
し ....
がっこがすきだね
といわれて
うなづいた
けどそれは
がっこうがすきだねという
ひにくだった
わたしはがっこをひていした
なぜかわからないけど
おりこうさんには
....
よみちをひとり
あるいてると
よぞらがぼくを
おいかけてくる
はしっても
おいかけてくる
どこまでも
あきらめないで
けどぼくだけじゃ
ないんだな
....
はなちょうちんは
ふしぎだ
うまれてすぐに
はじけてきえる
おかあさんに
みせようとした
そのときに
まだなかった
ことばといしきの
だいしょうのように
....
ものごころついたとき
芽はでていた
茎がのびていき
葉がなっていく
それをわたしは
ひまわりかとおもったが
木だった
茎は茶色くそまり
幹となり
やがてわたしの背 ....
うつくしいものには
ことばがない
こえもない
しんだひとみたいに
なにもいわない
さくらの
はながさいた
ねむいって
いっていい
きょういちにちを
すごしたのだから
ねむりのなかで
おもいだしてもいい
きょう
いちにちのことを
とおい
むかしのように
....
よみきかせた
むかしばなしに
めをかがやかせている
いつかのこどもを
そだてている
いつかのちちおや
いつかのははおやは
あいかわらず
いいにおいをさせて
お ....
わたしはいつか
に、なりたいと
おもっていた
こどものころ
に、なりたいと
おもわなければならなかった
いまも
おもわなければ
ならないのだろう
に、 ....
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