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季節はなんて早く
通り過ぎて行くのだろう
もう春だと思ったら
陽の光は力いっぱいの強さで
もう初夏のようだ
季節の風は
確 ....
雨の日に
西瓜をノックすると
入ってます、と声がする
ぽこん
西瓜まるごと持つと
かなりの重量感があるのに
成分はほとんどが水なんだってね
ふうん、そうなんだ
果物を食べると
....
夕暮れ
石ころが転がる河原で
ひとりのんびりビールと
割り箸に刺したはんぺんを
七輪でささっとあぶり
ちゅるちゅる呑みこんでいると
対岸にオレンジ
鬼火が屋台の提灯のように
等 ....
アングラな思想に
陰雨は益々逆上し
渦巻く不条理と
液状化する倫理の狭間を
横行していく出任せの正義
快楽の行く末は
琴線に触れもせず
狂い咲く恥じらいと
計算された愛憎を武器に
....
汚れちまった悲しみに……
中也の悲しみは
なんだったんだろう?
彼は孤独人
人を欲っしながら
人を拒絶していた
誰にも理解されない
運命を受け入れた
その引き換えに
神から創 ....
目覚めると夜が転がっている
最新鋭の望遠鏡でも見えないのは
大気の揺らぎのせいだった
この揺らぎを測定し補正した画像を
何万光年さきの世界としてぼくは見つめていた
街道にはところどころに鳥小屋があった ....
上りのエスカレーターに
幽霊が立っていた
ぼんやりとネクタイを締めて
小さな咳をしていた
駆け上がる人が
春のように
体をすり抜けていった
見えない、
それだけで幽霊だった
....
バカ バカ バカ バカ バ〜カ!
まったくもってバカ ほんとバカ!
バカ過ぎて どこがバカか分からないバカ!
迷惑なバカ うっとうしいバカ 自己中バカ
目指せ! 完全無欠の大バカ者
バカ ....
雨、雨、雨、やさしく閉じて透き通る春の惑いの Aquarium の
ふるえては芽生えるおもいこの胸のうすきガラスを風のララバイ
よんでいる心を奪い冬の鳥はるか Голос 遠くへど ....
トラックのエレメントとオイル交換をしてもらう
33万キロも大地をかけぬけた偉大なポンコツだ
いきつけのスタンドの早川さんとちょいしもねたジョークで
あいさつして笑いあう
こんな日常もいいか ....
暗く
うっそうとした
朝に
あなたの手が
すうっと
のびてくる
顔のまんなかに
みずうみはある
まつげかすかに
風にゆれ
返し忘れた本
窓辺 の 「ね」
つのる 想 ....
薫風が行く
あとを追うのは誰
梢にちいさないのち
めぐる季節への
地図を広げている
薫風が行く
あとを追うのはわたし
梢に君をみつけて
初夏を一緒に
深呼吸する
朝の挨拶は ....
突然雨戸が
何語かで話しかける どうしたの、何
小さなビスケットの家の
窓には童話色のカーテン
それじゃ無理
雨戸は不満を述べてノックする
何か起こったの、今から起こるの
小さな庭の ....
ベイビーこんな雨の日は
ひきずるようなブルースをきくんだ
だから
ともだちになってよ
それとも懐かしい曲で
こころを満たすかい
ベイビー3弦がきれたよ
へやのすみには
弾かない ....
雨の日は
透明傘がいい
値段の気安さがいい
ドームの曲線を
雨が流れていくのを見るのは
誰かが
泣いているのを
見ているようで
そんな後ろめたさもいい
そういえば女優でもないのに
....
ぼくらの町に
ヨシキリがかえってきた
一羽は川沿いの桜の木に
もう一羽は中州の葦のしげみでなきかわし
恋の歌をうたっていた
そんなとき、子どもたちがドヤドヤやってきて
このちょっと変わ ....
ランタナのつぶつぶ
少女はコンペイトウ
春夏秋冬 気ままに咲く
甘美の花言葉も知らない ランタナ
ランタナのつぶつぶ
少女は大人のアジサイに
雨季の間 憧れの感情に
無垢のまま 引き ....
雨の降る隙間に
がんじ搦めの自分の昨日を見ながら
傘を差して歩いてゆく
良いことなど無く稼ぎは
全て税金か家賃
それと借金の返済
食事代など手元には残らず
それでも生きてゆける
....
もう
どうなってもいい
そう思ってすべてを投げ出して
捨てられるだけ捨てたはずなのに
どうしてこうしてまだ
立ち上がろうとする
背中に手をあてると
ごつごつとした
かたい骨の輪郭を
....
この町は山の手と下町の境
この町は台地と低地の境界
だから坂が多くて
上ったり下ったり
息を切らして歩いてる
中層マンションと
2×4住宅とスーパーマーケット
小学校からは子ども ....
缶チューハイが降り注ぐ夜
めんどくさい人生が酔ぱっらいのあたしに
くだをまく
だって嫌われちゃったのよ
あたしあたしがきらいになってゆく
缶チュウハイのレモンがあたしに
素直になりなといっ ....
巴里に咲く真紅の薔薇の下に猫
青かびを纏へるチーズ
喜びも光も食べる蝿の王
短めに髪の毛切って芒種かな
葛切りと京の祇園の唇と
蟷螂の子供びっしり葉の裏に
ロッ ....
忘れていたわ
時の砂は音も無く
ふりつむ透明な悪魔だってこと
どこへいようと
逃れることはできない
生の終着駅が死であることから
逃れることはできない
気づかぬうちに
若葉は枯 ....
段差段差
すらりと綺麗な人が
高いヒールでぐにゃりとごろりところげた
うしろを歩く私へ
勢いよくかかとが飛んできた
私はちょうど
小ぶりで可愛らしい
さんかく ....
物、その影は
量となり
嵩となる
影という影は
新たな影をつくり
高く目を瞑ると
擬音語のような
か細い音を立てて
雨が降り始める
わたしは先ず
折り急いだ
紙のこと ....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く
無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す
紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し
雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
タケイ・リエの詩集『まひるにおよぐふたつの背骨』は、詩を書くときの自我、あるいは詩を書くときにかかわらず、人間が本源的に備えている自我の在り方について、詩という形式の持つ直接性を用いて我々に訴えかけ ....
私の行く先に母がいて
母の行く先に祖母がいる
どうして一方向にしか
すすめないのだろう
幼児のような
おんなのかおになっても
同じ木が
同じ風にふかれて
私たちおんなを
少し ....
ある日、名指揮者は倒れ
コンサートは(指揮者無し)で行われた
ヴァイオリンもフルートもホルンも
それぞれの奏者は皆
無人の台の上にいる
まぼろしの指揮者のうごきを見て
それ ....
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