ボクがペンで前に書いてフラれたラブレターを
えんぴつくんに見せると
ぜんぜんダメだね
なってないね と言われる
それがこれだ
「 ....
青空が、うかんで消えた吐息の記念に
ぼくは、ヴァーミリオンのツツジを植えた。
妻は、ヴァーミリオンが大好きなおんなだけれど
それを見て黙ってしまった。
妻の魅力的な尻のほんの一部にオム ....
090423
懐中時計をポケットにしまう
ジーパンのポケットにしまう
海の中には
海坊主がいて
溺れた人を
丸呑みにするのだと
笑いながら時計を見て ....
友と杯を交し
日々の想いを
語らう夜に
酔いどれて独り
家路を辿る
夜の道すがら
何ヶ月も同じ場所に坐り
路傍の石と化した
家無き人の
汚 ....
私は女ですから、髭を剃るようなことは一生ないものだと思っていました
私はいま髭剃りを手にしているのですよ
少女の私が聞けば目を引ん剥いていることでしょう
何でも機械化する時代ですから
剃刀の刃 ....
ループする太陽の軌道
五月に向かう風の匂い
確かな休日の矯声
時間の緩やかに流れる昼下がりは
過去へ
或いは、未来へ
どこかからか
パレードのやって来そうな不思議さを備えて
....
震源地も定かではない
取るに足らない心の揺らぎを
マイナス思考回路で増幅させ
大津波が来ると身体じゅうに触れ回る
さっそく駆け出していく
おっちょこちょいの鼓動と呼吸
長期休暇をと ....
つもりにつもる
ぶうたれた
日日に
ひとのひとたる日日でもって
かたりかける風があった
くちうつしに
みるみるふきこまれた
ひとつのおくられた風は
ぶうぶうたれる
日日を臓腑を
....
朝目覚めた蝶は
自分の羽根を見ない
ただ羽ばたくだけ
華麗な花々
つるつるした葉っぱ
きれいな雨水
存在をしたい
羽音が聞こえる
なんてきれいな蝶だろ ....
どこかで焚火が燃えている
誰もいないのに火の粉が爆ぜる
その色を知る事が出来ただろうか
その熱を感じる事が出来ただろうか
{引用=今しがた誰が手折ったのだろう
一輪の薔薇が土にまみれ ....
夕暮れ
橙
さびしんぼう
だあれもいない公園で
影踏み
かけっこ
かくれんぼう
風といっしょに遊ぼうよ
いつも泣いてる
あの子とふたり
遊びにおいで
またおいで
....
水に触れると
懐かしくて
飛び込みたくなるけれど
息が出来ないから
死んでしまったあの人や
まだ生まれていないその人は
水の向こうにいるのだろう
何度も水に触れると
く ....
新緑は青くないんだ
白みがかった黄緑色の葉がゆらゆら揺れる
先にみつけた甘い香り
見渡した先に踊る藤の花
とうの昔に忘れた記憶
変に染み付いた幸せの感 ....
{引用=――にんげんは
抽象する動物なんだな
(北村太郎「悪の花 2」) }
鳥の目醒めがあって
それから少し遅れて
人間の目醒めがあって
それからだいぶ遅れて
私の目醒 ....
ココア姫マショマロ枕抱いてねる優しい人になれますように
サイダーの中に無数の星がある消えないうちにお願いしよう
黄金のリンゴジュースが飲みたくて急いで帰る夏から秋へ
....
僕等はいつ死んだのだろう
今命有りこの世界でくらす
人間は実は一度しんでいる
母親の体内から生まれ
この世の中に産声を上げた瞬間に
その生命は一度死に
....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした
水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
優しさを貰うと
優しくなれる。
愛を受け育つ
愛を与える毎日。
感動すると
行動が産まれる。
優しくされると
元気が出る。
優しくされると
やる気が出る。
優しくされると
....
切ない夜を波濤の数だけこえて
やおら滅びゆく貌(かたち)のように虚しく、
何処までも果てのない君とともに
歌うべき僕たちの言葉が見つからない
伏せた漆黒の虚しさは朝日を浴びて
いつしか濡 ....
みみずくは
夜には水をやったりして
四月早咲きの月見草たちをかわいがっていました。
みずくみみみずく。
もうずいぶんとむかし
あなたはたしか
「砂漠のなかで金の粒をさがすようね」と言った
僕はそれはちょっと違うんじゃないかと言いそこねた
きれいな空をそのままうつしたような海の
ちょうど ....
糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる
散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
090420
じっくりことことと
煮詰めるのですと
テレビの中の先生が
無感動に説明しています
感動するのはアシスタント役の
アナウンサー
お客さんの聴 ....
銀色のトラップが巡らされた森の中
ラピスラズリが妖しく光を放つと
遠吠えするサボテンやおしっこ臭いキャベツ人形たちが
深い眠りから目覚める
*
レムの端っこで危なげなア ....
{引用=
人体なんてものは
ただの
いっぽんの管と
つめたい椅子の上
炭水化物や窒素や湯が沸するのを待つ七分間や
この壱拾円玉やアイベツリクや若年性痴呆や
通過してく、それぞれの…… ....
一度にたくさん、ではなく
そろそろ、と流し込む感じ
絶対濃度を持たない空気は
放流の力で簡単に色を薄め
侵入者だったはずのものが
気付けば当然になっている
さっきまで開いていた花は ....
ベイブリッジ近くの流行りのマンションは
遠くからだと暮らしの明かりがあたたかだけれど
ロビーでこうひとを待っていると
ちゃちでざわざわとしたものにしか思えてこない
ビジネスマンがエレベーターに ....
ぽんぽん
前に歩いている人が花を落とす
私はそれを拾うのは癪なので踏み潰して進む
ああ夏が来てしまうんですね
となりにいる人にそう言うと
その人は
この世の終わりという顔をして
爆発して ....
おはなの香りは麻薬のようです
やっと離陸した春たちは
いっせいにビルから飛び降りて
女の子たちの透明な鱗に
好んで住まうらしい
ちょうちょが飛んでいくのを見て
銃に撃たれてしまわな ....
大気は徐々に枝垂れ流れ
紫色に染まってゆく
雑踏は過去のものになり
ほのかな灯りも音を持つ
乱反射していた人工のひかりは
次第に少なくなってくる
大気は更に厚みを増し
地上 ....
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