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夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで


わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
明け方の目をみひらいて駆けてゆく夢は邂逅すうつくしい馬


やさしさをあつめて君の手のひらにスノードームの粉雪の降る


君に会うために生まれてきたという光射す薔薇窓少女のねむり 
 ....
ある日窓から花を投げた
あのひとが受け取ってくちびるに寄せてから
あのひとが好きになった 恋をした
みずいろの花 むらさきの花 そしてあかい花
あのひとはすべて受け取ってそっと胸にしまった
 ....
 (雪降る時間 あのひとの指がきらりとひかる、
  わたしはくもりガラスの向こう側で)


あのひとを思うと 白い雪が降って、
わたしの肩にも髪にも舞い落ちる
そしてわたしは あのひとで ....
君は舟でわたしの岸に逢いにくる瞳のおくの蒼いみずうみ


思いだけが{ルビ水脈=みお}引いてゆく水の上恋すればただ紅葉はあかく


言葉さえさらわれてゆく風の街耳から耳へささやかれつつ
 ....
ね、といって目を閉じた
静かにその翼を閉じるように
ね、あなたの見る夢のなかに
白い鳥、翼をひろげて飛んでいった
その羽ばたきがかすか、耳もとにくちづける


ね、あなたは今も孤独なのだ ....
十月、黄昏
やさしい人の涙を僕は知らない
誰か呼んでいる (猫の仔のようにか細く)
振り向けば街をすり抜けいつかの風が吹く
頬に触れる、あのなつかしい指先で


   がまぶしくて目を閉 ....
海風にめくれる詩集さらさらと夕陽が射せば金が散る窓


夕立が過ぎて誰かを恋しがる覗く青空痛みにも似て


潮騒が胸裡に満ちてはなれない朝に夕べに打ち寄せる君


かなしみは魚のよう ....
雨のなかの馬
時間さえ檻のなかに閉じ込められる
そっと名前を呼んだ
季節が過ぎて青いさびしさが満ちてくる


後ろさえ振り向かず駆けていこうとする
雫のビーズをまき散らす夢よ
どうか名 ....
まっさらな春の手紙を開封す花びらこぼれていちめんの花


雨のように心は君をおぼえてるインクのにじみ幾度もなぞり


桜闇何を待ちわびあの日からかごめかごめの輪のなかにいる


雨で ....
山鳩の遠く鳴く朝
僕は旅に出る
心は遠く動いている
窓の向こう
あの坂を下った道に


風が梢をさやがせて
あれは空に向かって高鳴る心臓
緑の葉が一枚 また一枚
流されてゆく
風 ....
{ルビ弓弦=ゆづる}が啼いている
火と風の言葉で
戦いはもう終わったと
あのひとはもう帰って来ないと


裸足で駆けてゆく濡れた樹下闇
白い裳裾を引きずりながら
胸には冷たい雫が流れ込 ....
あの人は風だった
緑の髪をなびかせ瞳の奥に、あれは
夜明けの光をたたえて 水のようにやわらかい
あの人は風だった
わたしを見つめて笑う 流れる雲を空を映して


あの人は草だった
やさ ....
雨、雨、雨、やさしく閉じて透き通る春の惑いの Aquarium の


ふるえては芽生えるおもいこの胸のうすきガラスを風のララバイ


よんでいる心を奪い冬の鳥はるか Голос 遠くへど ....
あしたひらくドア、そして窓雪のごとこころに積もる言葉はありや


思い出すなつかしいうた冬の日のふいに飛び立つ鳥の似すがた


赤い実を痛みを噛んだくちびるを指でなぞれば遠い夕陽を

 ....
三月雨、が降る
ほろほろとこぼれて少女は涙する
はちみつ色の瞳を濡らし鼻筋を濡らし
ああけれど溶けてしまうから唇をきゅっと結ぶ


盛り上がる雫は春の水 それとも冬の水
少女に言葉はいら ....
たぶん、枯葉を踏んで
(小気味良いステップで)
たぶん、あなたの森を歩く


あなたの匂いがする森は
いつかどこかで歩いた道
頬を寄せると風が囁く


おはなしをしよう
ブランケ ....
青らむ、夏の
わたしの首すじ に
風がひそかな挨拶をおくる


揺れやまぬ草の穂先のいじらしさ
痺れた指でもてあそびながら
あなたのことをかんがえる


青らむ、人の
まなじりの ....
どこかで焚火が燃えている
誰もいないのに火の粉が爆ぜる
その色を知る事が出来ただろうか
その熱を感じる事が出来ただろうか


{引用=今しがた誰が手折ったのだろう
一輪の薔薇が土にまみれ ....
春の海をあげる
君にあげる
君がもう泣かなくていいように
手のひらで木もれ陽を集めたら
桜の花びらを浮かべよう


春の海をあげる
君にあげる
じっと見つめてくれたらそれでいい
そ ....
また春の風が
額を過ぎた
ふっと
潮の匂いがした
ような気がする


{引用=なつかしい声}

振り向くと
海がそこまで迫る
海は光る
反射して鏡のように


指を浸すと ....
君の目が欲しいんだただ春の日に
    やさしさなんて知らなくていい


叩くたたく野に打つ雨に踏みにじる
    花の弔いこのぴあのソロ


かなしみは街角で吹くシャボン玉
    ....
御機嫌いかが、と
埃っぽい風が吹く
どの窓にも猫が一匹いて
ぐりぐりした目玉でこちらを見ている


しっぽをくゆらすもの
ひげをぴんと張ったもの
前足を行儀よく並べて
あるいはつま先 ....
(夢を見た)


ひた、ひた、ひた、
静かな輪を描いて波紋が幾重にも広がる
光だけが生きているように満ちて来る
ひた、ひた、ひた、
夜の岸辺に足先を濡らして
何ものかが生まれるのを見て ....
夢の中で私たちは
幾度もくちづけを交わした
あなたの唇はいつも濡れていて
舌を入れると海の味がした
まるで水中深く落ちてゆく
立ち昇る泡が遠く遠く輪を描いて
はるかな岸辺へと


夢 ....
壮佑さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
アグネシュカ_夜明けの森- 石瀬琳々自由詩10*14-4-23
邂逅する夢- 石瀬琳々短歌3*14-3-19
花ぬすびと- 石瀬琳々自由詩12*14-2-19
手のひらの花、そしてあのひとの雪- 石瀬琳々自由詩9*14-1-22
岸辺にて- 石瀬琳々短歌4*13-12-12
白い鳥、飛んでいった- 石瀬琳々自由詩12*13-11-20
十月、黄昏- 石瀬琳々自由詩7*13-10-23
孤独の窓辺- 石瀬琳々短歌9*13-9-18
雨のなかの馬- 石瀬琳々自由詩18*13-7-18
手紙- 石瀬琳々短歌7*13-6-19
山鳩の遠く鳴く朝- 石瀬琳々自由詩12*13-5-22
馬酔木のうた- 石瀬琳々自由詩6*13-4-24
緑の人- 石瀬琳々自由詩16*12-7-19
プリズム- 石瀬琳々短歌8*12-6-14
あした- 石瀬琳々短歌6*12-3-15
三月雨- 石瀬琳々自由詩16*12-2-23
おはなし、森の- 石瀬琳々自由詩12*12-1-12
青らむ、- 石瀬琳々自由詩30*11-7-7
焚火- 石瀬琳々自由詩5*09-4-22
春の海を君に- 石瀬琳々自由詩8*09-4-9
海へ- 石瀬琳々自由詩19*09-4-2
春の日- 石瀬琳々短歌5*09-3-25
猫の町- 石瀬琳々自由詩8*09-3-4
夜の鳥- 石瀬琳々自由詩8*09-2-25
私たちは夢の中で- 石瀬琳々自由詩10*09-2-18

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