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下を向いて歩いていたら
電柱にぶつかった
下を向いていたのだから、あたりまえだ
ぶつかったところを触ったら
赤い血が指先についた
ひどくぶつかったのだから
血が出ても、あ ....
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている
(昼下がり)
子供たちがホースの水で虹をつくる
二階のベランダから身をのりだす猫
視線の先には鳥が羽をやすめている
建築現場では低いうな ....
もう
どうなってもいい
そう思ってすべてを投げ出して
捨てられるだけ捨てたはずなのに
どうしてこうしてまだ
立ち上がろうとする
背中に手をあてると
ごつごつとした
かたい骨の輪郭を
....
真昼の高架下
薄暗い小さなトンネル
壁面にスプレー缶で書かれた
HELP
よくあるいたずら書き
誰に向けられたわけでもない
行方を持たないメッセージ
どうせなら
HOPE
....
ある夜の夢の中
ぼくは一つの素晴らしい言葉を吹いた
それは宝石にたとえるならダイアモンドのようで
気分にたとえるならすがすがしい朝の目覚めで
まだ眠ってるどこかが新しく生まれたようだった
....
まだ五月
夏とよぶにはまだはやい
いったい何がはやいのだろうか
汗をながした数なのだろうか
暦の数字のことなのだろうか
はやる気持ちの焦りだろうか
けれどもう
それはもうそこ ....
ゆびさきで
おそるおそるふれた
ぎんいろのフルートにうつる
じぶんがはずかしくて
おと
おとをかなでるなんて
ぼくにはできないだろうとおもった
くちびるをあてても
....
蟻と会話をする少女といっても
それほど不思議な出来事ではない
むしろ日常の一部に自然と吸い込まれて
その自然ということにしっくりとくるのだった
その少女はサッカー部のマネージャーで
....
もうずいぶんとむかし
あなたはたしか
「砂漠のなかで金の粒をさがすようね」と言った
僕はそれはちょっと違うんじゃないかと言いそこねた
きれいな空をそのままうつしたような海の
ちょうど ....