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しどけない午睡から醒めやらぬ眠り姫は
一人寝の孤舟の岸辺で戦の終わる日を待ち続けて
夕陽をぼんやりと眺めていた
眺望のよい塔のうえに幽閉された魂は自分の捕虜としての価値も知らずに
幼い時に ....
耕運機のように
ゆっくりと掘り返し積み重ね進んでいれば
あなたが悲しいとき
ぼくも悲しみ
疲れ
あなたの思うぼくになれたのかも知れない
でもぼくは耕運機じゃなかった ....
月がパントマイムしている
小一時間の散歩
誰かが
今日は降ったり止んだりと
言っていたのに
そのままふらふらしてたら
どしゃぶりのずぶぬれ
雨がぱらぱら
なんてこたあないさと
ふんふん歩いてたら
....
君は僕に愛想を尽かした
もう連絡するなとはっきり言われた
僕の心は空っぽだ
空が青く映ってる
高い空は希望の色で
太陽はまるで金貨のようさ
こんなにきれいな世界にあなたがいない
一抹の寂 ....
風のつよい日
からだたちは直立してなびかない
たくさんの
「愛している」たちが汚れている
雑音に足を濡らして
からだたちはやっと
死ぬことにした
それでしか乾く術がないの ....
巨大な風車の影が
枯れた笹原と採石場と
牛舎の上を繰り返し通り過ぎて行く
くねくねと形を歪めながら
くねくねと
大地の歪みをなぞり
絶え間なく地を這う影は
まるでコトバ
人の心 ....
季節の足跡が白い凍土となり
剥がれた絵の具のように
海鳴りが景色に仕方なく張り付いている
此処には君はいない
それでも此処は君のいた場所
今日君はい ....
小学生ぐらいの子供に
軽くおっちゃんと呼ばれる
私は年齢的にも充分おっちゃんの部類に入るのだが
おっちゃんは元々から
そうプラモデルのように
細部に至るまで
おっち ....
いく度もあなたを忘れ
出会うたびに恋に落ちる
もう
もうあたらしく
忘れました
はやくわたしに出会ってください
海辺にひらいたからだが潮まみれになって
こまかい
こまかい傷をつくり ....
府中市立白糸台小学校
校庭の一隅には珍しく
二宮金次郎の銅像があり
{引用=刻苦勉励・立身出世de官僚の道}
総身黒ずんだ彼は
歩を運ぶ態勢で停まっておるので一見わかりづらいが
用心しいし ....
まっしろく
息を吐きながら
晴天の
した
軽く、
多くのものに
通過されながら
わたしは
光に
耳を
すます
たやすいものを
幾つも集めて
したしんで
....
{引用=――はるな「物語たち」に寄せて}
つめたい夜がやってきて
わたしの両手の爪を、一枚いちまい
丁寧にはいでいった
つめたい夜がやってきて
物語の ....
助手席専門家 御嬢様ではない
サイドミラーはテクマクマヤコン
太陽の光が一番美しく顔を映す
助手席専門家 顔写真つきの身分証明書がない
飲み物をたまにこぼす 運転者に文句は言わな ....
130312
厳しい経営の曲面を乗り越えられるか
「銚電のぬれ煎餅」(登録商標)で
やっと電車を走らせてきた
名物を焼いてやっと凌いでいたのに・・・
....
日が落ちたら
手をつないで出かけよう
この世のきれいなものはみんなだれかのもの
まだだれのものにもなっていない一日を
この世でいちばんさいしょにみて
それを宝物みたいに抱いて別れよう
....
遮断機が降りてじっと待つ
ここの踏切は駅の近くだから
電車はゆっくり通り過ぎるので
だいぶん待たされる
踏切の向こうにいる人もじっと待つ
がたんごとん
のろりそろり ....
そのあと
泣きながら話したこと
そのあと
青い空に憧れたこと
そのあと
たんぽぽの綿毛が優しかったこと
きみが傍にいたこと
本のあいだにしまい込んだきもちのこと
故郷という ....
本当に欲しい物を 手に入れる旅に出かけよう
必要な物だけ鞄につめこんで
きみは ひとり 旅に出る
大きな山脈も 美しい谷川の水も
たくさんのビルも 小さな村も
まるで どこかで見た景色
....
その何気ないひとことに
心は固まってしまった
季節は巡って
またバラの花が咲く頃
立ち止まって
うずくまっている間に
バラの季節は何度通り過ぎたのだろう
....
?
どこやらの詩人も嘆いていたが
愛は日々の暮らしにぶつかって
粉々にくだけ散るものなのか
唯物論者の群れに追い回されて
メッタ切りの憂き目に遭う運命なのか
....
回収する気のない伏線を張る
それはあなたの不在より
戻ってくる沈黙が
のしかかるあいだ
かくも連ねて
欲望のあいうえおの全貌から
「ん」でふんばってる「人」よ
みえる領域に
何云うつもりないなんて
何云 ....
{引用=
春は、阿修羅の使い
むごたらしく やすらかな眠りをさまたげる
*
誰もが
ぬくもりの休息の時に、永遠をしらず
蠢きだす
けし ....
破滅は
つねに
目の前にいる
破壊は
今にも
始まりつつある
奔流の
激しさにただ
立ちつくす
奔走の
道は一体
どこ行くか
脳波が
織り ....
一晩中明かりを灯した
商店街を
滑らかに自転車で走り抜けていくと
にょきにょき電信柱
わさわさ揺れる電線が
いつもより多い気がする
見上げれば
夜のお化粧をした女性たちが
ピチ ....
もうひとつの冬へ帰る
小鳥は脚に
小さな赤いリボンをつけて
少年の手を飛びたつ
椿の木から木蓮の木へ
ためらいもなく羽はうつり
空の色に
吸い込まれて消えた
手のひらに残る
....
めざしのような
ししゃものおなか眺めては
惚れたと思ったあの気持ち
いったいどこへやったのか
箸でみそ汁つついて探す
夕餉の残 ....
ざわつく風に
こみあげる嬉しさ
時間がのびるのびていく
意識がのびるのびていく
膨らむ予感がどこかで会えると
あなたの笑顔が浮かんで消えては
また浮かぶ
そし ....
意識の地中に
閉じ込められた想いは
言葉になることも許されず
凍てついた時間の底で
膝を抱え込んでいた
想い出したように吹く
溜息によく似た風を頼りに
出口を探したこともあったが ....
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