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夜明け前の契りに心がざわついている。
それぞれに瞳を持つ全身の細胞が私の眠りを妨げる。
これはいけない。
開いた目の奥で過去の夢を見てしまう。
見慣れた天井の染みが蜘蛛の巣に ....
止まない雨はない という嘘
明けない夜はない という嘘
努力は嘘をつかない という嘘
それらを嘘だと疑いもせず
気づくことすらもないとても幸福な人々と
地を這い嘘だと見抜き生きたまま死ん ....
輝きを忘れない
星は個性を表現する
心に明かりが欲しい時
独り星を見上げて
ロマンチックな明かり灯っていく
忘れてはいけない
純粋に感じる心
星が一瞬に思い出させる
心の動 ....
私が帰る家は、
ここではなくて冬にある。
冬の明け方近くに外に出ると、
街全体が私の家になる、
家には誰も乗っていない
ブランコがあり、
北風に吹かれて揺れている。
私は自販機で温かいコ ....
いてくださる
まだ松葉杖をついていらっしゃる
声なき声などない
その声がきこえる
こころを動かすことのないように
いてくださる
ぼくはがらくたかもしれない
....
僕が空に明るくなったのは
君のため、です
僕が
空に溺れてしまうのも
君のため、です
もしも
君のいない僕ならば
どれだけ不幸で
どれだけ幸福だったことでしょう
....
海に行きたい
夏の海に
あなたとの強い想い出の大抵は冬で
冴え渡る多摩の空の下から富士を望んだり
電車に揺られ詩的なものを探しに出たり
さよならを言えずに雑踏で握手を交わしたり
冷めな ....
あちこちに 弱音を吐いて歩く
だまりたい
自分の傷を みてみてって ひけらかす
だまりたい
大切な人との秘密も 口走ってしまう
だま ....
闇をのみこむものは
闇自身でも
ましてや光でもない
宇宙船テセウスは、いまも応答がなく
どこかの系に存在し、また別の彼方に向かっています
船内を這う、動脈(はいかん)
微かな明滅が ....
死者と語らうには、飲むことだ。
向かいの空席に
もう一つのお{ルビ猪口=ちょこ}を、置いて。
自分の頬が赤らむ頃に
あたかも体の透けた人がいるかのように
腹を割り、肝胆を晒すのだ。
....
言葉に質量があるかと問われれば
あるのかと問い返す。
あると仮定すれば、の話だが
その質量は意識と比例して膨張し
膨大なものとなり、ついには
意識の中枢に重くのし掛かる
言葉の中で ....
ひとの
内側をみていたはず、が
ふと気がつけば
己をみている
遥か
一等星に焦がれていたはず、が
暗がりに安堵している
いつのまに
わからない
未来に震えていたはず、 ....
月に秘密を
背中に夕焼けを映す
陰りそして唇
字を燃やす如月
・NEWDAYS
飛び降り
宙ぶらりんで嗅いだ春は
甘かったかな
苦かったな
コーヒーと海を混同したまま
電車はくさる肌の上を黙走していく
・ドーナツ
暴力 ....
ひだまりの
冬に
春をおもうのは
にんげんだから
そもそも猫は
冬という言葉の意味を知らないから
まるくなってねむるだけ
ふゆ、と呼べば
ニャッと短い返事をするのは
冬、と ....
「陰謀論」を発見する人
「陰謀論」を発信する人
「陰謀論」を流布する人
「陰謀論」を擁護する人
「陰謀論」を否定する人
「陰謀論」を拡散する人
「陰謀論」を検証する人
「陰謀論」を趣 ....
まばゆい光も届かない
みどりの風もそよがない
暗くて冷たい土の中
眠る一匹のへび
春の調べをなんときく
小鳥たちのさえずりか
隣で眠る種のうずきか ....
{引用=生きながらえて帰れば 非国民と呼ばれ
生きていたら 厄介者扱いされ
息をしていたら 珍しがられ
長生きをし過ぎると
見なくていいものまで見えてしまう
あなたの青春は何色 ....
真っ赤な嘘っぱちを
誰も見抜いてくれなかった
橙色の夕日にとろけそうな
もはや追う者もいなくなった
逃亡者の長過ぎる影
気味の悪い戯言を並べた
ノートの頁は哀しく黄ばんで
....
公園の雪やまを
手作りのコメ袋そりですべる
子どもたち
一年生か 幼稚園か
寒いも楽しい
声がひびく
日差しにきらめいて
晴れ間の青にとけてゆく
眺める距離は時間
心は容易 ....
とんち=を
きかせる気化せる音の
訪う扉にビラ貼りませ夜
おにがそとならふくがうち
幕の内なら俵に握れ
にぎりめしなら胡麻ふりかけて
飯ませ冷ませ 鬼の居ぬ間に
金棒金網金物問屋の
....
小学校入学するとき、文字を知らないわたくしに父が氏名だけはひらがなで読めるように教えてくれた。(ついでに、’を’も教えてくれた念の入れようだった。親は有り難いものだ。)
持ち物に名前を書いて、自分の ....
なんの魂胆かしらないけれど 鬼って悪い奴じゃなかったよ
たましいにも ふたつある魂と魄って書くんだって
どうやら 魂は精神を支えていて、魄は肉体を支えているらしいよ
どちらにも 鬼がいるよ ....
遥かに広がる大海原に自分の心を摺り寄せてみた。
波の揺らめきは私の魂の鼓動と相まって、
心地良くもあり、息苦しくもあり。
気がつくと私は泣いていた。
人はみな悲しみをその心の ....
冬が通りすがりに蜜柑をひとつ
窓辺へ置いてったようだ
不用意なこころはすぐ凍傷にかかってしまうから
ちょっとした季節の気遣いにも丁寧に礼を言おう
ざわざわとした毎日を蹴飛ばし
転がし ....
白い都会の硬い土塁の中
あなたが灯をかかげれば
わたしは虹を灯す
遙かなやまの森の中でも
あなたが歌えば
わたしもさえずる
海の彼方の小さな島で
あなたが跳ねれば
こころは ....
波に逆らい
櫂を失い
沖を漂う小舟
潮に流され
雨に打たれた
辿る術もない星に
影を照らす月
遠く雲は霞み
振り返れば七日目の陽が昇る
怨んでも
風は止まない
ここは深い海 ....
ビニールテントのテラスから遮断された人と人
店の中でこじれる男女の恋愛騒動が綺麗に片付くころ
会社のやり方が気に入らない中間管理職同士のマグカップは
同じ濃さの苦さで話をかき混ぜ 飲み干すこと ....
暁のうたたね 夢の中で泣いて
白くぼんやりした夜明けの部屋に
ムウドだけが薄く残っている
メランコリックな仕草で 髪をかきあげる
オルゴオルの上で踊る 白鳥が優雅に
ころんころん ....
「仕事、首になった」
今にも泣き出しそうな顔で、
「別れてもいいよ」と言ったきみ
半年探して やっと仕事が見つかったから
長い間 待たせてごめんねって
プロポーズさ ....
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