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憧れを追い駆ける時の虚しさ
その中でしか見つけられない{ルビ理由=わけ}を求めていること
いつからか
僕の片手には孔が開いていた
その寒さの中で屈まっている君よ
なんて空疎 ....
誰かが 私の家の
屋根裏部屋に上がって オナニーしている
階下には 小さな人形が
黒い大きな座椅子に 足を開げて 置いてある
その人が 上で 思春期をふるわせた声を漏らす度
....
石段に咲いた紫野草
苔に混じって隅に咲く
月光が飛沫とはしゃぐ
鯉が眠らず 水源はそそがれる
水滴の輝きが 近く遠い真夜中
カーテン越しに およぐため息
それは時を越え届く手紙
――封筒は茶色く変色して
だが土色の背中に亀裂が入るように
そうして新たな啓示を告げ知らせる妖精が
花弁のような華奢な翅にその霊妙を巡らせて
そよ風とワルツを踊りなが ....
公道から駐車場に車を入れる
「いらっしゃいませ」の声を聞き流して
雑誌架から適当に雑誌を抜き出し
窓際から店の中央へ視線を流して
空席を見付け 椅子を引いて座り込む
盆に水とおしぼりを持 ....
午前2時15分の約束
ふたりあわせて
むかって 踏切
合言葉は
透明な電車にかき消されました
音のしない午前2時40分
住宅街 青い月 砂浜
波の音だけ 鼓膜を撫でる ....
そのままでは
苦みが目立つだけ、だけど
他と交ざり合うことで
やわらかい香りの
洗練された甘みに
なる
涙もそうかしら
偽りもそうかしら
ため息もそうかしら
今す ....
きれいなことばの、
尖った先で
日常にいくつもの
穴をあける
風船のようにふくらんだ毎日から
すこしずつ
空気のようなものを抜くために
あらそいなんて
したくないから
....
夏は秋のように色が多くない
色褪せたような夏
爽やかという言葉が似合う
色が少なくても地味ではない
人々の心に印象づけるパワーがある
潮の香りが街を擽る
その擽ったさに耐えきれず
....
なにが入っていたのやら
わからないのだけれど
綺麗な包装紙や箱
おふくろが
いただきものの
高島屋なんかの包装紙なんぞを
ていねいに折ってあるものが
押し入れの隅からときどき ....
どこからともなく
ゆくえをさまたげようとする
いたみが
むねにひろがります
さいきんはもう
おくすることもなくなりました
ただずっとくもんするばかりではありますが
それをこまったなと ....
ぬけがらは
掌の不浄に砕かれやすい
ぬけがらも不浄も掌も
やがては土へ帰す
全くの異種
ぬけがらを砕く枝は
融合であり
ぬけがらを砕く雨風は
融合であり
ぬけがらを砕く掌 ....
あなたの熱が
愛情
なのか
義理
なのか
義務感
なのか
興味
なのか
など
など
探ってしまう深みで
選ぶ言葉
わたしにむけられた
言葉から
未来を
つく ....
柔らかい悲しみは 降り積もる
落ち葉に埋もれて 腐敗の暖かさに
林の樹木は無頓着に 日々を紡ぐ
自然な 季節の移ろいに 滑らかに
回転運動の 単調な繰り返しに
追随して耀く 儚く ....
道の向こう歩く君に手を振ったら人様の庭先で掴んだ柿の実が落ちたのは水面を覗き込む犬が餌をくわえた自分に吠える話に似てわんと鳴けと命令する君なぜか三度回って楽しそうだからもういいや一緒に笑うと月も笑った ....
美しい言葉を
うすぺらいと
思う人もいる
人の心や現実というものを
わかっちゃいないねと
笑う人もいる
そこへたどりつくまでの
流した涙を知らずに
美しい言葉を
幻想だと
突き返す ....
都会に降る雨は
ビルをぬらし
車の音をくぐもらせる
ビルに囲まれた後楽園を洗う
こぬか雨の中
大島紬に蛇の目の女がひとり
水田のほとりにたたずんで
周りのビルは雨に流れ
....
秋の香りが残り僅かなあなたを
連れていきました
どこか 遠くの あなたを
待つ女にはなれません
と
言い切る前に
お行儀の悪い左手が
わたしの頬をぶちます
秋はふざけた科白 ....
わたしはうばわれない
わたしの肉は獲物ではない
おとこの不満の
不安の
うらみのために
たちこめる灰けむりのなか
凍えた血が沈んでいく
打ち捨てられた ....
わたしの知らない
誰かの食事
わたしの知らない
誰かの寝息
そんなこと
知らないなら知らないで
なにひとつ困らない
そもそも
知らないことのほうが
はるかに多い
....
怪しい光を放つ満月の夜
踊る道化の子守唄
眠りなさい
眠りなさい
夢さえ見ずに
深い眠りの奥深く
真実の姿さらけ出し
噛み殺したような笑顔浮かべ
そろり
....
頭蓋骨にぽっかりと穴の空いた人は
心にもぽっかりと穴が空いたようで
表情は少ない。
手の震えは、脳味噌の痙攣で
その人の手の震えは、僕の心を痙攣させる
その人の無表情の時間は次第に長くな ....
銀色の飛沫をあげて僕の頭がスパークする。
それは一線を超えた幸福。
手の平から放たれた感情。
自分自身を取り戻す熱情。
七色の太陽。
夜空に煌くダイアモンド。
黄色い鳥達の声。
....
やさしいやわらかいものばかりに
ふれてしまっていると
ひりひり、ひり
としたいたみのあるものをだきしめたくなる
ふあんやあんしんやそういった
ことにかんけいするのかもしれない
....
駐車場に車を止めて目をやると
2階の窓が明るい
携帯で電話
これからすることがあるので
今日はちょっと
すぐに窓は黒くフェイドアウト
駐車場に取 ....
誰かが外から力をねじ込んだ
固く ギリ ギリ と
{ルビ蜷局=とぐろ}を巻いて震える はらわた
突き上げるような衝動!
目を見開き
歯をむき出して
喧しくシンバルを鳴らし
── 鳴らし ....
なぐさめられたままの足跡が
振り返られたことのない過去に
何事も言わぬままに付き添っている
その音だけに人々は聴き惚れている
何かあれば裏切られたと言う 何もなくても自 ....
もうそろそろだと
祖母は言う
おかいこさんのからだが透けはじめると
そのうち糸をはきだして
楕円のおうちで
別者に生まれ変わるのだと
その不思議な虫は
一日中
桑の葉を食べている ....
あまりに大きな世界の
ほんのひと粒ずつにすぎない実りは
そのささやかな色づきに
すべてを聞き取り
すべてを見届けたつもりで
素描します
そして素描は
素描の域を出ないのです
....
台風一過
雲一つない青空
仰観すれば…
あれっ蜘蛛一匹
秋なかば
部屋を覗くお日様
そして
スパイ ダー
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