すべてのおすすめ
葉は寄り 毛の尾に嗅がれる
伏せる喉 痩せた土 はぎ
噛みすする 親不知
木の根に うずくまり
こごと と舐める
石の蜜
ひねくれて咲いた花は
つまらない冗談を浴び
触れない風潮にそよぎ
良く肥えた嘘に根を張った
罌粟より見開いて
月よりもあぶなくて
桃よりも貪欲で
嘘のようにやわらかい
....
上り坂が続く
坂道が
「ごめんね、坂道で」
という
ギアなんてついてない
ママチャリですので
傾斜が上がるたびに
スピードが落ちていく
ペダルが
どんどん重くなる
後悔が
....
笑ったり
泣いたり
怒ったり
誰かを好きになったり
嫌いになったり
妬んだり
悔いたり
スポンジのように
生きている
疲れ過ぎてしまった時は
ぎゅっと
ねじれて
小さく ....
どこまでも拡がる宇宙の果てから
針のその先のずっと奥までが見通せる眼がほしい
火や水や風
どんな重力にも耐えてゆける変わらない筋肉と骨
未知の細菌には負けない内臓器官
見えない放射 ....
男たちに
愛していると言うと
とたんにやせ細ってしまい
女たちに
愛していると囁けば
とたんに膨れ上がる
鏡にむかって
愛しているとつぶやいて見たら
鏡は粉々にわれてしまっ ....
春の音がする
表通りを過ぎる車の音
自転車のベル
子どもの笑い声
前景の音が滲んで柔らかく
遠くの音がよく聞こえる
カシャーン、カシャーン
どこかで鉄骨を打つ重機
パタパタパタ…
小 ....
あるひめざめたら
さびしいにんげんが
さびしいにんげんのあしを
ひっぱっていた
高級なこどくが秤にのって
じぶんの重さをはかっていた
うしろすがたをみるとかみさまだった
あるひめ ....
新聞紙の同じページに
震災への追悼が行われた事と
つい先日 襲撃された
日本大使館などの記事がのっている
犯人グループ 36人の死による鎮圧
犠牲者 11人 中に 民間人も含むらしい
....
焼夷弾爆撃によりアメリカは10万匹の天使つくった /
「君だけを幸せにする! お返事を待っています♪」とメール爆撃 /
繰り返し画面に映る商品は眼から脳への爆撃である /
爆撃機ふたつ購入 ....
世界の最果ての部屋で
無音のテレビが瞬いた
鬼が私を探しに来る
緋色に染まった夜の海から
シルクの魚雷に跨って
鳥は巣で寝返りを打ち
子供は母に抱かれて眠る
夜の付き添いに疲れて
人気のない待合室の
ソファでうつらうつら
窓際に置かれた
ヒヤシンスの根が
くねくねと
夢の中まで伸びてくる
先端の脈動に
病院のすべての機器が
....
君のために雨のなか
スーパーへ水菜を買いに行った
料理用の鋏を入れて
細い翡翠色のくきも緑の葉も
みんなガラス容器にあけて
たったそれだけのサラダ
台所には オリーブオイルしか
ないよ
....
青い瞳の中に
沈みかかる方舟
手を振れば
手を振り返す
遥か彼方から
震えた体を
異人の言葉が抱きしめてくる
温め合う心と心
黒い瞳の中から
ありったけのサンキューを
....
春だね
言の葉も芽吹く 春だね
口元の
笑うたびに開く傷跡を
春だねって
嬉しそうに
血のあとをこすりながら。
重たいシャツを脱ぎ捨てて
ぬるい水の中へ
ふと思い出したように
墜落 ....
揺れながら
曖昧な記憶
鞄の中にもないのでポケットに手を入れる
鉛筆を落としたらしい
グチュリと音が響く
電車のなかで落花生を踏みつぶしてしまった
席が二つ空いていた
酒臭いお ....
きゅうりに背骨は
ないけれど
きみの背骨は
きゅうりの味が ....
納屋は鉢植えの葉っぱが判別もできないほど、伸び放題の雑草に囲まれていた
やわらかな西日が微かに反射するプリズム
曇った硝子の汚れを異物に浮かび上がらせて、枯れた観葉植物の茎根が足元に絡み付く
....
{画像=080302220223.jpg}
おいらは鈎にぶらさがったあんこうさ
口からいっぱい水を呑まされて
ぶらさげられて
身を削ぎ落とされる
皮も
鰭も
胃も
腸も
....
眠る前に まじないを 眠る前に カフェインを
呟いたとしても まじないを
ごくり と飲んだとしても カフェインを
影響など されない 隙間だらけの 想いまつげ
働き者の蟻さんが入れ ....
生きてゆくちからが 愛するちからがいまもあるならば
笑い転げたあのジョ−クを 思い出してよ
僕の最初のまちがいは 生まれたことだってね
いちばん不幸なのは 君と一瞬も離れることができないこと ....
四月病ってあるらしい
さりとて年度替りの初々しい賑わいとは
とうに縁遠くなっているのだから
花散らしの雨もあがり葉桜と化した桜並木を
これでよいのだと独りごちながら歩む
※
....
メディア主体の生き様に、突然やって来てもらっても困る
しかし準備はまだ一向に整ってはいない
限りない人類の欲望に、どうやら死神様は理由が付くほど忙しいらしい
死ななければならないはずのおとこ ....
音もなく流れる疎水路に
しだれる桜
雨が降り風が吹き
もう間もなく散っていく
音もなく流れる桜の花びら
ゆっくりゆっくり流れてゆくから
一枚一枚数えながら
スローモーションの ....
彼はハトムネを二羽飼っています
以前彼はハトの形をした
クッキーを作る工場で働いていました
或る日彼は眠くてたまらずたまらず
たくさんのハトの形をしたクッキーが流れる
ベルトコンベアーに ....
毛布の中で
顔をうずめた
汗と熱のこもっ ....
白いものがまじってさ
だんだんそれが増えてきて
やがてまっ白になるまで
きみを見ていた ....
インターホンの向こう
奥さんの返答が聞き取れなくなる
営業妨害の嫌なサイレンだ
気がつけば風にのって煙の臭いが満ちてくる
ますますサイレンが近づいて来た
火事だ!
道路向か ....
薄い月明かりと静寂の夜
シーツの海に 揺らぐ
僕だけが知ってる 露われる姿態を
美しい と抱き締めてあげる
呼吸の心配は要らない
僕の酸素をあげる
脚なんて絡みとるか ....
スコップの目覚まし時計
雪が情熱で溶けるのは冬
つける薬を 欲しがるのは春
わびる氷 くびれ揺れる水のフレア
に 後ろ手で そくっと映し見る
白く なだけはなれなかった
夜 ....
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