すべてのおすすめ
「明日」
ATMから引き出そうとしたら
お客様の明日は残高不足です とアナウンス
借金ばかりの恋で底を着いたのか
利子もあの子ももう赤字になって去っていく
振り返るのは嫌いだが
この ....
生きる意味をもうこれ以上考えずに 生きていたい
荒野に佇む私でいたい 大自然の一部を身に染み込ませたい
文明の方向を確かめたのか 進化を時間任せにしていないか
電波たちが各々の魂を操ろう ....
死んだような人よ
始発の電車で何処へ帰る
死んだような人よ
心は故郷か家に置き去りだ
死んだような人よ
あなたを愛する人を裏切った朝
あなたはその体を抱え何処へ帰る
あなたの ....
重苦しさは蒸発しない空気のせいだろう
冷めた首筋の脈を促す気配に、昼と夜の違いなんて在りもしない
「凶器を手にしたまま祈る人間は信じない」
彼は地と空へ向けて強く言い放った
引力から ....
毛が濃い
け‐がこい[怪囲い] 北陸地方に伝わる、悪霊や妖怪のたぐいを封じるまじない。{ルビ紙垂=しで}を連ねたものや消石灰、小麦粉、片栗粉、米粉または春雨、
ビーフンなど、とにかく白っぽい ....
本日をもって閉店させていただきます
うちから徒歩一分の
スーパーマーケットが何十年かの幕を閉じた
棚はがらがら
生鮮食品とお惣菜ぐらいがあるだけなのに
人が溢れてうねりうねって彷徨っ ....
つまらない話が
車窓のそばをながれてゆく
それは電柱に引っ掛かりしばし風に耐え
けっきょくは置きざりにされてしまう
きみの
うすく濡れたくちびるに
ポテ ....
夜空の星を撃ち落し
野に転がった光の匂いを
猟犬の鼻に辿らせた
茂みに瞬く星明りは
拾い上げても尚
掌に小さかった
なぜならそれは
潰えかけた
希望だったから ....
ほとり 泉に 群れ 飛ぶ月の 彼方
行方 揺れる しぶき ふける 風に
釣り込まれる 草葉 影音 臥せ 夜
咲いて 咲いて 残す ひき むろ
小石に かせ 花に かせぬ 夢土
....
{引用=
山色も褪せる
賽の河原とよぶ 山の端に
鬼がいっぴき 住んでおった
大酒喰らいの 赤鬼
人に化けては 濁酒を飲みにくる
細かなことには、気が向かぬのか
角を 忘れて ....
針を手にした(無心の手)は
今日も、布地を進みゆく
長い間歩いて来た
あなたと僕の足跡は、あの日
{ルビ布巾=ふきん}の遠い両端から始まり
それぞれに縫われる糸のように
....
窓の外の遠くには
丘に建つ一軒の家があり
四つの窓が
目鼻のように開いている
□
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□
あ、窓から子供が顔を出して緑の風に{ルビ靡 ....
あおじろい腹をうかべて魚たちが浮んでいる浮んでいる水
を引いた稲の緑が斑に褪せる褪せた色
の壁に凭れる男が胃の中のものを吐き吐き
捨てられた理想は街中に小高く積まれる
美しい世界で生き ....
ぱたぱたとひるがえるちいさな二足のズック靴
幼稚園への近道で
つないでいた手を離し
走ってもいいよというと
かならず笑い声をあげながら
細い坂道を駆け下りていった
その弾む後ろ姿を
おぼ ....
鼓膜を震わす太鼓のリズム
笛の音は多くの人が吹いている
外に出てみると前の道路を鼓笛隊が練り歩いている
子供ばかりが所在なく雑多な感じ
兜を被った大人たちもなんだかなぁの雰囲気
だけれども毎 ....
口笛が苦手だった
草笛はもっとダメだった
シロツメクサの冠も
首飾りも夢で終わった
風がみてたそんな時代
いまは遠くわたしが望む
たぶん背丈は六歳の頃
レンゲソウが頷いていた
....
LEDがかなしい
白熱球がなつかしい
かつては手許の60Wが
わたしの世界の太陽だった
壊れて久しいエスプレッソマシン
夜にはしらふで眠らなくっちゃ
憧れていたジッポーは
あまりに手 ....
風ってどんなだったか
無風のなかでわからない
こんな日々はいつまで
たずね宛て先不明のままで
前略、あなたへ
…草々、ごめんなさい
もらったもの活かせない
ごめんなさいごめんなさい
....
白いアスファルトの上を
やわらかい風が渡り
ときおり小鳥の影がすべる
小川の水がきらきらと光る
草が光を透かしながら揺れ
はだかのどろの木も白く芽吹き
細い枝々が一心に空に手をのばす
私 ....
五月の雪の木曜日
あの子はステージで裸になった
次の日には祝いにまつわる詩を書いて
大絶賛を受けたあと欄干から足をすべらせて死んだ
ま新しい五月晴れの朝に
いつもより少しだけ多く ....
新緑
けやきの葉は太陽の陽をとらえきれず あたりを染める
ゆっくりと濃くなり
また 薄く変わって
芽吹きの痛みは 遠い記憶
君よ
新緑の明日を 君の森を走って行け
踏み出した ....
かちかちと歯を鳴らす音で目が覚める
なにか美味しいものを食べていた
食べても食べても太らない
溢れる色の塊
輪郭はおぼろげだが
齧ると硬くて脆いその不思議な感覚が
....
完全な(完璧な)現実がどれほど人を蝕むのかを測る方法を知り得たなら
「この漫然とした日々から解放されるんじゃないか」って思ったんだ
未熟な(不全な)理想がどれほど人を蝕むのかを測る方法を知り得 ....
なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その ....
嘘を百回繰り返してみても
それは本当にはならない
醜い自分を
美しい言葉で飾ったところで
鏡に映る本質は変わらない
皮膚の下に埋まった弾丸を
取り出して ....
目玉焼きの黄身が箸から崩れ落ち
食卓からも外れて床に落ち
砕け散った
バラバラのきみを
拾い集めては捨て
床の汚れを拭い取る
そして再び橋に向い
目玉の白目だけを食べ終わると
味気ない ....
後悔しない生きかたを選んで後悔している
ぼくはまだそれを途中だと思い
あなたはそれを
途中ではなく逡巡と受け取っていた
自然にまかせることができなかった
ぼくは不要だった
死を想ったら
もうなじんでい ....
切れ切れの
ビブラートが
君の内側に吹く
風の形を囁いた
痛みのような
ブレスが
君の内側を巡る
水の温度を呟いた
耳ではなく
皮膚の下の
毛細血管の先端で
僕はそれ ....
娘の担任の先生から突然メールが届く
件名は娘の名前
かすかな心臓の高鳴りを覚えながら
本文を開ける
文字が目に飛び込んでくる
“She had an accident!”
アクシデント!? ....
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