抱き合うより
見つめ合いたい
そんなお年ごろ
夢とか希望って軽々しく口にしてはいけないよね
これでも恋わずらいなんだろうか
鬱陶しさに心は暗く沈んでしまっているけど
なんだか身体は心模様とはうらはらに
不思議と元気みなぎっている
....
雨ってやつは
悲しくもない 涙みたいだ
くたびれた革靴の つま先から
じわじわと 染み込んでくる
晩秋の雫
子供の頃は 雨に酔った
そのどこか 厳とした冷たさに
突然景色がうつ ....
最愛を通訳する者よ
ぼくは今からここを出る
999が旅立つように
ぼくは傍観者であり冒険家だ
目と手と足で告白する者だ
海底に連なる群れよ
そこに加わり
ゆっくりはぐれよう
最愛を ....
言葉の意味を知らないこどもは
オウム返しに使うという
切ない気持ちになったとき
切ない切ないと言い続ければ
あなたは手を添えてくれるだろうか
急ぎ足の大通り
向かう先はどこなのだろ ....
同じ種類だから 問題無いだろう、と
缶と瓶の中身を 氷で溶かして 混ぜ合わせた
ずっと 呑みたかったんだ
だけど 外出する元気なんて
持ち合わせてなかったからサ
きゅっ と 絞ってみ ....
ほいと 見知らぬ人から
土のついた球根をもらった夜
その人の 笑顔が こだわりのなさが
他人の私に わたされた 球根が
わたしの夜を あたためる
昼間と違い雨が降 ....
もうぼくは
払いますよ
ママのまくらも
おいてきた
耳のおくにはほこりが詰まっているんだ
お札を数え
ボタンをつまみ
丸まった伝票には
国の宝が
船にのりたいか
赤い傘を彼女の隣りで差す男。
かわいい彼女に良く似合う。
散った彼岸花の傍を走る僕。
秋の細い雨が良く似合う。
嘆きを海に投げかけてみた
試練の波が激しく返り
嗚咽をあげた私に
百雷の海鳴りが
怒涛のように
私に叱咤激励を置いていった
吸い込んだ息を見えないまま吐き出した
手をかけられてはふくらみ
手をかけられては萎む
ひとは風船のようなもの
宇宙服を着ている
砂漠のどこかを歩いている
汗は服の中にたまり
暑さは極度の疲労をうむ
ぼくはもうだめだ
先に行っておくれ
彼女は何も言わずに手を差し伸べる
....
移動は主に徒歩 もしくはバス
もしくは自転車
あまねく地上を忙しく移動しながら
伝言を残すのが魔女の仕事
図書館の本にメモを挟む
(決してページに書き込んではいけない)
日記に連絡帳、職場 ....
世界は認識の中にある
平面に沿ったGのみの世界
天井が眼下に
床が頭上に
滑り落ちながら
眼下に床が
離れた鉄棒の上から
回転しながら上昇し
そのまま落下する
視点から眺める部屋 ....
カラフルな電気の粉をすいこんでヴァーチャれデジタれエレクトリカれ
流星を見送るきみの部屋の前に信号機いっこ盗んできて立てたい
遠い国の禁煙区域に葉巻型のミサイルが落ちたニュースを見ている
....
座右の銘 唯我独尊傍若無人 登場曲はダースベーダー
やべ、バレた!緊急避難! 階段を上る足音ティラノサウルス
「コンビニに今行きたいでしょ? 今、すぐに。プリン食べたいな。10分内に」 ....
ゆうちゃんは無口な転校生だった
四年生の春に
ぼくのクラスにやってきた
ゆうちゃんと、ぼくは
なぜか気があって放課後はいつも一緒にあそんだ
がっこうは友だちできへんからきらいや。
....
空
抜けるような
青いうしろめたさを
雲
ぽっかり浮かんだ
白い嘘でなぞって
花
可憐な
ピンクのあてどなさを
葉
みずみずしい
緑のお節介が抱き ....
いま、立方体の中で手足を折り曲げている
きっちり蓋を閉めて 一分の隙もないように
それでもはみ出しまう「私」が漏れ出て
側面を綴りながら、ゆっくり滴っていく
シジン、と名乗っているうち ....
育てる
花を育てる
愛しい我が子を抱くように
育てる
花を育てる
我が子の明日を夢見るように
※
よく見かけるひと
花電車の通う線路脇で季節の花を育てるひと ....
ひとりより ふたりのあさが あったのに ふたりのほうが こどくだなんて
秋晴れが 心の隅まで 照らし出す なにもない部屋 太陽のにおい
降り止まぬ 秋の長雨 涙との 果てないときは いつ尽 ....
生ハムのあぶらのようにこびりつく濁る合図とするどい刃物
明日にはしなびる青の予感抱き ちんげんさいとふたりでキッチン
百万の蛙と同じ数だけの忍者がいると思えば楽しい
この夜の全ての書肆の灯りをも狂って吹き消す風のいじわる
大輪のひまわり折れているばかりこの世の息をあの世でも吸え
舞殿で無心におどる鬼 ....
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迷ってばかりではないんだよ
ゆっくり歩いて来たんだ
途中に声を掛けてくる者もいたけど
脇目も振らず歩いて来たよ
....
黒髪の細さで結ぶ約束を、交わした朝はいっそう綺麗
秋の背にさしのべられた手のひらの、影のあやとり、きみの遠さよ
三角の星座みたいに膝をおる、夜に流れた祈りのほうへ
八時九時十時になつても帰らない我が家の猫は時計を持たぬ
壊されたサドルに跨り坂下る秋晴れの下死相が出てゐる
0.はじめに
例えば外を歩くという行為を考えてみよう。その際私は歩く場所として歩道を選択し、車道は歩かないだろう。そのとき、歩き方は「人間は歩道を歩くべきだ」という一定の社会的な規範に従ってい ....
A
枯れ葉が 裏も表も見せながら落ちて
そのうち葉脈だけになり
葉脈の下では 貴族のようなおももちで
うずくまっている それは わたし
B
独りきりの夜 ちいさく もりの ....
透き通ったグラスに
白く砕けた貝殻を入れる
カラカラと乾いた音が
私の耳を潤す
グラスに耳を当てれば
澄んだ音色が
脳天から足の爪先まで
私の体を支配する
あなたは恥ず ....
カーテンの陰に隠れたゴブリンを一度見たと云ふのんきな妹
口の中飴転がしては運命の出会ひを望むチェルシーの男
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