何かを言おうとしたまま
羽蟻に覆われて行く 月

寝苦しい夜の何処からか
微かに   悪寒が流れ
顔を隠した二人の忘却が
そっと  水浴びをする

乳房のように膨らんだ闇 
白い 流 ....
うなじに貼りつく蝉の声を
拭ったハンカチの上に


炎天下の用水路に浸した
素足のこそばゆさを重ねて


最後の線香花火が消えた後の
かすれた火薬の匂いの上に


水着の跡 ....
おひさまに干されたふとんは
懐かしい匂いがする

平屋建ての木造家屋
屋根より高く育ったヒマワリ
リュウノヒゲにふちどられた細い通路
赤いバラのアーチでは
テントウムシがアブラムシを食べ ....
ウェルテルの背中が小さくなっていく
愛せなくなることに怯えて
幾度と無く人は追い求めて

人は空を捨てきれず
荒れ野の空を
靴も履かずに
裸足で駆け抜けて

心の空が
家族の溜息を ....
僕の冷蔵庫ではつぎつぎとものが腐ってゆく
賞味期限は半月前は当たり前野菜は黴としなびで
使い切れないぞ独身奇族

そこで整理もかねて古い野菜をかたっぱしから検閲し
余命少ないあるいはアンチエ ....
電話を待っている

便利になったものだ
子機を取りにいかなくても

いつも電話はかたわらにある

包み込むような
文学的文章を書く人は
どんな声をしているのだろう

そう思いなが ....
夏という透明な雫
空の匂いーーー光の中で
あなたはいた
少女は往年の片時を忘れず
中年は幼時の微笑みを忘れて
時は進む
「ガラスは砕かれた玻璃の名残りだ」と
誰かが言う
その言葉は乾い ....
みな
人の後ろを歩いている
いい人の
悪い人の
普通の人の

空から見たら
変わらない人となって

見られたい
ようには見られず

ひと固まりの雲が浮かんでる
まるで人の群れ ....
{画像=120705001029.jpg}



小さい頃の僕は
捜している物はいつも
手の届くところにあって
幸せだった


それが一段背が伸びた頃から
少しづつ遠くなった で ....
向き合った途端、一瞬たじろいでしまった
あまりにも真っ直ぐに見つめられて
ファインダー越しに覗いた
淡いピンクの大輪


千重咲きの奥に守られている花芯は
何か語りた気に
唇をうすくほ ....
雨の糸
紡いで布を織る

星の子
風邪を引かぬように

七夕
願い事を書いた短冊

白紙の未来
ペン先がじっとみつめている

願い事
人の数だけあるのだろうけど
根っこのと ....
「怒」


怒れ
とりあえず怒れ

開けろ
風穴を開けろ

亀裂でもいい
そこから侵入しろ

浸透でもいい
じっとり考えながら浸透しろ

正義ではない
生活だ

 ....
夕べ僕はかわいい嫁さんをつかまえるために落とし穴をほっていたが
落ちていたのは中年の酔っ払いだったのでそのまま埋めてしまった
週刊誌の運勢をみたらあまりに悲惨なので世の中を憎んでいた

退屈で ....
蒸した天の羽衣
多数のビーナスに同時に咎められた
幼稚なポエムではイカないわ

「快楽はイコールで正義ではない。」
少年が 見た 擦った 常識よ!

誘惑へ進む
非常に蒸す夜
(ナイ ....
顔立ちは
可愛かったり
するけれど
よく見りゃひげが
砲丸選手





天国の
ゲートをくぐる
練習か
市民公園
平日の朝




藍ちゃんの
揺れるバストに ....
抱き寄せるために
回した左手が
肩に届かず
女子自由形




中国の
重量級に
押さえられ
抵抗できず
もう好きにして




鬼太郎と
ねずみ男が
ラリーする ....
たいふういっか

台風一家だと
思い込んでいた頃

台風が去った朝
通学路には
一家が遊んだあとが
残されていた
なぎ倒された空き地の草
折られた柿の枝
おしゃかになった傘
 ....
トラックのエレメントとオイル交換をしてもらう
33万キロも大地をかけぬけた偉大なポンコツだ
いきつけのスタンドの早川さんとちょいしもねたジョークで
あいさつして笑いあう

こんな日常もいいか ....
雨の日は
透明傘がいい
値段の気安さがいい
ドームの曲線を
雨が流れていくのを見るのは
誰かが
泣いているのを
見ているようで
そんな後ろめたさもいい
そういえば女優でもないのに
 ....
地面に
言い聞かせるように
雨が降り続く

無色の
絶え間ない呪文が
街を塗り潰す

紫陽花は
すべてを受け止めようとして
雨雲を黙読し

雨傘は
すべてを受け流そうとし ....
今日もあせをかいて老母と
子供たちと彼女のあしたのかてを用意する
支払いが間に合わないことなんてたいしたことじゃないさ

金星はゆうゆうと太陽面を通過して
菊地直子もつかまった
消費税も上 ....
明けない夜はないが
晴れない朝はある
止まない雨はないが
笑えない昼はある
暮れない一日はないが
つれない人はいる

そして夜
幾つもの夜を耐えて
人は強くなると言うが
ちびち ....
おじいちゃんと森で薪を拾う
僕が手当たりしだいに
背負子に放りこんでいると
そいつはまだ早いと言う

幹を離れてまもない小枝は
水分を含んで
みずみずしい
生木の範疇を出ないものは
 ....
雛は鳴いて 朝露流れる 雲白く
つたのからまる古木 陽が射し
巣穴からのぞく 黄緑の小鳥

アイビーの葉陰をすりぬけ
近くの木にとまる
尾をうちふり チチチッ

おはよう ナギ

 ....
あまぐも

垂れ下がる昼下がり

うっかり爪を引っかけたら
鈍痛を引き寄せてしまいそうな



あまがさ

濡れた匂いは嫌い

美味しくない想い出と憂鬱が
しつこ ....
かたつむりがね
いないとさみしいよね
木の葉の影の雨宿り
でもね
木のてっぺんにもいるんだよ
きっとね
だって だって
ひなたぼっこしたいから


アリさんがね
いないとさみしい ....
愛するものに あらんかぎりの表現をあたえるために
図書館はある

道の途中で
トンビがピープルって 巻き舌ぎみに 私を呼ぶ


鳥に言われるまでもなく 私は人間さ
書物のよさ ....
芝桜夢に似た世界作り出すあなたと二人未来を歩く

帰り道仕事疲れで重くなるチューリップ色の君に逢いたい

複雑な迷路のような生き方は陽射し入らない孤独な日陰

好きだから「好き」と素 ....
  ねえ
  これが、
  産まれたての時間。
  そう言いながら少女が
  綿飴をひとつ、ぼくにくれた



  まぶしい屋台の{ルビ犇=ひし}めき合う
  貧しげな七月の ....
一日の終わりに
脱いだ
ぬけがらが
いくつか並んでいる

命がけで
脱いだわりに
その佇まいは
くしゃみ
ひとつほどの
可笑しさを漂わせている

上手に脱いだ
ぬけがらは
 ....
生田 稔さんのおすすめリスト(2176)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冷熱帯夜- ただのみ ...自由詩21*12-8-5
盛夏- nonya自由詩18*12-8-4
黄昏待ち- そらの珊 ...自由詩2312-8-4
それでも人は空を飛びたいか- subaru★自由詩18*12-8-3
怪しい料理教室- 梅昆布茶自由詩2012-8-3
着信- 森の猫自由詩17*12-8-2
夏の匂い- yamadahifumi自由詩612-7-9
雲の行列- 朧月自由詩512-7-9
想像の手を伸ばして_/_ _それは繋がって行く- beebee自由詩29*12-7-4
乙女椿- 渡 ひろ ...自由詩24*12-7-2
ささやさや- そらの珊 ...自由詩24*12-7-2
刹那的発泡詩_<_2_>- nonya自由詩22*12-7-1
夕べ僕は落とし穴を掘っていた- 梅昆布茶自由詩19+12-6-29
非常に蒸す- オジマノ ...自由詩3*12-6-27
スポーツ短歌2- 花形新次短歌2*12-6-25
スポーツ短歌1- 花形新次短歌3*12-6-24
台風のあとで- そらの珊 ...自由詩3012-6-20
古書店- 梅昆布茶自由詩20*12-6-14
雨の日は- そらの珊 ...自由詩1912-6-12
梅雨- nonya自由詩30*12-6-10
夕餉- 梅昆布茶自由詩2512-6-7
ルフラン- nonya自由詩25*12-6-5
小さな森- そらの珊 ...自由詩2512-6-4
ヒキナギ乞う唄- 砂木自由詩22+*12-6-3
あまがみ- nonya自由詩20*12-6-3
きっとね_2011- たま自由詩26*12-6-2
難破する図書館- るるりら自由詩31*12-5-25
未来を歩く- 夏川ゆう短歌212-5-21
綿飴- 草野春心自由詩19*12-5-20
ぬけがら- そらの珊 ...自由詩20*12-5-18

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