黒い火薬に火をつけて
炎の色をさらさらと崩しながら
風に流したの

風があるから
ほんとにきれいなのよ




教室の窓から腕を伸ばすと
煙の瞼を閉じて龍は
嬉 ....
中学校の2年だったよね
はじめて、君にあったの
覚えてる?

あたらしい教室に入ったとたん
笑顔に出会ったんだ。
大きな瞳のショートカット
小さな華奢な体
が、きらきら
プロミネンス ....
森林の中
ひっそり潜む
小さな月


あさい眠りの
はざ間を泳ぐ
黒い魚影が


ゆらり と
身体をしならせ
ついばんでいく


冷たい魚の接吻に
吸いとられていく
 ....
だいじなおはなしをした日のこと
ふたりで寝転んで 思い出話をした

ひまわり色のミルクポットを知っている?
かぶりをふったあなたにおはなししてあげた

ある魔法使いが 乳絞りの女の子をミル ....
潜り込めこの家に
この家に潜り込め

何故かって


遺伝子の記憶
羊水の細波、
原初の叫び
意識の拡張。




潜り潜り潜り潜り込め
この家に。

何故かって、
 ....
小さな箱の底に僕はいるよ
産まれてきたのに
キミは要らないと言って
冷たい底に僕を置いて
軽く頭を撫でて
遠くへ行ってしまったんだ

どうしてかな
僕は知らない世界に独り
聞いた事に ....
美術館前の石畳は冷たい雨に濡れ
慌てて開く折り畳み傘は
夢のなかから引き摺りだされたのを
ごねてでもいるのか
機嫌の悪さを隠そうともせず

冷えたこころをあたためてくれた
あなたの背中が ....
去年の今日。
2006年の10月26日 昼過ぎに、祖父が他界しました。
祖父が亡くなって、ちょうど一年になります。

祖父が亡くなったとき大阪にいました。
知らせを受けて、
すぐ帰ったので ....
同じ言葉に

たどり着いてしまうにしても

過程というものは

それなりに 大事で

最初から バカ正直に

その言葉だけを

抱え込んで

たどりついてはいない

言 ....
棚の上に置かれた 
小さい額の中は 
去年の祖父の墓参り   

過ぎた日の 
こころの{ルビ咎=とが}を忘れたように 
墓前で桜吹雪につつまれ 
にっこり並ぶ 
母と祖母 

雲 ....
バス停の近くで生まれ
バスを見て育った
バスを見ていないときは
他のものを見て過ごした
見たいものも
見たくないものもあった
初めての乗り物もバスだった
お気に入りのポシェットを持って
 ....
サイレンがゆく
都会ではあたりまえの
田舎ではとてもめずらしい
いのちに象があるならこの音だろうか
いのちが鐘の音であった昔のもっと前から
一羽がはばたいてあとはただ盛り上がるだけの鳩の ....
キミの笑いのツボがわかるスキャナーが欲しいな
何をどう喜ぶのか探すには時間もかかるし

   キミの誕生日が だんだん近づいてくる
   どんなプレゼントが キミの心をつかめるの


 ....
きみがまだ制服だった頃
わたしも同じく包まれる身で
あの毎日が示した未来は
いまも変わらず
ふしぎな熱です


 肩掛けかばんは
 いちりんの花

 種という名に奔放に
 ....
ねぇきいてね
だれもみんなわたしの元を去ってしまった
そのあとでしずかに寄り添って
落ちてくる空の下で

いつもたよりなくって
いつもだらしなかった
雑然とした日々のなかで
たしか、ち ....
君が誰かを好きで

誰かが君を好きで

でも僕は君が好きで

複雑で

面倒な

恋をずっと何年も煩って

時間はものすごく駆け足で

僕の周りを回りながら

だけど時 ....
あなたは
いつも楽しそうだけど
時々
みんなから離れて
ぽつんと一人で
カメラをいじっているよ

わたしが寄っていったら
笑って
たまには
わたしの写真を
撮ってくれるから
思 ....
野良犬「怖い。人間は怖いいきものだ。」
飼い犬「なぜ? あんなにも優しいのに。」
野良犬「あなたは頭がおかしくなっている。理不尽に死を与える人間のどこが優しいのだ。」
飼い犬「人間がそんなことを ....
あなたが感じた
その美しさを
僕の手のひらで触れることが出来るのなら

あなたが感じた
その痛みを
僕の右足で蹴ることが出来るのなら

あなたが感じた
その優しさを
僕の頬がさ ....
認めてしまうと苦しくて
感じてしまうと切なくて
だから
胸と肌の一部を削除して
空白で埋め尽くした


時間をずらして
目を逸らして
記憶を丸ごと塗り替えたなら
振り出しからやり直せそうな
儚い安楽を ....
延ばした手の隙間が
ぽろぽろと泣いている
おどおどしたのは昨日のこと
今はなにも感じない
 
隙間に有る目は
人と目を合わせるのがこわいのよって
思春期の少女みたいな事を云う
携帯依存 ....
それは約束された儀式
かりそめの情熱

どちらが先に瞼を閉じるのか
けものの眼差しとなり相手の出方を窺い合う

わざとらしく歯を閉じ
拒んでみせるのは
初々しさをこころにまとい

 ....
秋じゃなければできなかったのでしょうか
空洞は風が増すほどに
流れてゆきます

 いちにちの日短さ
 胸の欠けてゆくそして
 焦げてゆく茜の陽
 

沈んでゆき夜になる前の隙間で ....
暗闇に光る君の瞳
影から影へ移る君の姿
君は夜に生まれたから
そのまま夜を身にまとい
ひとり息を殺して闇を行く
夜は君の姿
闇は君の心
影は君の名前
そして沈黙が君の言葉
けれどそん ....
「 人生は素晴らしい  生きているって美しい 」  白い顔の犬が笑う

 嗚呼 そんなことは どうでもいい   可愛いオンナの手を握りたい


「 人類が みな兄弟なら どうして殺し ....
{引用=落花することに歓びがあるとするならば
目の前に横たわる海鼠状の災禍を受け入れてみたい}

あなたと
わたし
コロシアムと密かに呼び合う
誰ひとり立ち入ることの無い塔屋の片隅で
ふ ....
あなたのなかをふるあめが
あなたのまつげをゆらして
あなたのなかをふるゆきが
くちびるをふるわせるとき
ぼくはあなたのてにふれて

ちいさくなみうつおと
ちいさくはじけるおと

あま ....
さっきから押し黙ってばかりいる私の
ばかばかしい淋しがりに気付いて
なお不安定な距離感に揺れながら
愛にまかせて微笑っているのはふたり

希望に恐怖が染まる頃
恐怖は色鮮やかに花開いて
 ....
夕刻の鉄道駅では
通勤客の
ポーカー
フェイス達が
ごった返していて

自動改札機に
ようやっと
迎えられ
財布から
定期券を
ジョーカーを
引くように
取り出し

鉄道 ....
きみが泣くときと
ぼくが泣くときが
一緒だったらいいなって
それだけ





約束なんて守らなくていいよ
だからいつでも会いに来てよ
星が見えない夜でも
雨が止まない朝 ....
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