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吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる
わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる
いつだっ ....
咲いてゆく音が
きこえます
川が
はじめて山をなすこころ、
そういうものが
乱れていきます
置いていかれることも
置いていくことも
じつは
まったく
同じこと
....
もしも
花弁が落ちたなら
終わりましょう、
きょうを
あしたを向いて
もしも吐息を
こおらせたなら
呼び直しましょう、
水の微熱を
いのちの名前を
....
これからぼくは
いくつのことばを殺すだろう
それを
知らずに生きぬいて
いつか必ず殺されるだろう
ことばへ死にゆく
ぼくなのだから
これからぼくは
いくつの ....
ときの
残り火を
消すように
ゆっくり
無言は敷き詰められます
夜の鏡を
おそれた時代が
あったはずですね、
なにも語らない目も
十分に言葉であ ....
希望はいつも闇のなか
ひかりを見つめて
底にある
たとえはぐれてしまっても
上手にわらって
すむように
すべての虚言を
やさしく包み
希望はいつも闇のな ....
愛されたい、と
嫌われたくない、とは
ちがいます
勝ちたいことと
負けたくないこととも
ちがいます
反することと
似ていることとは
同じであって
ひと ....
ぼくが、
ぼくだけが
知らずにいるこころは
どこにありますか
どんなふうに
転がっていますか
ぼくが
たずねることで
だれかを
知らずに傷つけるとしても
汚 ....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり
耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する
すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
....
わたしのなかでは
きえない、ゆき
きこえないことば、には
あふれるくらいに
ふれているのに
ふるえています
たしかさを
ましてゆく、ような
かさのなか
みずか ....
えらばれた場所でだけ
かなう願いを
託して
しまいたい
分けられてなお
うつくしいものも
きっと、ある
降る雨の
そのずっと奥のほうで
飾りをえら ....
理由はありません、っていう理由について
もう少しやさしくあれたら、
と思うんだ
さびしい時刻が生え出したのは
ぼくの、背骨を笑う
星のした
だ ....
きみがまだ制服だった頃
わたしも同じく包まれる身で
あの毎日が示した未来は
いまも変わらず
ふしぎな熱です
肩掛けかばんは
いちりんの花
種という名に奔放に
....
なんとなく
わかっていたけれど
夕風は
すっかり
つめたくて
昼間の陽光も
どこかしら寂しげで
緩やかに
届かぬ夏を
受けとめる頃合です
おろそかに出来るくらいなら ....
泥を
振り払おうとする腕こそが
いつまでも拭えない
泥かもしれない
確かめようの無いその有様を
透明である、とは
誰も語らない
そこでまた
ひとつの泥の
可能性が
散る ....
そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく
そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける
幻はまだ
あこがれとしての痛み
選 ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
綿毛に乗せた
ことばの行方を
わたしは知らない
それは
さほど深刻ではない心当たりで
暖かすぎる夏の日に
ときどきそっと
距離を置く
まっ白な
姿かたちは
どこ ....
通り雨を
息継ぎしながら
ぼくたちは急いでいた
離れることを
急いでいた
手のなかの熱は
次から次へ
一秒後
つよくなろう、と
{ルビ翳=かげ}りをひそ ....
祝福のことばには
飾りたがりの
性分があり
僕はまだ
あこがれの盛り
あなたの階段が
あたらしくなった日も
僕は
初夏の匂いだっただろう
あいも ....
もう
どこにも帰れない
そんな気がした夕暮れは
どんなことばも
風にした
ながれる雲の
行き先はしらない
突きとめずにおくことが
しあわせだとは
....
水の匂いが燃えてゆく
漆黒は
うるおいのいろ
こぼれてはじまる
灯りにけむる、
波のいろ
疎遠になれない花の名に
ひれ伏すともなく
かしづく儀礼は、 ....
まちがえることを
素直におそれた日々は
だれかのきれいな蝶々結びに
たやすく揺られる花だった
あの草原で
かぜを追いかけてゆくことに
不思議はどれほど
あっただろう
....
遠鳴りを
たずねてゆびは
更けてゆく
傾き、
あざむき、
なき、みさき、
橋の向こうを告げられぬまま
こころもとなく
火を浴びて
頑なに
待ち人の名を ....
別れの時刻を知ったとき
ひとは優しくなる
すなおには
明かせなかったこころをもって
朝はかならず来るのだと
ようやく夢は
ここから
近く
ありがとう ....
透き通る石が相手なら
わたしの瞳もまもられそうで、
こころゆくまで
あずけて
うるむ
そんな夜には
ゆびも優しくなれるから
ゆめをすなおに飲み干して
爪は爪のまま
....
優しさの
定義の途中で
悲しい君を抱き締めた
何度も何度も
抱き締めた
放熱温度は数千
おそらく加護には不向きな温度
僕は何もかもの途中だった
汗をに ....