怖いものなんてないよ
みんな人間だよ
みんな馬鹿だし
みんな完全じゃないし
みんなひと括りにはできない何かを持ってるし
みんな別々だし
誰かに何かを言われようが
あなたとわたしは ....
電気などつけなくたってじゅうぶん明るかった
雑踏でさえも何かを叫ぶひとが皆無
熱くなるのがきっと恐いから抑制
保冷剤をどこかに忍ばせて
融けてしまったことなど知らずに
こころを切りた ....
壊すように 殴るように 泣くように
優しく守りながら
戸惑うように 選択して
穴だらけの裸体に 涙を注いだあとに
君が叫びながら眠る押入の中
か細い腕を切り裂く空の爆音も全部
吐きな ....
灼熱に縛られて身動きがとれない
陽炎のように揺らめく空気の向こうにひまわりが咲いている
遠い遠いひまわり
近づこうと足を踏み出そうとしてよろめく
向こうで揺らめくひまわりは
私の儚 ....
聴と視を捧げた浮世の全ての事象
泣いて叫んで今日も終わる
右からか
左からかも解らない
踏み出す足の頼り無さ
愛すか殺すか二つにひとつ
人並みの希望と虚無を抱えたら ....
闇、叫び、月、銀、狼、爪の痕ほとばしる血は昴の花弁
月を噛むアカイ目眩に舞いくるう鴉揚羽の鳴り止まぬ翅音(はね)
雷(イカヅチ)の刺さる。蒼きは明星の息遣い。眠れぬ ....
あの
見慣れた朝は
履き違えた
靴それだけで
不器用に
ほつれてった
夏が終わる日
あなたに
手を伸ばして
どうしたって
届かないのは
陽炎に
よく似た
寂しげな
....
近づいてゆく
風が乾いた草の匂いをはこんで
近づいてゆく
滅んでゆくものの気配を
怖がらないで足をのばし
サンダルを遠くに飛ばして
近づいてゆく
秋のサテンのやわらかな手触り
私はこの ....
きらきら きらきら
シルバースター
しんしん しんしん
夜の音
ぴかぴか ぴかぴか
イエロームーン
ぴこぴこ ぴこぴこ
空飛ぶ円盤
朝はこくこくと
近づいている
ニコニコと笑う君も 好きだけど
口とがらせて怒る君も 好きなんだよ
怒った顔も可愛いから
ついつい怒らせちゃう
僕を信じてる君も 好きだけど
僕を疑ってる君も 好きなんだよ
安 ....
光の綱が 交差する
あや取りみたいにくぐり抜ける毎日
そのなかに哀しみでもいい
あなたにそばにいてほしい
知らない間にねむってしまった
カーテンが揺れて、わたしを起こした
....
終電の終わった線路に
踏み込もうと思ったけど
青く点灯する信号を見て
しばらく迷った末 やめてしまった
スタンド・バイ・ミーごっこは難しい
夜だけど
いつも感じる夜とは匂いが違った
....
いつもの遊歩道
いつも駅
いつもレール
いつも本屋
いつものコーヒー
いつもの世界
それで満足のはずの見慣れた景色
けれど
僕らの知らな ....
テーブルにばんそうこうが貼ってあった
また3歳の娘がイタズラしたな、
と思って剥がすとそこには
小さな傷があった
{ルビ鈍色=にびいろ}に濁るかつての青空
そっと思い出してみて
君の笑顔はそこに在る
見つけたものは、既に死んでて
どうしようもない現実に、
涙はどうせ流れては来ない
鈍色が私の銀 ....
いくえにも
かさなった
ゆらぎ
輪をかいて
后は
たおれる
フラッシュに焼かれ
切り花が飛び散って
できるなら
このまま
目覚めたくないと
願っても
民が呼ぶ
夢 ....
雨音が
逝く夏を囁くと
水に包まれた九月
通り過ぎた喧騒は
もう暫くやって来ないだろう
踏みしめた熱い砂や
翡翠いろに泡立つ波も
日ごと冷まされて
さみ ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする
すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような
ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
なにかが欠けていたのだろう
あなたに伝えること
いま
全裸を隠そうとしている
この月のように
僕があなたを
少しずつ愛していった
はずなのに
あなたは
不信で覆われていく ....
そこは空かと問うたなら
鳥はきれいに黙して
はばたく
そのたび言葉は
空から遠いわたしの胸を
いやしの為に
傷つける
幻はまだ
あこがれとしての痛み
選 ....
空が
きれいです
海を越えて見る世界は
新しい風の匂いと
爽やかな空の青が
生きています
今頃あなたは
どんな風を感じ
どんな空に触れているのですか
わたしはなぜか
独りよが ....
いつかくるとわかってた
きてしまったものは
過ぎてしまったことは仕方のないこと
わかってる
全部全部 わかってる
言わないで 私 わかってるから
無理して笑うあなたの顔 ....
折れそうなわたしを映す
動かない鏡
何も考えない
何も考えてくれない
折れそうなわたしを見て
鏡を叩き潰した
欠片を拾った手が
血に濡れた
もう戻ら ....
机を叩く音が
緩やかに
固さを帯びていくための、
そのプロセスの一環として
私の右手の中には
シャープペンシルが
握られている
ランドセルの隅で
眠りについた幼さの欠 ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている
朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
お前は私の心の中に入り込んでいますね。
お前は私の脳内に仕掛けられた時限爆弾のようにも思えます。
でもお前は私に人並みの感情を教えてくれました。
お前の苦しみと悲しみなどを思うと、
私 ....
彼のことを何も知らないのに好きになって
好きになって好きになって好きになって
今 勝手に玉砕した気になってる
仕事の帰り車の中であなたの姿を見た気がしたの
それだけで嬉しくなって驚いて ....
ほら
泣いてたんじゃ
なにも
始まらない
目の前にある
困難っていう壁は
そうだよ
自分自身で
高く高くしていたんだ
ねぇ
笑ってみせて
この先に
何があるの ....
虹が出たら
虹の付け根が見たくて
みんなで虹の端目指して
駆け出した
でも近づくと虹は
近づいた分だけ遠くなる
それでも走っていくけれど
行けば行くほど 遠くなる
それを繰り返して ....
ぼくの 住む 土地で
自然に ひぐらしの 声を 聞いたのは
10年も むかしに なる
それは かぼそく いっぴきの 系譜が
つづいて 啼いて いたのだ けれど
....
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