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(光が螺旋状にぐるぐると会話する)
その隙間を縫う私のみぢかい睫毛から
つまの先まで零れ落ちる
硝子のような、泥のような記憶の断片
押しては浅瀬に引く、気持ちの悪い浮遊間
....
思考でパッチワークをしても
なにも暗躍しない
鉛色の空は重く、冷たく
影法師を縫い付けては、体温を奪う
視力が落ちた日の朝
妹は聴力を失い
お母さんは足を失った
お父さんは肝 ....
地元の駅が凍ってしまった、
夢をみた
誇張する胡蝶みたいにこちょこちょと
わけのわからない言葉を
おばあちゃんの形見を扱うみたいに優しくつぶやいた
・
ドトールのカフェオ ....
真昼に死んだ雀の葬式が埼京線内で行われた
ガタンゴトンと無機質なレクイエムに合わせて
小さく焼かれた雀がタレに漬けられて
綺麗な漆黒の皿に乗せられていた
電気の走った頬 ....
はるか彼方
静かな白の中で
円盤みたいに
私たち回ってる
ほしが生まれて、
呼吸を辞めるまで
影が夢をみはじめる
じゅくじゅくと、薫り始める
いお、四つ子のなかで
....
その飛翔を
だれかの鞄に詰め込んで
機械的な作業で
きみは缶になる
密封空間に
足首を垂らせば
秘密の合言葉が
世界中から聞こえてくる
透明な羽をなんども
一瞬をし ....
夏が始まった、合図は
とある田舎の公衆便所の片隅で死んだ
ごろりと横たわる、蝉の亡骸
子供たちは
入道雲に固形の夢を乗せ
大人たちは
ただ 暑い暑いと液状になる
若者は、なん ....
・パルス
知って、ほしいと
輪郭をなぞる音が
弾丸のような重みをおびで
摩擦を起こしはじめた
昼の夢は
空に手を伸ばす赤ちゃんが生んだ妄想
何を見つけたんだろう
空気 ....
恐ろしい絵本を読みたくて
深夜の本屋に忍び込んだ
硝子を割ったのにセコムは作動しなくて
別世界にきてしまった気がした
グラビアから世界地図まで
滑るように見つめていると
ふとした拍子 ....
百年かけて生み出した感情を
書き留めた産声
朝日が煌々と昇ると
夜の影は隠れんぼしてしまった
あさ、
柔らかな呼吸で暴き出した
感動は、
君のひとみに光を与えるのに
少しで ....
1996年
わたしの空は黄土色
乱れた線でつないだ電柱にもたれかかる緑
縁取った空気に殺意すら覚える吐息の反抗
1996年
嘘を血で丸めた
家の前 ....
悶々とした舐めるような空気の中
うっすらと汗をかき、ほてった頬を林檎にした
空白に紫煙を撒き散らし
群青色に染まった人々が次々と電車に飛び込んでいく最後の日
盲目の少女が一羽 ....
緑色の体をした
体格のいいおとこのこが
通天閣のまんまえで
しんでしまった
からすは
そう、とだけ頷いて
仕事場である住宅街に
早々に飛んでいってしまった
鋭い瞳は
....
湿った夕べ
父の洋服をたたむ
生前の匂いは嫌いだったが
今では柑橘の香りの中で探してしまう
おいおい、そんなんじゃ
だめだろう
酒と、煙草と、スルメと、深夜
私が刻む単調 ....
白紙に滲んだ黒い赤
むくむくと大きくなって
たくさんの物語を生んでくものを
とくり、とくりと創ってく
神秘の朝は窓を黄金に染め
鳴いたはずの軋んだ世界を
やさしく やさし ....
うぐいす色の線を引いて
君に良く似た生き物を書こう
虹色の二時に詰めた薄い憂鬱や
羽音を響かせる蝶番を連れて
この世のキャンパスは
まだくもりない君には美しい白に見えるから
世界樹の ....
君の産まれたその訳を
探す旅がこの人生と
果たして誰が言ったのだろう
黄色い砂場で
硝子片を散りばめた
掌の嫉妬
欲深い"愛してる"
メランコ ....
砕けたアイボリー
平和な、この世界から
(脱け出せずに)
白黒の斑点
澱んだ苔色の空
引っ付いては離れない未来を
どれだけの戯言で埋めれば
救われるんだ、
吐く息白く ....
延ばした手の隙間が
ぽろぽろと泣いている
おどおどしたのは昨日のこと
今はなにも感じない
隙間に有る目は
人と目を合わせるのがこわいのよって
思春期の少女みたいな事を云う
携帯依存 ....
シとドの間の秘密
密林の光を探す処女
口笛は
美しくもはかない時代の産物だと
誰かが呟いた
永遠を笑うこどもたち
中指は輝きながら点滅して
たくさんの蛍を呼んだ
....
淡い群青の海で
君は溺れる
カタカナ表記の僕ら
未熟な青年果実
病むときもあるのさ
電工掲示板みたいな孤独
握る握る未来
とか
ミルク色の憂鬱
シャツのワールド
....
黴臭いなにかに誘われて
踊り出た夕闇、上弦の月
静かに静かに
子守唄を唄う乳母の横を
ちいさな孤独が通りすぎた
(それは駆け足で
(夏のにおいがした
てらてらと蛍光灯に ....
くらくらする
空気のなかに
沈みゆく
わたしの四肢達
同化した
観念は
やがては羽化し
また生きる
何度もめぐる
いのちのきせつは
静かに
わたしたちを伸 ....
うだるような夏空
じりじりと足が溶け始めた寂しさに
わたしは階段を徘廻する
今へと続く段の隙間に
モノクロ写真 一枚
誰だっけ。
容量を越える思考 ....
未だに命を引きずる街で
静かすぎる呼吸を繰り返す子供達
おとな は
既に死滅して
水滴がぽちゃりと世界を彩った
(このてのなまえを
(おしえてほしい
片隅でぼそりぼそり ....