眠る前、羽みたいな手がおりてくると
ぼくはそれだけでなにもかも忘れてしまう
今日はきてくれるかな
階段のしたから、食器を片づける音がきこえてくる
きてくれるかどうかは わからない
機嫌が ....
診察室は楽園で 白黒ピエロが唄うのさ
受け取る耳は いつしか言葉にならない悦びを
この世の生物じゃないんだろ 翼の折れた天使とか
はぐれた悪魔の落とし子とか それによく似たもんだろ
大 ....
風のある五月の宵は
うつくしい青たちが
宇宙のものまねを演じている
この地球は、いまうつくしい
うつくしいと観ずる現象や
みにくいと観ずる現象は
地球という環境 ....
解けない謎なぞ
アイシテルの知恵の輪
君は味方?
そっと耳打ちをして
二人掛けのボートに横になって
お気に入りの歌を口ずさむ
照らすのは
零時の月明かり
憂鬱からの解放
....
たぐりよせてみれば
それは
余りにも細く、また
強い一筋
(深い闇の中から)
まさにすがるようにして
誰もがその一筋を
必死に、必死に
自らの手中に
収めようとする
....
彼女が悲しい嘘をつく前に
どうかあの紅色ルージュを塗った唇を
塞いであげて
もう彼女の恋は
海の一番深い場所まで沈み
眩しい眩しい愛が届くのを待っているだけ
「優しさなんて…」
....
何で我慢するの?
男だから?
かっこ悪いから?
弱いと思われたくないから?
良いじゃない
泣いたって
ベタな例えかもしれないけど
あの雲だって
貯めこめ ....
ブルース聴かせて
友達がそう言ったのはいつだったろう
その夜に僕たちは並んで写真を撮った
この町を出ていくと聞いてから
僕は戸棚を漁って古いアルバムを捜しているのだが
少し ....
南風に乗って、夏が
駆け込んできた
いつだったか あなたは
疑いなく寄せるそれを
レモンの光、と呼んで
指先で掬い上げて口付けをした
透明な時軸につかまって、僕は
ひとま ....
いい子ねえ、って
大人からいつも
あたまをなでられていたから
ぼくはおおきくなれなかったんだ
と、いって
そらちゃんは笑う
海のみえるブランコが
そらちゃんのなき ....
そのままでその{ルビ瞳=め}のままで
僕を呼ぶあなたがいる
ほほ笑みの中で
いくつ時が過ぎたの?
やさしさは時に誰かを
傷つけるものなんだね
そんなやさしいまなざしで
僕をみつめない ....
翻る黒髪 目蓋打つ白き飛沫
おののく好奇が船上を支配し
まさに航跡に雪崩落ちようとするとき
はるか前方
絶えまなく湧き立つ海の回廊から
ひとつの島影がせり上がる
....
素敵な言葉を綴る貴方
お願い一度でいいから
触れてみたいのに
遠すぎてあまりに遠くて
会うことも叶わず
私を救った貴方
今何をしているのでしょう
一度でいいから
....
あ、うらやましいな
が
あ、むなくそわるいな
になったら
そんなじぶんを愛してください
ロッカーで
盗難がおこったり
カレンダーに
バッテンがあった ....
地獄の沙汰どころか
こうやって生きているときから
と
あの人は言った
ひとと獣の違い
それは
困ったときに
頼れるものがあるかないか
思いとか信じるとかのことなの
そう尋 ....
レイン
あのとき足音にかき消され
君の言葉が聞こえなかった
雨が降る
自由が再び吸い込まれていく
星が湿度を復元する
束の間の動作
長旅を終え
地面に歪んでは消える ....
フロントガラスに映る
木漏れ日をなぞって
睡眠体勢をとる
外に出てしまうと
少し、汗ばむ陽気だけれど
一つ隔てた世界では
丁度良い感じだから
上昇気流に乗って
飛ばさ ....
終わりは始まりの合図
始まりは終わりの出現点
全ての物事が
ループ∞ループ∞ループ
だから
今のアタシは真っ白だけれど
無機質だけど
きっといつかは色づくはず ....
その本には
わずかな言葉しか
書かれていない
けれども
見えない言葉が見えてくる
それは
未来への希望であり
人生への疲れでもあり
恋する人への思いでもある
同時にそれは
読む人が ....
山鳥は、
語りえない
ゴム、しゃぼん
せかいは いとも
かんたんに
喧嘩する
きみを ぼくは零す
しゃぼんのせかい しゃ
ぼんの せかいは 簡単に
....
魚は水の中を泳ぐ
魚は水の中に生きる
ぼくは道を歩く
ぼくは道の中に生きる
魚は勢いのある水の流れに逆らって
自分の使命に命をかけて
向かってゆく
ぼくは強く吹いてくる風に逆らって
自 ....
考えながら眠りこける 考えてたこと忘れてる
農薬まみれのリンゴを洗わずに囓る
走り出したら止まりません 止めたいときは覚悟して
愛の言葉も銃声も ときには役立たず
いつも最新の情報は ....
まだ手を
解かないでおくれ
もう少し優しくなれそうだから
生きるための温もりを
静かに分け合うよ
だからまだ
離さないでおくれ
まだまだ好きになれそうだから
信じられるのは ....
取り違えられた
緑
色の壁
名前を聞かれて
「青」
と答えてしまう
投げた
配水管の中に
あいまいな
猫が
右目がつぶれてしまって
横たわっている
弧を描いたらしい
血が ....
蒼穹はさらに深く
眩い雲はほのかに流れ行く
若木の緑をそよがす風は
初夏の薫りを匂わせながら
見晴るかす彼方へ消えて行く
雲のまにまにのぞく{ルビ天色=あまいろ}に
いつか見た白い炎が燃え ....
あの
光る目を盗んで
チョコレートを
口へと運ぶ
事実
今は授業中なのだけど
私は自分の
欲望に忠実なので
食べてしまう
生産者が
緑色の板に向かう間は
絶好の ....
過去に戻れることが出来るのならば
五秒で良いから戻りたい
そして、一言を交わして
元の世界に帰りたい
其処に変化がなくても
心の奥底は変化しているはず
誰かが手を差し伸 ....
蚊に咬まれたとこを
ぽりぽりかくから
皮膚がぼろぼろと落ちてくる
勿体無いから
集めて、練り固めて
ちっちゃいあんたを作って
あたしのペットにする
ペットは飼い主に似る ....
作為的な空き地の周りに
張り巡らされた高いフェンス。
荒涼感を誤魔化そうとするように
洒落た街並みを描いた大きな看板。
通りに並ぶスナックやら寿司屋やらは
口を板で打ち付けられ、沈黙する。
....
1
逆光の眼に飛んでくる鳥を、
白い壁のなかに閉じ込めて、
朝食は、きょうも新しい家族を創造した。
晴れた日は、穏やかな口元をしているので、
なみなみと注がれた貯水池を、
....
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