ようやく畑にたどり着いた
遠くを見て佇む案山子ひとり
腕はだらりと垂れている
そばへ歩いてゆくと
帽子を取ってお辞儀をしてくれた

私もお辞儀をする
顔を上げると案山子は
帽子を持って ....
何もかも整っているのに
整ったものたちを
壊して行く人が
まぶしい

手を伸ばして
届かない
この感覚が欲しかったのか
二〇一八年八月一日 「どくろ杯」


 いま日知庵から帰った。帰りに、セブイレで、きんつばと、玄米茶を買った。寝るまえの読書は、なんにしようかな。きょうのお昼には、金子光晴の『どくろ杯』のつ ....
二〇一八年六月一日 「断章」


断片はそれぞれに、そうしたものの性質に従って形を求めた。
(ウィリアム・ギブスン『モナリザ・オーヴァドライヴ』36、黒丸 尚訳)


二〇一八年六月 ....
二〇一八年五月一日 「迷惑メール」


 迷惑メールが何通もくるのだけれど、いま見たら、「ワンナイトラブでかまいません。」と書いて、女の名前で書き込んであるの。笑っちゃった。こんなメールに返 ....
もう僕はよそへは行かないから帰っておいでと
ただそのひとことが聞きたかった

彼岸へすこし渡る その前にひるめしを食べよう
あなたはそう云ったので
わたしはピアスをして電車に乗りフォークをと ....
{引用=   我が友、田中修子に}



時折西風が吹く
そして天使が笑ふ
するとさざ波が寄せ返し
沖を白い帆が行き過ぎる

砂に埋れた昨日の手紙を
まだ浅い春の陽ざしが淡く照らす ....
スーパーで売られている無花果はスーパーなイチジクではない
ミルクが切り口から出ていない
それでも ためつすがめつ見る
皮の色合い ふくらみ 同じものは ひとつもない
紅をさしたかのような口が美 ....
〈世界地図〉を熱心に観ていたあの猫はもうここに居ない

遅れていることを、怒っていたのか  祈っていることを、笑っていたのか

空を買いたいと、樹木たちが 雲に必死で持ちかけている

そん ....
太古の記憶、血の匂い
奥まる闇の、光のなか
私は浴びる、その血潮

とこしえへ、とこしえへと回帰する

渇望がある、満たされぬ
孤独を貫く、深淵の自我








 ....
二〇一八年四月一日 「孤独の円盤」


 きょうから河出書房新社の奇想コレクションシリーズの第2弾、シオドア・スタージョンの『不思議のひと触れ』憶えているのは、異色作家短篇集の『一角獣・多角 ....
十月になっても初夏みたいな日が続き
小さな畑でおくらの収穫をする

母は
穏やかでなんのわずらいもない日よりだと言う
この小さく可憐で柔らかなおくらの花が
せめて実になるまでそれが続きます ....
二〇一八年三月一日 「ぼくは、あなたの大きなおっぱいで終わりました。」


 きょうも寝るまえの読書は、チャールズ・ボーモントの短篇集『夜の旅その他の旅』のつづき。なんか40年とか50年まえの小 ....
わたしは壁のなかに育った
壁の外に
出たことも見たことも聞いたこともなかったが
外があることを知っていた

夏、庇の下に燕がやってくる
燕は夏に来て冬に去る
燕が冬を過ごす地がどこかにあ ....
ちゅうとはんぱに知っているふりをしない事
無知はゆめの入口のようにきみを待っているのだから

神さまに出逢ったら日頃の礼を言ってみよう
少しはこの世界の愚痴をこぼしてもいいとおもう

そし ....
二〇一八年二月一日 「無限がいっぱい」


 塾が終わって、日知庵に行ったら、シンちゃんさんご夫妻と友だちがいらっしゃって、そこからガブ飲みに。きょうも、ぼくはヨッパで眠る。眠るまえの読書は、ロ ....
五十年 目の前にいたのに
会ったことないらしいんだよね
初めは まだうっすらと
見えていたらしいが

双方の呼気が煙幕となり
濃く厚くなり
情報は通さず
物質のみ透過可能な
絶妙な分 ....
もの言えば唇寒し秋の風
というのは芭蕉の句
けれど、秋の風の吹きやんだことがあっただろうか
なんだかずっと暴風雨のなかにいるようで

誰もが服の下に
生々しく湯気の立つような
肉の腐った ....
血を吸うな吸血鬼
おまえは蛭のように
皮膚にとりつき離れない

おまえは不幸なことに
好いた人間の血しか吸えぬと言う

血を吸うな吸血鬼
おまえが好いた人が死んでも悲しむな
それはお ....
勇気と言う究極の宝石を得る為
銀の橋を渡って行こう
苦い思い出がある
切ない思い出も。
要はそれらをどう前進の糧にできるかだ
大陸を二つ越え
やがて涙が乾くまで
銀の橋を渡って行こう
 ....
二〇一八年一月一日 「熊人形」


 きょうから、リチャード・マシスンの短篇集『13のショック』を読む。スタージョンの短篇集は、いいの1作品だけだった。「熊人形」だけがよかった。スタージョンの短 ....
【性的・暴力的な表現があります。ご理解の上、ご閲覧をお願いいたします】

 わたしは、生を受けたということがおかしいのです。

 母の名前は蝶、きらきら光る目をした人でした。
 わたしはあか ....
二〇一七年十三月一日 「日付のないメモ」


 彼は作品のそこここに、過去の自分が遭遇した出来事や情景をはめ込んでいった。あたかもはじめからそれがそこにあって当然と思われるはめ絵のピースのように ....
確かに統合失調症になったことは
人生を破壊するほどの運命だ
発病から22年
私は黄泉返ろうとしている
生きて
生きて
生き抜こう
必ず勝とう
人生を幸せで飾ろう
そして死ぬときに
 ....
二〇一七年十二月一日 「みかんの皮」


こんな時間にどうしたの
そう訊くと彼は
考え事をしていて出てきたんです
こんな時間まで起きて何を考えてたの
ってさらに訊くと彼は
数 ....
プールの天井を見つめれば
そこは宇宙

光の乱反射は
全ての思考を超えていく

わたしは水面に
ただ浮かんでいる

E=mc²
アインシュタインの直観は
多分正しかった

わ ....
二〇一七年十一月一日 「年間アンケート」


 現代詩手帖の編集部に、年間アンケートの回答をいまメールに添付して送った。2016年の11月から2017年の10月までに読んだ詩集で感銘を受けた詩集 ....
熊笹の獣道を誰かが歩く
うっかりと穴を踏み抜く
ガサ
滝つぼに落ちたあと爆発音がして
誰かの身体はもう粉々
自分のなかにはそんな穴があって
胸に手をあてたとき
大きくもないその手はすでに ....
二〇一七年十月一日 「蝶。」


それは偶然ではない。
偶然ならば
あらゆる偶然が
ぼくのなかにあるのだから。


二〇一七年十月二日 「「わたしの蝶。」と、きみは言う。」
 ....
二〇一七年九月一日 「陽の埋葬」


 文学極道の詩投稿掲示板に、作品「陽の埋葬」を投稿しました。よろしければ、ごらんください。


二〇一七年九月二日 「2010年11月19日のメモ 」 ....
足立らどみさんのおすすめリスト(1278)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
スケアクロウ- 木葉 揺自由詩14*21-12-3
届かない- 木葉 揺自由詩121-12-2
詩の日めくり_二〇一八年八月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-11-29
詩の日めくり_二〇一八年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩10*21-11-22
詩の日めくり_二〇一八年五月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-11-15
仮面- 46U自由詩421-11-11
告別- 石村自由詩28*21-11-10
いちじく- るるりら自由詩821-11-10
_記憶の粒_- ハァモニ ...自由詩221-11-9
夜想- ひだかた ...自由詩321-11-8
詩の日めくり_二〇一八年四月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-11-8
おくらの花- そらの珊 ...自由詩15*21-11-6
詩の日めくり_二〇一八年三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩11*21-11-1
わたしは壁のなかに育ったが- 凍湖(と ...自由詩421-10-29
神さま_。ありがとう- 梅昆布茶自由詩10*21-10-26
詩の日めくり_二〇一八年二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-10-25
壁ですらなかった- いる自由詩321-10-24
ただおそれてる- 凍湖(と ...自由詩121-10-23
血を吸うな吸血鬼- 凍湖(と ...自由詩421-10-21
- 渡辺亘自由詩221-10-20
詩の日めくり_二〇一八年一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-10-18
三途川- 田中修子散文(批評 ...1121-10-14
詩の日めくり_二〇一七年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-10-11
運命- 渡辺亘自由詩121-10-4
詩の日めくり_二〇一七年十二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩10*21-10-4
温水プール- TwoRivers自由詩10*21-10-2
詩の日めくり_二〇一七年十一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩12*21-9-27
_攻撃性- 松岡宮自由詩10*21-9-25
詩の日めくり_二〇一七年十月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13*21-9-20
詩の日めくり_二〇一七年九月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩11*21-9-13

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